配信日時 2019/11/21 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (255)】明野駐屯地航空学校(5)

こんにちは、エンリケです。

明野駐屯地航空学校の五回目です。

じつに興味惹かれる記述がつづきます。

「野整備」という仕事を今回初めて知りました。
じつにおもしろいです。

さっそくどうぞ


エンリケ


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『ライター・渡邉陽子のコラム (255)
 ― 明野駐屯地航空学校(5)―

         渡邉陽子
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こんばんは。渡邉陽子です。
最近、自衛隊に関する勉強が足りないと反省しています。買った雑
誌を読み終えていないうちに次の号が届いてしまったり、電車で読
もうと思っていた文献があるのに、つい続きが気になる小説を読ん
でしまったり。後で観ようと録画しておいた安全保障関連の番組よ
りもドラマを優先してしまったり……要は怠けているのです。
同業者の中で、私ほど知識のないライターはいないと落ち込みそう
になりましたが、落ち込んでないで勉強しなければなりませんね。
「あれもしたいこれもしたい、でも勉強もしよう」ができるほど器
用ではないので、少なくとも当面は自分にびしばし厳しくいこうと
思う、今日この頃です。

N様、OB会は盛り上がりましたか? 苦楽を共にした仲間との再会
は、あっという間に時間が当時に戻りますよね!


■明野駐屯地航空学校(5)

陸自における装備品の整備は使用者、野整備、補給処整備の3段階
に分かれていますが、航空科のみ昔ながらの5段階を踏襲していま
す。
1段階整備は操縦士による飛行前点検、2段階は定期的に行なう軽微
な整備。3段階はエンジンやトランスミッションを下ろしたり部品
を定期的に交換するなどで、ここまでが整備部の担当となります。
4段階は霞ケ浦の関東補給処での整備、そして5段階は3年に一度メ
ーカーに送るアイランと呼ばれる整備で、車でいえば車検のような
もの。ここでいったんリセットされ、新品同然になって部隊に戻っ
てきます。
アイランから出てきた機体は新品同然だから安心できるかと思いき
や、整備員はそんな過信はしません。「人が締めたネジは不安」と
自分たちですべて点検し、機付長が持っているイメージで最高のコ
ンディションを追求するといいます。

海自や空自のそれと同様、格納庫には小さなゴミひとつ落ちていま
せん。あらゆる工具類はその形にくり抜かれた工具箱に収めるよう
になっており、器材を持ち出し使用している隊員が誰なのかも一目
で確認できるようになっています。
ウエスをエンジンに吸い込ませてしまう、器材を航空機に乗せたま
ま飛んでしまうといった小さなミスが大きな事故につながるとも限
らないため、整備部の整理整頓ぶりは徹底しています。
その一方で陸自には野整備科があり、薄暗かったり傾斜があったり
という環境の中でも、天幕を張りその中でエンジンを下ろし点検し
ます。車両の下からチェックするため、天幕の中に穴を掘ることも。
格納庫とは180度違う環境においても当たり前のように作業をこな
す練度の高さには、海自や空自の整備員も驚くそうです。

航空科の話ではありませんが、かつて深夜の演習場で、漆黒の闇の
中でほんのごくわずかな弱いペンライト程度の明かりのもと、戦車
のエンジンを交換するという訓練を取材したことがあります。

私が取材をしていて操縦士以上に「プロフェッショナル」「職人」
という言葉を強く意識するのが整備員です。
「指先と爪の間に入り込んでしまったオイルがなかなか取れない」
と、うっすら黒く汚れた爪を気にしていた若い女性隊員は、私から
すれば実にかっこよかったです。

格納庫の一角ではTH-480Bの飛行後点検が行なわれています。
汚れを落としつつ機体に異常がないか、チェック項目をひとつずつ
確認していきます。点検項目は隊員の階級や能力によって異なり、
点検に要する時間は航空機の特性によって異なります。
このTH-480Bはひとりでも30分程度でこなせるそうですが、AH-64D
となると4~5時間! はゆうにかかるとか。実際にはどの機体も、
飛行後点検は複数名で行なっています。

航空機に搭載されている通信機は、通信の特技を持つ隊員の担当で
す。
彼らは地上の通信機器を扱う隊員と一緒に、まずは通信学校の基礎
電子で学び、そこからさらに航空学校で専門的な通信技術を学びま
す。
主任務は無線機の整備や故障探求や交換ですが、通信部品は航空部
品よりも入手までに時間がかかりがちなのが悩みどころだそうです。


(以下次号)


(わたなべ・ようこ)

※現在連載中

「PANZER」12月号
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「正論」12月号
「自衛隊あってのオリンピック」第6回
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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
 
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。

 
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