こんにちは、エンリケです。
分かっていそうで全然わかっていない。
知見があるようで、実は語れるものがない
と気づく瞬間ないですか?
私はよくあります。
きょうから始まるこのシリーズの題名
「戦略航空偵察」
もそうです。
言葉の意味や概念は把握できます。
でもその中身をきちんと理解把握できているか?
と問われたら「否」と言わざるを得ません。
事情や状況を知らないし、わからないですからw
きょうから始まる新連載
「戦略航空偵察」は、
その名のとおり、航空偵察を
テーマとする連載です。
「空の忍者」といって差し支えないですね。
でも
現代の航空偵察を扱った読みものは、
ほとんど目にしませんよね。
航空偵察とは
どんな世界なのか?
何をしているのか?
わが自衛隊ではどうなっているのか?
・・・
知りたい人には、他では決して得ることのできない
貴重な内容になるはずです。
そうでない方も、
大激動の時代となる今年「令和二年」を
より正確に見抜いて、その波にきちんと乗れる
基盤となるヒント、視座を与えてくれること間違い
ないです。
それにしても、記事中で紹介される衝撃の事実には
驚かされました。
さっそくどうぞ
エンリケ
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新シリーズ!
戦略航空偵察(1)
空自の電子偵察機─YS-11からC-2へ
西山邦夫(元空将補)
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□ご挨拶
このたび、メルマガ「軍事情報」に『戦略航空偵
察』を連載することになりました。
最初に私の経歴を簡単に紹介します。防衛大卒、
航空自衛官を1991年に退官したOBです。現役時代
には航空幕僚(空幕)監部、航空総隊などで情報幕
僚として勤務し、空幕時代は電子測定機YS-11Eの予
算要求、米軍稚内電子情報施設の移管受けなどを、
航空総隊時代には樺太の大韓航空機撃墜事件に対応
しました。
自衛官現役時代は、日本の脅威と言えば1にも2
にもソ連だけ、中国も北朝鮮も目に入らない状況で
したが、航空偵察という観点から見ますと厳しい状
況が続いた時代です。
冷戦初期には日本を発進した米軍偵察機が日本海
や北海道周辺で撃墜される事例が多数発生していま
したが、おそらくほとんどの日本人はこのことを知
らぬまま過ごしてきたものと思います。1950年代に
は、ソ連の核攻撃能力に対する恐怖が米国をしてソ
連領内への偵察飛行を強行させ、ソ連領内深くウラ
ル山脈でCIAが運用するU-2偵察機が撃墜された1960
年までこの種の偵察行動は続きました。
その後もキューバ危機、中国の核開発に対する内陸
偵察、ベトナム戦争 、北朝鮮の監視とEC-121撃墜
事件など戦略的な目的を持った他国上空の偵察活動
は継続しました。米軍に対抗してソ連も執拗に偵察
活動を行なっています。日本に対する領空侵犯も、
冷戦時代を通じて航空自衛隊が対処した事例が20件
以上にのぼります。
冷戦終結後は湾岸戦争、イラク戦争など戦争にと
もなう偵察活動、中国の勃興に対処する偵察活動、
中東のテロ組織・疑似国家に対する偵察、北朝鮮の
核・ミサイル開発に対する監視等々、偵察機の部隊
には暇(いとま)のない状況が続いています。最近
は中国機による偵察活動が活発化し、航空自衛隊の
スクランブル数はソ連機に対する数を上回るように
なりました。
本来、航空偵察は秘匿された活動で、明らかにされ
ることはほとんどありません。このメルマガでは、
偵察活動の実態についてできる範囲で詳しく紹介し、
航空偵察は何を目的に行なわれているか、それが意
味するところは何かなどについて考察して行きたい
と思います。
▼空自初の電子偵察機誕生
最初に、航空偵察と私との関わりについて少々触
れます。私が空自内で取り組んだ仕事の1つが電子
情報(ELINT)収集が可能な偵察機の予算獲得でした。
当時、本格的な電波収集能力を持つ航空機を持つこ
とは空自内の大きな希望となっていましたので、空
幕在任中に大蔵省に対し、昭和50年代後半に予算要
求を始めました。母機としてC-130などを候補に挙げ
ましたが、価格が高過ぎるとの大蔵省の指摘があっ
て、空自が持っているYS-11を改装して使うことし
て計画を立て直しました。
本当は、米軍が運用しているRC-135級の機体が欲
しかったのですが、予算的に高根の花、要求開始か
ら数年後に予算を付けていただいたのがYS-11電子
測定機でした。大蔵省は新規の事業にはなかなか予
算を付けてくれず、苦労の末の偵察機誕生でした。
その後、YSはエンジンを強化するなど段階的に機
能を強化しましたが、搭載重量、飛行高度、航続距
離などRC-135にはとても敵いません。その点、海上
自衛隊はP-3という優れた対潜哨戒機を数多く持って
いましたから、EP-3という高性能の電子情報収集機
を持つことができました。空自としては羨ましいこ
とですが、日本国、自衛隊としてはそれぞれ特色あ
る機体を複数持つことができたので、良しとしなけ
ればならないでしょう。
YS-11は巡航速度480km/h、飛行高度3,000m前後、
航続距離は2,000kmほどの性能です。配備された入間
基地から飛び立って、ウラジオストク沖100kmまで行
くとします。往復1,600km、情報収集活動を行なう時
間は目いっぱい頑張っても30~40分、情けないです
ね。そこで目的地に近い北海道、九州、沖縄などの
基地へ移動してから活動することになります。
飛行高度の問題もあります。高度3,000mでは、地
球が球体であるため見通し距離は200 kmほどになり
ます。海岸から100km離れて飛行すると、内陸は100km
までしか電波傍受ができません。RC-135でしたら高
度1万mを飛びますから、見通し距離は380kmほどに
なり、内陸を300kmも収集範囲とすることができます。
▼大型偵察機の利点とは
航空自衛隊はYS-11の後継機としてC-2輸送機を改
装して電子測定機として令和2年に運用を開始する計
画です。飛行高度は最大で12,000mとされており、航
続距離を含めてRC-135並みの収集範囲を獲得できる
でしょう。YS-11の取得から実に35年経過し、ようや
く性能的に遜色のない機体を持つことができ、OBと
して感無量です。
ここで、現在も現役で飛行しているU-2偵察機と比較
してみます。見通し距離ではU-2の優位は圧倒的です。
U-2は高度20,000mを飛行しますから、見通しできる
範囲は約530kmになります。
朝鮮半島で飛行する場合を例にとって見ます。米軍
機は通常非武装地帯の南を飛行します。仮に50km南
を飛行しますと、YS-11は平壌まで見通しできません。
C-2ですと北朝鮮と中国の国境線の南まで見通せます。
U-2ですと、理論的には中国領内まで見通し距離に
なりますが、あまりに遠距離ですから、電波の減衰
など多少は割り引くのが良さそうです。
U-2は1人乗りで、操縦から収集作業まで1人でや
らなければなりません。作業の大部分は自動的な処
理になります。一方で、C-2は複数の収集員が搭乗
しますから、多くの目標に同時に臨機応変に対処で
きる利点があります。また搭載機器も大量に積めま
すので、収集能力は大幅に増強されます。大型偵察
機の利点です。
(以下つづく)
(にしやま・くにお)
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□著者略歴
西山邦夫(にしやま・くにお)
1936年生まれ。防衛大学校卒(4期・空)。
情報関係略歴:航空幕僚監部調査2課収集1班長、航
空総隊司令部情報課長、陸幕調査別室主任調整官、
航空自衛隊幹部学校主任教官。著書に『肥大化する
中国軍(空軍部分を執筆)』(晃洋書房、2012年)、
『中国をめぐる安全保障(空軍部分を執筆)』(ミ
ネルバ書房、2007年)。研究論文に『中国空軍の戦
力構成とドクトリン』『中国空軍のSu-30MKKとイン
ド空軍のSu-30MKI』『韓国空軍の増強と近代化』
『中露合同軍事演習』『中国の主要航空兵器の装備
化実績と将来予測』『中国空軍の戦力とドクトリン』
『チベットにおける中国の軍事態勢整備』など多数。
PS
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