配信日時 2019/11/14 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (254)】明野駐屯地航空学校(4)

こんにちは、エンリケです。

明野駐屯地航空学校の四回目です。

ヘリから下界を見たかのような記事です。

さっそくどうぞ


エンリケ


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『ライター・渡邉陽子のコラム (254)
 ― 明野駐屯地航空学校(4)―

         渡邉陽子
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こんばんは。渡邉陽子です。
以前は「本は紙で読みたい」という思いが強く電子本を敬遠してい
たのですが、自宅に占める本棚の割合や、引っ越しのたびにいちば
ん苦労する荷物が本であることを考えると、ものによっては電子本
もありではと思うようになりました。私は漫画も読みますが、漫画
は今やすべて電子本です。書籍も資料以外は電子本に。
雑誌は重いしかさばるし、これこそいちばん電子本にしたいのです
が、資料としての使い勝手を考えると今も紙媒体です。それからラ
グビーW杯関連の雑誌も、これは大きなサイズで写真見ないといけ
ませんから(笑)、紙媒体ですね。ちなみにスケジュール管理はい
まだに手帳です。


■明野駐屯地航空学校(4)

先週は航空学校長(取材時)の話をご紹介しました。個人的には
「陸自のヘリパイは『まっぷる』で飛ぶ」と聞いたときがいちばん
「それそれ!」と、陸自航空科の特徴をもっとも端緒に表している
と感じました。

朝9時。駐機場にはすでに何機ものTH-480Bが並び、離陸に備えてい
ます。
この練習用ヘリは教育用に使用しているOH-6Dの後継機として調達
され、2014年4月から運用開始となりました。
迷彩やオリーブといった陸自カラーに塗られていないのは、単純に
塗装代節約のためという説がもっとも大きいようです。確かに作戦
で運用されることがない機体ならば、カモフラージュする必要もあ
りませんね。
機体に書かれた白い数字はすべて航空学校で使われていることを示
し、ローター下部分に書かれた「S」または「SA」は明野の航空学
校、という意味です。これが宇都宮ならSU、木更津ではSKとなりま
す。

取材した日はソロ(単独飛行)2日目ということで、学生たちは隣
に教官ではなく同期の学生を同乗させてのフライトです。これまで
隣の座席で指導してくれていた教官はいません。
駐機場の隅でじっと見守っている教官は、操縦桿を握っている学生
よりも緊張しているかもしれません。

飛行前、天候や航空機の状況等の認識統一するため全員でブリーフ
ィングを行ないます。
続いて担当教官と事前ブリーフィングを行ない、実施する課目の確
認やどのような着眼を持って訓練に望むのかといった点の認識を統
一します。
駐機場ではすぐに搭乗するのではなく、航空機の飛行前点検を行な
ってからの離陸となります。また、各種訓練を行なう際にはシミュ
レーターでの模擬訓練も行なっています。

学生たちの操縦する練習機が1機、また1機と離陸していきます。低
空でのホバリング中にややテールが振れる機体もあり、学生が操縦
席で状態を安定させようと、冷静さを保ちつつも必死であろうこと
が容易に想像できます。
その背後のスポットでちょうど教官が操っていたAD-64Dの鉄壁の安
定感に比べ、いかにも心もとないのですが、それでもこうしてソロ
フライトにいたっているのですから、技術はしっかりと必要なレベ
ルに達しているということです。
ちなみに、航空機が離陸するたびに整備員がスポットまで歩き地面
を見渡しているのですが、これはボルトなどの落下物がないか確認
するためです。
一度のフライトは約1時間、隣に座っていた学生に交代してまた1時
間という順でフライトを繰り返します。

旧タワーそばには、総務部航空管理課救難消防班の消防車が待機し
ています。
いくつものスポットで同時に動きがある状況の中で、消防車で待機
する隊員が特に注意するのは、離着陸するスポットと電源車のある
スポットだそうです。
この救難消防班には米国製の最新耐熱救難消防車が導入されていま
す。水量は7600L、屋根とルーフにあるターレットからは走行しな
がら大容量の放水が可能、熱のある部分を確認できる赤外画像を撮
影する車外カメラはリモートコントロールで、車内から操作できる
という優れものです。
消火には水と泡剤、粉末を組み合わせて用い、まずターレットで火
勢を抑えて人命救助、次いでハンドラインで残りの火を消します。
出番がないにこしたことがない一方で、学生が操縦する機体あり飛
行実験隊あり、さらに陸自随一の離発着数とあって、消防車も定数
3台と陸自の飛行場の中では多く、気を緩める暇など皆無です。隊
員たちは真夏でも防火服に身を包み、地道な訓練を欠かしません。


(以下次号)


(わたなべ・ようこ)

※現在連載中

「PANZER」12月号
「神は賽子を振らない」第8回
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「正論」12月号
「自衛隊あってのオリンピック」第6回
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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
 
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。

 
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