配信日時 2020/02/03 08:00

【桜林美佐の「美佐日記」(61)】 北海道出張日記―ライフラインはセコマ

こんにちは、エンリケです。

おっしゃるとおり、

「室内は暖かい」のが北海道。

というイメージがありますよね。

それが裏切られた(?)ときの
ショックは、察するに余りありますw

さっそくどうぞ。

エンリケ



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今年4月に刊行された『自衛官が語る災害派遣の記
録』に続く、第2弾『自衛官が語る海外活動の記録』
(桜林美佐監修・自衛隊家族会編)が発売されてい
ます。中東シーレーンの安全確保をめぐって新たな
自衛隊派遣が行われているこの時期にタイミングを
合わせたような出版です。現地で自衛官たちが何を
思い、どのような苦労をして、任務をこなしてきた
か、25人の自衛官のリアルな体験記です。

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桜林美佐の「美佐日記」(61)

北海道出張日記―ライフラインはセコマ

桜林美佐(防衛問題研究家)
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 おはようございます。桜林です。「男もすなる日
記といふものを、女もしてみむとてするなり」の
『土佐日記』ならぬ『美佐日記』は今回で61回目
です。

 防衛省OBのUさんからメッセージを頂戴しました。
Uさんにはこれまで度々お世話になり『宗谷』の本
を出した頃から各所に紹介して下さった懐かしい思
い出があります。ありがとうございました!

さて、先日私は札幌に行って来ました。福岡からは
直行便があり約2時間で到着できます。しかも東京
に行くよりも旅費は安いのです。滞在時間はちょう
ど24時間でしたが、これ以上いると凍えてしまい
そうな寒さでした。

 といっても今年の北海道は暖かいということで、
地元の人にとっては非常に過ごしやすいそうです。
福岡県民を代表して言わせて頂きますと(まだ県民
歴約1年半ですが)、私は1日でギブアップです。

 何が寒かったって、まずホテルの部屋の中。
え?ホテルは暖かいはずだって?そうですよね、私
もかねがね北海道は家の中は暖かいと聞いていまし
た。しかし!それはケースバイケースだと分かりま
した!

 ホテルの部屋にいると、どんどん体が冷えてくる
ので、エアコンを強めようとすると「冷房」と書い
てあります。どうして?冷房しかない・・・?

フロントに電話をしてみると「ああ、5階のお部屋
は寒いんですよね・・」という。なぜ5階だけ?何
があったのか??

 結論から言えば理由はよく分からなかったのです
が、どうも5階だけがセントラルヒーティングだと
いうことが分かりました。自衛隊に宿泊した時のよ
うなかんじです。

しかし、自衛隊のように夜にスイッチが切れないの
だから、ありがたいと感謝するべきだったのかもし
れません。

 もう一つは、みんなが言うほど「北海道の室内は
暖かくない」のかも(少なくとも私にとっては)。
外が寒いので、あくまで相対的な評価だった可能性
もあります。

 昨年末に異動で北海道から福岡に来た自衛隊の方
が「福岡の室内は寒すぎる!まるで野外。風呂も露
天風呂だ」と言って暖房機器を買い込んでいたので、
北海道の室内は半袖1つでいいものかと思い込んで
いました。完全に偽情報にやられました。まあ「場
所による」っていうことですね!

 前置きが非常に長くなりましたが、今回の出張の
目的は、自衛隊医官や衛生職種の方をはじめとする
内外の医療関係の皆さんの学会で講演をすることで
した。

折しも新型肺炎の感染が広がっている中での札幌行
きということで、やはり気になってしまうのは外国
人観光客。減ったと報じられていましたが、中国か
らとみられる団体旅行客の姿は数多く見られました。
現に滞在中も札幌で一人の感染者が確認されていま
す。

 けっこう咳をしている人が多いので、やはりどう
しても不安な気持ちになってしまいます。同じホテ
ルには医学博士の先生方も宿泊していて、食事会に
出て宿に戻りエレベーターに乗ろうとしたところ大
勢の集団旅行客と一緒になり、思わずみんなで自動
販売機にジュースを買いに行くという、瞬間的に無
言のチームワークが醸成されていました・・。

この時期は本来、もうすぐ「さっぽろ雪祭り」とい
うことで、雪像作りも完成直前のはずでしたが、今
年は雪が非常に少ないということで、やや難航する
中、自衛隊の皆さんも頑張っていました。

 ところで、北海道に行くと必ず買い物に行くのが
「セイコーマート」です。通称「セコマ」。セコマ
の北海道胆振地震の際の活躍を、私はニッポン放送
のラジオドキュメンタリーで書いています。

最大震度7の地震で北海道のほぼ全域が停電し、1週
間近くその影響が続きましたが、セコマだけが営業
していたのです。

同社は、停電の際、車を使って最低限の電源を確保
することがマニュアル化されていました。さらに、
近くに車が置けない場合や、ガソリンがないことも
想定し、電気がなくても使える小型会計端末を全店
舗に配布していたといいます。

 こうした災害時に備えたマニュアルは、道内の暴
風雪被害や東日本大震災などのたびに見直しを重ね
てきたそうです。

 また、店内で調理した弁当販売も特徴で、多くの
店舗にガス釜があり、停電中も炊飯が可能だったこ
とから、温かいおにぎりを提供できたのだそうです。

また、セコマは道や道内各地の自治体との間で、災
害時に食糧や生活物資を供給する協定を結んでいて、
当時も地震直後からパンや飲料水、菓子類などを提
供しています。

 こうした実績からも、セコマは道民の貴重なライ
フラインとして大きな存在なのです。

 そして、それだけではありません。

 いつだったか、雪深い稚内でホテルに着いたもの
の食べ物がなく、送ってくれた自衛官に「セコマに
連れて行って下さいっ」と懇願したことがあります
が、セコマは私にとっても北海道出張における大事
なライフラインなのです。あらかじめセコマとの距
離を調べておくことが危機管理になります。

 セコマはおそらく道内で頑張っている自衛官の支
えにもなっているに違いありません。これからもよ
ろしくお願いします!


<おしらせ>
YouTubeチャンネルくららで毎週土曜にアップして
いる「国防ニュース最前線」、今週も伊藤俊幸 元
海将に解説して頂きます。

http://okigunnji.com/url/42/




(つづく)



(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フリ
ーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(PH
P研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載。


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