こんにちは、エンリケです。
きょうから新しいテーマです。
題して
「日本に初めてオスプレイが配備されたとき」
さっそくどうぞ
エンリケ
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『ライター・渡邉陽子のコラム (267)
―日本に初めてオスプレイが配備されたとき(1)―
渡邉陽子
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こんばんは。渡邉陽子です。
先日、初めてろう者に取材しました。手話を通訳してくださる方を
介してやりとりするのですが、「話したいことがある」「聞いてほ
しい」という熱い思いがご本人からとてもよく伝わって来ました。
これもひとつの会話のキャッチボールだと感じました。
■日本に初めてオスプレイが配備されたとき(1)
来月、千葉県の木更津駐屯地に陸自仕様のV22、通称「オスプレイ」
が暫定配備されます。
日本に初めてオスプレイが配備されたのは2012年10月のことです。
米軍普天間飛行場に海兵隊仕様のMV22が置かれ、そして2018年10月
には横田基地に空軍使用のCV22が配備されました。
陸上自衛隊のV22は島しょ防衛などに必要な輸送機として、17機調
達された新しい装備品です。佐賀空港に駐屯地を新設して配備する
予定でしたが、地元の反対等で開設が遅れているため、木更津への
暫定配備となりました。
ところで、2012年10月にMV22オスプレイが米軍普天間飛行場へ配備
される際には、沖縄で激しい反対運動が繰り広げられたことを覚え
ていらっしゃるでしょうか。
反対する理由は「危険」「騒音」「沖縄の負担がさらに増す」でし
た。
今週から何回かにわたり、当時書いた記事をベースに、なぜあれほ
ど「オスプレイ反対」の声が上がったのかを振り返りたいと思いま
す。
オスプレイは、ヘリコプターのような垂直離着陸機能と、固定翼機
の長所である速さや長い航続距離、貨物積載量という両者の利点を
持ち合わせた垂直離着陸輸送機(ティルトローター機)です。現在
は世界で唯一、米軍のみが実用化に成功しています。
同機が換装するヘリCH-46Eに比べて速度2倍、搭載能力3倍、行動半
径4倍という高性能。固定翼と回転翼の長所を兼ね備えていること
で、人員、物資輸送から民間人の救出、強襲上陸・陽動作戦の展開、
そして災害救援までさまざまな場面で重要な役割を果たします。
これまでのヘリコプターや輸送機では不可能だったミッションも遂
行できるため、開発段階では全米軍が調達予定だった時期もあるほ
どです。なお、騒音が懸念されている垂直離着陸モードでの飛行は、
全体の5%程度とされています。
オスプレイが沖縄に配備されたのは、換装するCH-46Eを運用する部
隊が沖縄にあったからです。
CH-46Eは210年前に製造が終了した、自衛隊ですらすでに退役させ
た古い機種。海兵隊は保有するすべてのCH-46Eを順次オスプレイに
換装中で、普天間飛行場へのオスプレイの配備もその一環として行
なわれました。しかもオスプレイは中型輸送ヘリの後継機として開
発されたものですから、CH-46Eの後継機としてはオスプレイ以上に
最適の機種はありません。
オスプレイが沖縄に配備されるメリットとしては、海兵隊を含む在
日米軍全体の抑止力の強化、さらに日本の南西方面での防衛態勢強
化と相互作用し、日米間の動的防衛協力の拡充が挙げられます。
たとえば、オスプレイの航続距離は普天間飛行場を起点とした場合、
給油なしで飛行できる半径600キロ圏内には八重山諸島、台湾の北
端、尖閣諸島が含まれます。一度の空中給油を行なうと行動半径は
1100キロにまで拡大、東シナ海全域、北朝鮮南部を含む朝鮮半島、
台湾全土、中国は上海まで含まれます。
この性能ゆえ、武装していない輸送機でありながら存在自体が抑止
力となっているのです。
日本国内での災害派遣などでの支援でも、その機動力は心強い存在
です。2016年の熊本地震の際は南阿蘇村へ救援物資を輸送しました。
東日本大震災の救援作戦「オペレーション・トモダチ」において、
CH-46Eを擁する第265海兵中型輸送ヘリコプター飛行隊(今回オス
プレイに換装されるにあたって第265海兵輸送ティルトローター飛
行隊と改名)は普天間から被災地へ支援物資を輸送しました。しか
し飛行だけでも10時間、厚木や横田での休憩や複数回の給油を含め
ると、実質2日も要しました。もしもオスプレイだったら、ノンス
トップの約4時間半で到着できていた計算になります。
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
「神は賽子を振らないー元陸上自衛隊幕僚長火箱芳文の半生―」
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□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
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