配信日時 2020/02/24 08:00

【桜林美佐の「美佐日記」(64)】 自衛隊の病院や医療従事者は「最後の砦の砦」

こんにちは、エンリケです。

新型コロナウイルスへの対処に派遣されている
自衛隊にかかわる話。
非常に重要な指摘ですね。

こういう視座を決して失ってはなりません。


さっそくどうぞ。

エンリケ



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今年4月に刊行された『自衛官が語る災害派遣の記
録』に続く、第2弾『自衛官が語る海外活動の記録』
(桜林美佐監修・自衛隊家族会編)が発売されてい
ます。中東シーレーンの安全確保をめぐって新たな
自衛隊派遣が行われているこの時期にタイミングを
合わせたような出版です。現地で自衛官たちが何を
思い、どのような苦労をして、任務をこなしてきた
か、25人の自衛官のリアルな体験記です。

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桜林美佐の「美佐日記」(64)

自衛隊の病院や医療従事者は「最後の砦の砦」

桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』は今回で64回目です。

 読者のFさんからメッセージを頂戴しました。
「メルマガ軍事情報はどの先生の記事も待ち遠しい
です。中でも桜林さんのメルマガは一番リラックス
して読んでいながら、その中でハッとする気付きや
ら知らない事柄への調査欲求がむくむくと湧いてく
るという経験をします。」

→→→ 大変光栄です!

「さて病院船配備検討の件、2018年末のメルマガで
も同じ事をおっしゃってましたね。この方はぶれな
いわ~と感心しています。」

→→→ 「オヤジ化現象」ですね。無意識に同じこ
とを何回も言ったり書いたりします(汗)

「会社の机に海自のデスクカレンダーが載っていま
す。2月がたまたましらせの写真です。文科省の予
算付けであることを初めて知りました。連載開始か
ら何枚の目の鱗が落ちたでしょう。」

ということで、ありがとうございました!

最近、思うのは、もし「言論人」として活躍したい
と思うのなら、飽きずに同じことをくり返し繰り返
し言う体力がないとダメですね。もちろん私には無
理だと思っています。

書きたいことを書いて、よく読んでくれる(ここが
ミソ!適当に読んでくれてもあまり嬉しくない)読
者の方がいればそれだけでこの上ない幸せで、Fさ
んのような感想を頂ければ大満足です。

しかし、現実には多くの人々に自衛隊や安全保障問
題を理解して欲しいという気持ちがあるために、こ
の説明べたな私があちこちで国防の意義などを話す
ことになり、そして十分に理解してもらえずに打ち
ひしがれる・・・という下手な鉄砲を撃ちまくり疲
弊している実情があります。

Twitterなどやっていると「読解力ないのか、馬鹿者
が!」などという言葉が自分の中にうごめいてしま
い、そのたびに「いかん!悪い言葉を発しても誰も
幸せにならない!」と自分を責めることしばしばで
す。だったらやらなければいいんですけどね。

防衛産業の人たちは、1年や2年でカウンターパート
の自衛官が交代し、そのたびに実情をイロハのイか
ら説明しているようですが、これも大変労力が必要
なことだろうなあと思いながら見ています。

話はガラリと変わるようですが、先日、久留米市内
で開催された「懐メロの会」に行って来ました。

これは地域の歌好きの皆さんが集まって心ゆくまで
歌おうという会です。100人以上の方が来られて、
歌ったり踊ったりして過ごしたのでした。

九州の定番「炭坑節」や、地元の「久留米小唄」に
合わせてみんなで踊ったのですが、炭坑節は東京の
盆踊りでも盛り上がる曲でしたし踊りもなんとなく
思い出しましたが「久留米小唄」を知らず、たどた
どしい動きの私は、かなりモグリだと思われたよう
でした。

この「久留米小唄」は、1番~4番までは筑後の光景
が描かれている情緒豊かな歌詞です。調べてみると、
さりげなく意味深な5番があるようでした。

「久留米 久留米よかね 久留米はよかですね
 筑後平野と 耳納の山に
 かけたのぞみの 若い命は
 のびる久留米の 宝です 宝です
 ほんに久留米はよかですね」

これは、もしかしたらビルマ戦線などに赴いた久留
米の兵士たちを歌っていたのではないか、そんなこ
とを思うとじんとくるものがあります。

さて、この会合で私は短い時間を頂戴し、防衛問題
について少しお話ししました。おひとりでも多く、
これを機に興味を持って頂けたならいいなあと思っ
ています。

そんな中でも、新型コロナウイルスは広がり続けて
います。自衛隊も引き続き活動をしていますが、あ
まり指摘されてない、私にとっては素朴な疑問があ
ります。

今回、自衛隊の医官や看護官、衛生職種の方々が現
場に派遣されているようですが、そこにはどの程度
の政治判断と覚悟があるのか、ということです。

自衛隊にとって医療は欠かせません。どんなに屈強
な隊員さんでもケガをしたり、時には病気になった
りします。健康診断も不可欠です。

自衛隊が国防の「最後の砦」ならば、自衛隊の病院
や医療従事者は「最後の砦の砦」と言えるのではな
いでしょうか。

自衛隊病院で感染が広がれば自衛官はそこで医療に
かかれなくなりますし、同様に医官などが隔離され
るようなことになれば診察も受けられません。平素
から手術など緊急的な治療を必要とする隊員さんが
いつ出るか分からず、そのために自衛隊の医療はあ
るのだろうと私は理解しているのですが、医療不在
の状況は想定されているのでしょうか。

感染リスクが少なからずある場所に出て行くわけで
すから、当然「自衛隊に感染者が出て活動が制限さ
れることによる安全保障上のリスク」、「自衛隊員
が自衛隊医療にかかれなくなるリスク」を覚悟した
上での決断なのですよね?と聞いてみたいのです。

当たり前のように派遣され、現場で懸命に活動する
自衛隊の姿を見て、非常に気になっています。


<おしらせ>
YouTubeチャンネルくららで毎週土曜にアップして
いる「国防ニュース最前線」、今週は伊藤俊幸・元
海将に解説をして頂きます。

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(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フリ
ーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(PH
P研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載。


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