荒木先生の最新刊
『日本軍はこんな兵器で戦った-国産小火器の開発
と用兵思想』
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評判が非常にいいです。
あなたも、もう読まれましたよね?
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こんにちは。エンリケです。
荒木先生の論が、来週月曜日(2/10)発売の
「中央公論」
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されます。
あなたも是非お読みください。
『自衛隊の災害派遣、知られざる実態に迫る-訓練
された《兵隊》、お寒い自治体』
「中央公論」2020年3月号
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内容については、
冒頭部でも触れられていますので
さっそくどうぞ。
エンリケ
メルマガバックナンバー
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ご意見・ご感想はコチラから
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自衛隊警務官(8)
陸軍憲兵から自衛隊警務官に(8)
西南戦争と戦後の跡始末
荒木 肇
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□ご挨拶
わたしの住んでいる横浜では、寒暖の差が大きく、
体調を合わせるのも困難です。また、新型コロナウ
ィルスの流行が恐れられ、中国からの観光のお客さ
んたちにも警戒の目を向けざるを得ません。
たいへん残念なことですが、ここでも「うかつ」と
しか言いようのない事態が起きています。そういう
「有事」に対応した備えがおろそかにされていた・・・
そう断言するしかない事態が起きているようです。
▼自衛隊の災害派遣の実態
このたび2月10日発売予定の「中央公論」(*)
の大規模災害の特集で、わたしは『自衛隊の災害派
遣、知られざる実態に迫る-訓練された《兵隊》、
お寒い自治体』という小文を書きました。「兵隊」
というのは編集部でつけた言葉で、自衛隊員を指す
言葉です。もちろん、自治体、あるいは職員の方々
への非難をするつもりもありません。ただ、その組
織や職員の方々が「有事」向きではないという意味
です。
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そこには、大型台風の襲来で苦しむ自治体と住民、
黙々と命令のままに活動する自衛官たちの姿が書い
てあります。身びいきなどではなく、自衛隊員たち
の実態をきちんと描いたつもりです。隊員たちは、
厳しい環境で、つねに「有事」を想定した訓練を重
ねています。彼ら、彼女らは憲法論議などと関わり
なく、立派な「軍人」であり「兵士」なのです。
軍人が行動するとき、情報を集めることから始め
ます。集めた情報を分析し、さまざまな条件を元に
勘案して、部隊の行動目的にてらして、もっともふ
さわしい行動を「決心」した指揮官の命令で、整然
と動くことが兵士の任務なのです。
ところが、自治体の職員にはそうした教育も、訓
練も不十分なものしか用意されていません。それが
先般の関東のある県で、はっきりと露呈されました。
民間人は被災すると、自治体の職員も含めてみな無
力な被災者になってしまいます。
台風による被害で、山中で電柱が倒れました。それ
を復旧に出かけようとして、初めて電力会社員は気
付いたのです。道路には倒れた樹木や枝、落石が散
乱していて、現場にたどり着けません。緊急性、不
代替性、公平性の観点から、自衛隊に出動して欲し
い、道路の啓開が県知事からの要請でした。電柱の
倒壊、電線の切断による停電は、多くの人に日常の
生活を保証できません。
自衛官は相手に聞きます。どこの道路にどれくら
い障害物があるのか? 倒れた電柱の数はどれほど
か? 復旧資材を運ぶ手段はどうか? 資材の集積
場所はどこか? 排除した倒木や枝、岩石などはど
こに、どのように処理するのか? 自治体職員、あ
るいは電力会社の担当者からは、答えは返ってきま
せんでした。
▼現場では手も足も出ない自治体職員
全部、自衛隊に丸投げになりました。それも当然
で、自治体職員も民間人にとっても、戦術や戦略な
どとは無縁なものなのです。「有事」には平時の常
識はまるで通用しません。そうなると、会社も役場
も、情報を集める方法も手段も持っていないのです。
何をしていいか分からず、現実がどうなっているの
かも掴めません。
陸上自衛隊ならば、普通科(歩兵)連隊にも情報小
隊があり、路外も走れるマウンテンバイクで隊員に
よって集められた情報が指揮官に届けられます。師
団には飛行隊があり、ヘリコプターによる情報収集
もできます。
また、目を覆いたくなるような画像も見ました。
空挺隊員が民家の屋根にのぼって防水用のブルーシ
ートを張っているのです。自衛官の戦闘靴は水にぬ
れた屋根で活動するものではありません(のちの報
道で私物のスニーカーに履き替えている映像が出ま
した)。しかし、何より自衛官の本務は屋根の上の
ブルーシートかけではありません。もちろん専門の
建築業者の方のような専門知識も技能ももっていな
いのです。
これもまた自治体の要請によるもので、現場の指揮
官を困らせたと聞きました。シートなど用意もされ
ていない、運ぶ手段もない、その集積場所も考えら
れていない。何より困ったのは、やはりどれくらい
の作業量なのか、明確な情報が自治体からは得られ
ないということでした。
▼できもしないことを言う人たち
先には河野防衛大臣が「自衛隊は災害派遣のため
に、約300件の訓練を取りやめた」と報告されま
した。本来任務の軍事訓練を後回しにして、隊員た
ちは災害復旧、給水支援、ブルーシートかけなどに
立ち向かったのです。そのことは誤解がないように
申し上げておきますが、自衛隊法に災害派遣が任務
としてある以上、まったく文句を言う気はありませ
ん。ですが、ここで重要な事は「何でもかんでも自
衛隊」には全く同意できないということです。
興味深いのは、こういうことが起きているのに、
まだ次のようなことを言う人がいます。立憲民主党
幹事長代行の辻元清美さんです。1月25日の産経
新聞で、「駆け巡れ!子年男女」というコーナーで、
ニュー辻元に生まれ変わるとおっしゃっています。
第1のジェンダーのことはいいとして、第2番目に
「国の災害対応を改める」とおっしゃっています。
「防災庁を新設し、世界各国で起こる災害救助に行
けるよう新組織を立ち上げ、災害救助船も備えたい」。
この国会議員は正気でしょうか。さすがに自衛隊解
体とか日米同盟を廃止するなどとは言われなくなり
ました。
問題は、この厳しい経済状況の中で、さらに新しい
役所を創るという。東日本再震災で不備をいわれた
病院船も自衛隊に持たせてこなかった国が、災害救
助船をもつというのです。世界中に派遣される専門
組織を創設する、どういう教育や訓練を、どこで、
誰にするのでしょうか。派遣に要する航空機や船舶
も用意しなくてはなりますまい。まさに有事も平時
も見分けのつかない、たわけた考えといったら、わ
たしは何方かから叱られるでしょうか。
▼今のままでいいという人たち
いっぽう、令和元年版防衛白書には、内閣府大臣
官房政府広報室の世論調査の結果が載っています。
数字は読みやすいように小数第1位を四捨五入しま
した。「自衛隊について関心があるか」という問い
に、ある程度関心があるも含めて68%もの人が関
心ありと答えています。印象についても、90%も
の多数の方が良い印象をもっているそうです。それ
でも全く関心をもたない人が、国民の3人に1人も
いることに驚きを覚えました。災害派遣で給水を受
けても、用意された風呂に入り、温かい給食を受け
ていても、そのサービスの元である自衛隊に関心が
ない・・・これにはひどく驚かされます。
「防衛力について」は、自衛隊の規模や戦力につい
ての設問でした。増強した方がよいには29%の方
がそう答えました。逆に縮小は5%です。いつの時
代も平和主義、非武装主義、反軍隊の考えを持つ方
はおります。だから5%、およそ20人に1人は、
自衛隊の規模を縮小せよと考えていることは確かで
しょう。しかし、注目すべきは、「今の程度でよい」
という方々が60%もいることです。
複数回答で、「自衛隊に期待する役割」への答え
は、最高が79%の「災害派遣」となっています。
これは本来任務といえる「国の安全の確保」の61
%を大きく超える割合になりました。続いて第3位
は「国内の治安維持」、50%です。興味深いのは
次の第4位に挙げられたのは「弾道ミサイル攻撃へ
の対応」が40%だったことでしょう。これは近頃
の報道で、北朝鮮の動きが詳しくされることからで
しょうか。続いて第5位の「国際平和協力活動への
取組(国連PKOや国際緊急援助活動)の35%でした。
こうしたアンケートの答えから分かることは、自
衛隊に好感を持つ人は多いけれど、その実態には関
心が低い。したがって現在の手不足状態や、足りな
いだらけの防衛予算などについてもよく知らない。
災害派遣には期待するが、国際貢献などは重視しな
いということもよく分かります。
災害に遭ったら自分で自分の身を守ることが最も
大切な事です。警察、消防、役場が何かしてくれる
だろう、自衛隊が来るだろう、そういった考えを捨
てるのが一番です。まず自助努力をする、次に周り
の人と協力する、公的機関が手を差し伸べることば
かりを期待してはなりません。
「中央公論」2020年3月号
『自衛隊の災害派遣、知られざる実態に迫る-訓練
された《兵隊》、お寒い自治体』 荒木肇
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※ 2月10日発売
▼幕末、戊辰の役にやたら少なかった捕虜
外国人で最初におかしなことに気付いたのは英国
人医師だった。官軍に雇われて従軍したのだが、捕
虜はいても、その負傷者があまりに少なかった。ど
うやら聞いてみると、敵方の負傷兵はほとんど斬り
捨てていたらしい。身動きのとれない者ばかりか、
降参した敵兵もほとんど殺してしまったという。
まず降伏した敵兵は管理がめんどうくさい。監視、
尋問、後送、それに怪我でもしていたら治療もしな
ければならない。収容しても監視しながら給食し、
やっかいなことこの上ない。そこで、たいていが殺
してしまったらしい。
たとえば、鳥羽・伏見の戦いでは、薩摩藩士の手
記の中のなんとも恐ろしい記述を野口武彦氏は取り
上げている。城塞がわりにされた旧幕府軍伏見奉行
所が陥落した場面である。
「残党らの戦いがしばらくありましたが、ようやく
敵砲の射撃もやみ、一人もおらず、残りは皆逃げて
いったように見えました。残りの重傷を負った賊兵
(幕府兵)の隠れている者は斬り捨てました。(略)
そうしておいて各所に放火し、そのまま部隊は引き
揚げました。奉行所内に病院のように見えるところ
には死骸が山のようになって積みあげられていまし
たが、間におりました存命の者は、みな斬り捨てお
きました」(原文を現代語に意訳した)
「・・・半死半生の者はみな首を切り・・・」と報
告書にあるように、重傷の者は皆、殺されてしまっ
たのである。
では、旧幕府軍側はどうだったかというと、同じ
ように敵方(新政府軍)に通じたと疑いをかけた民
間人を殺傷したり、負傷兵を殺してしまったりした
例は数えきれないほどだっただろう。
これは問題だ・・・という意見も出た。というの
も戊辰戦争は世界各国の注目の的だったのだ。旧幕
府が結んだ国際条約は、そのほとんどが不平等なも
のだった。それというのも、欧米諸国は日本という
国は後進国だとし、日本人を野蛮人ととらえていた
からである。もちろん、抵抗力を失った敵兵を攻撃
してはならない、捕獲した捕虜には危害を加えず、
保護すべきだという主張をもった人々もいた。
▼大山巌とジャンダルムリ-
大山巌(おおやま・いわお)という巨星について
詳しく言うこともあるまい。鹿児島城下の下加治屋
町に、1842(天保13)年に生まれた。父は同
町内の西郷家から養子になって大山家を継いだ人だ
った。西郷隆盛(1828年生)やその弟従道(つ
ぐみち・1843年生)とは従兄弟にあたる。
初めの結婚は同藩士吉井友実(よしい・ともざね、
明治政府の高官をつとめ、のち伯爵、1828~1
891年)の娘と結ばれたが、再婚相手の山川捨松
(やまかわ・すてまつ、1860年生)の方が有名
である。捨松は前回に登場した元会津藩士山川浩陸
軍少将(1845年生)、東京帝国大学総長山川健
次郎(1854年生)の妹であり、明治政府初めて
の女性海外留学生だった。
大山巌は砲兵として活躍した。輸入外国砲に工夫
を加え、「弥助砲(やすけほう)」の開発で知られ
もした。1871(明治4)年、普仏戦争のプロイ
セン軍によるパリの制圧を実見する。1874(明
治7)年10月までフランスに留学し、帰国して陸
軍少将に任ぜられた。
この大山がすでに中将になり1879(明治12)
年10月16日から翌年2月28日まで、内務大輔
(内務省の次官)兼警視局長に就いたことがある。
折から大警視川路利良が同月13日に帰国途上に病
没した跡を埋めたのだった。
はっきり証明する文献は見つからないのだが、軍
隊の憲兵はようやくこの頃から本格的設置が検討さ
れたのではないだろうか。フランス式兵制の採用で、
GENSDARMERIE、ジャンダルムリーを研究するのは当
然だったのだ。ジャンダルムリーはのちにGENDARME
(ジャンダルム)とされたが、わが国では一貫して
「憲兵」とされた。フランス軍には国家警察として
の、あるいは軍内警察としての「憲兵」があったの
だ。
▼「憲」の意味
ジャンダルムリーとは登山用語で「最高峰の前の
高峰」とされるそうだ。他にはやはり、英語圏のミ
リタリーポリス(MILITARY POLICE)、憲兵と訳され
る。銃士とか軍人ともされることがある。
もともと憲法などでなじみ深い「憲」とはどうい
う意味だろうか。「さとい=聡い」、「敏く(さと
く)覚る(さとる)」、「のり=則」、「掟(おき
て)」、「手本(てほん)」などの意味が漢和辞典
には記載されている。
1872(明治5)年には兵部省から軍人に読み
きかせ、後の宣誓にあたるものを「軍人読法(ぐん
じん・とくほう)」と言った。その第1条に「兵隊
は第一皇威を発揮し、国憲を堅固にし・・・」とあ
る。この場合は、国憲とされていることから「則、
掟」にあたることが明らかだろう。
名付け親も分からないが、後に「監軍護法(かん
ぐん・ごほう)」を高らかに宣言している憲兵とい
う存在は、「掟や規則を守る」の他に「他の軍人の
手本になる」という期待もされたのではないだろう
か。
次回はいよいよ憲兵新設当時の話を紹介しよう。
(以下次号)
(あらき・はじめ)
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●著者略歴
荒木 肇(あらき・はじめ)
1951年東京生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、同
大学院修士課程修了。専攻は日本近代教育史。日露
戦後の社会と教育改革、大正期の学校教育と陸海軍
教育、主に陸軍と学校、社会との関係の研究を行な
う。
横浜市の小学校で勤務するかたわら、横浜市情報処
理教育センター研究員、同小学校理科研究会役員、
同研修センター委嘱役員等を歴任。1993年退職。
生涯学習研究センター常任理事、聖ヶ丘教育福祉専
門学校講師(教育原理)などをつとめる。1999年4月
から川崎市立学校に勤務。2000年から横浜市主任児
童委員にも委嘱される。2001年には陸上幕僚長感謝
状を受ける。
年間を通して、自衛隊部隊、機関、学校などで講演、
講話を行なっている。
著書に『教育改革Q&A(共著)』(パテント社)、
『静かに語れ歴史教育』『日本人はどのようにして
軍隊をつくったのか―安全保障と技術の近代史』
(出窓社)、『現代(いま)がわかる-学習版現代
用語の基礎知識(共著)』(自由国民社)、『自衛
隊という学校』『続自衛隊という学校』『子どもに
嫌われる先生』『指揮官は語る』『自衛隊就職ガイ
ド』『学校で教えない自衛隊』『学校で教えない日
本陸軍と自衛隊』『あなたの習った日本史はもう古
い!―昭和と平成の教科書読み比べ』『東日本大震
災と自衛隊―自衛隊は、なぜ頑張れたか?』『脚気
と軍隊─陸海軍医団の対立』『日本軍はこんな兵器
で戦った─国産小火器の開発と用兵思想』(並木書
房)がある。
PS
弊マガジンへのご意見、投稿は、投稿者氏名等の個
人情報を伏せたうえで、メルマガ誌上及びメールマ
ガジン「軍事情報」が主催運営するインターネット
上のサービス(携帯サイトを含む)で紹介させて頂
くことがございます。あらかじめご了承ください。
最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝し
ています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、
心から感謝しています。ありがとうございました。
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