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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
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おはようございます。エンリケです。
堂下元海将の連載
「海軍式 戦う司令部の作り方」
のニ回目です。
意思決定マニュアルの
概略が紹介されています。
あなたの体験や思い、感想など、
ぜひ堂下さんにお届けください。
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いつでもお待ちしています。
エンリケ
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【海軍式】戦う司令部の作り方(第2回)
「社風」に左右されない意思決定プロセス
堂下哲郎(元海将)
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□はじめに
前回は、日本海軍の意思決定に影響した「社風」
についてお話しました。
海軍の意思決定には、その伝統からくる前動続行
性と独善的な判断の影響がみられました。また、希
望的観測や情報の軽視などは誤判断の大きな原因に
なり、失敗や教訓をフィードバックする取り組みも
不十分で、「長老制司令部」や「人間関係司令部」
など悪しき「社風」がみられました。
確かに情勢判断の手法は教育されていました。し
かし、それは一握りの士官に対してだけであり、彼
らエリートとて重要な場面で判断を誤ったのです。
合理的であるべき意思決定は、海軍にその技法や仕
組みが定着していなかったことと、悪しき「社風」
の影響で大きく歪められました。
このことは、今日のわが国で不祥事や事故が起き
るたびに繰り返される「社風に逆らえなかった。お
かしいとは思いつつ長年の慣行だった」などという
トップの反省の弁と重なります。これらは現在の日
本の組織でも見られることのある古くて新しい問題
かもしれません。
▼「健全なる情勢判断」とJOPP(ジョップ)
日本海軍が大きな欠点を抱えていた一方で、米海
軍は開戦前の時点ですでに「健全なる情勢判断」と
いう標準的な情勢判断の手続きを確立していまし
た。さらに、日本海軍の暗号を解読していたことも
あり、日ごとに有利な戦いを進めていきました。日
米海軍の差は国力や物量だけでなく、意思決定の面
でも決定的に大きくなっていたのです。
戦後、米海軍は情勢判断の手法をさらに洗練させ
ました。その手法は、日本やNATO諸国などに採
り入れられ、情報の分析手順を含んだ意思決定、そ
して計画策定のやり方を標準化することになりまし
た。JOPP(統合作戦計画プロセス:Joint
Operation Planning Process、ジョップ)といわれ
る手法がそれです。
JOPPは本来、7つのステップからなる作戦計
画を作成するための手順です。多数の細かい手順が
ありますが、一般にも適用できる部分を4つのステ
ップにまとめると以下のとおりです。それぞれのス
テップは論理的に積み上げられており、「社風」に
影響されない意思決定プロセスといえます。内容は
省略しますが、ステップだけを示すと次のとおりで
す。
ステップ1 使命を確定させ、達成への道のりを示す
ステップ2 具体的な行動方針を立てる
ステップ3 相手と自己の行動を対抗させ、最善の
行動方針を決定する
ステップ4 実行段階へ移行する
▼肝心な実行の仕組み
適切な意思決定ができたとしても、それをスタッ
フ組織を動かして長期間、効率的に実行できる仕組
みがなければ絵に描いた餅です。様々な工夫があり
ますがいくつか紹介してみましょう。
まずは、スタッフ組織の工夫です。通常の業務用
には「縦割り」になっていることの多いスタッフ組
織を、作戦に応じて横の連携や斜めの連携が取りや
すいように「セル」や「ワーキンググループ」を設
置します。「ハイブリッド型司令部」です。
そのままでは、組織が複雑になり非効率になりか
ねませんから、基本的な仕事の流れを「クリティカ
ルパス」として定めて、リーダー、スタッフが効率
的に動けるよう「バトルリズム」という仕事の周期
を規定します。スタッフはそれに「自己同期」する
ように動くのがルールです。
さらには、変化する情勢に先行的に対応するた
め、当面の活動(24時間以内)、次の活動(24~72
時間)、次の活動のための計画作り(72時間~)、
の3つに時間軸を区切って、それぞれ連携して並行
的に仕事を進めます。「イベントホライズン」です。
一般にも「PDCA」という言葉がありますが、同じ
ような考え方で、作戦司令部では「Monitor(監視)、
Assessment(評価)、 Design/Plan(設計・計画)、
Direct(指揮)」という4段階からなる意思決定サ
イクルを採用しています。
(つづく)
(どうした・てつろう)
□次回以降のテーマ
第3回 チームを作る
第4回 リーダーの資質と個性
第5回 リーダーの役割
第6回 戦うリーダーに求められるもの(最終回)
●著者略歴
堂下哲郎(どうした てつろう)
1982年防衛大学校卒業。米ジョージタウン大学公共
政策論修士、防衛研究所一般課程修了。海上勤務と
して、護衛艦はるゆき艦長、第8護衛隊司令、護衛
艦隊司令部幕僚長、第3護衛隊群司令等。陸上勤務
として、内閣官房内閣危機管理室(初代自衛官)、
米中央軍司令部先任連絡官(初代)、統幕防衛課長
(初代)、幹部候補生学校長、防衛監察本部監察官、
自衛艦隊司令部幕僚長、舞鶴地方総監、横須賀地方
総監等を経て2016年退官(海将)。
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