こんにちは、エンリケです。
きょうから、陸自明野駐屯地にある航空学校の
話が始まります。
陸自航空のメッカ・明野の話は
聞く機会が意外に少ないかもしれません。
非常に楽しみですね。
さっそくどうぞ
エンリケ
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『ライター・渡邉陽子のコラム (251)
― 明野駐屯地航空学校(1)―
渡邉陽子
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台風19号で被害を受けられたみなさまに心よりお見舞い申し上げま
す。
私にとっても人生で初めて身の危険を感じた台風でした。近所の河
川のライブカメラを見ながら、自宅と同じ海抜、かつハザードマッ
プによれば自宅と同等の浸水が予想される避難所に行くか、または
1階ではない自宅に止まるか、非常に迷いました。結果としては自
宅も私も無事で、さらに最寄りの避難所は避難勧告が出た時点です
でに満員だったそうなので、家に止まったのは間違いではなかった
ことになります。けれど、雨が小降りになってきてほっとした直後
に最寄り河川が氾濫したのには青くなりました。今回は、雨は止ん
だのに河川の水量が増し続けて氾濫したケースが目立ちましたね。
自衛隊も統合任務部隊(JTF)を編組し、災害派遣に従事していま
す。被災地に赴いている隊員自身が被災者であることも少なくなり
ません。そして、隊員たちにも家族がいることを忘れてはならない
と思います。
■明野駐屯地航空学校(1)
今週から、陸上自衛隊明野駐屯地に所在する航空学校をご紹介しま
す。
三重県で唯一、飛行場がある明野駐屯地。
飛行場は大正9年に開設し12年に明野陸軍飛行学校に昇格、数多く
のパイロットを輩出しました。
戦後は保安隊航空学校が浜松に開設。昭和30年に明野に移駐すると
同時に明野駐屯地も開設され、その他の部隊も移駐または新編を重
ねて現在にいたります。
現在の明野飛行場は、大規模災害時の拠点としても重要な位置を占
めています。
なお、大正11年に建設された将校会議所は現在も航空記念館として
現存、陸軍関係の資料が展示されています。
明野駐屯地には航空学校のほか、次の部隊も所在しています。
まず、ヘリ火力戦闘を任務とする第5対戦車ヘリコプター隊と、多
用途ヘリによる航空偵察・空中機動等の各種航空活動を行なう第1
0飛行隊。
陸上自衛隊唯一の飛行実験部隊として航空機搭載機材等の実験・試
験等を行なう飛行実験隊。
このほか中部方面管制気象隊第1派遣隊、第306基地通信中隊明野派
遣隊、第107全般支援大隊整備中隊明野派遣隊からなります。
駐屯地全体で約1000名が在籍、保有ヘリは練習機のTH-480Bをはじ
め多用途ヘリUH-1J、UH-60JA、戦闘ヘリAH-1S、AH-64D、観測ヘリ
OH-1、輸送ヘリCH-47J/CH-47JAの計約70機となっています。
陸上自衛隊航空科には、防衛任務として偵察、ヘリ火力、航空輸送、
その他の任務として災害派遣、国際平和橋梁活動、在外邦人輸送な
どが与えられており、航空科部隊の所在地は全国に点在、約450機
の航空機を配備しています。
航空科には操縦、管制、整備、通信、気象という5つの特技(MOS)
がありますが、その各種特技を取得させる教育機関が航空学校です。
航空学校は防衛大臣直轄部隊で、航空科に必要な知識及び技能を修
得させるための教育訓練を行なうことを任務としています。
明野駐屯地は本校に当たり、BOC(幹部初級課程・約90名/年)、A
OC(幹部上級課程・約100名/年)、FOC(幹部特修課程・約12名/
年)の運用教育と、幹部航空操縦課程(約20名・約2700時間/年)、
機種転換教育等(約45名・約1300時間/年)の幹部操縦教育を行な
っています。教育人員は年間約270名、うち操縦は65名、教育飛行
時間は年間約4000時間となっています。
分校に当たる北宇都宮駐屯地の宇都宮校では、陸曹操縦教育課程
(約48名・約9600時間/年)の陸曹操縦教育ならびに固定翼LRへの
機種転換教育(3名・約200時間/年)の幹部操縦教育が行なわれて
います。
さらに霞ケ浦駐屯地の霞ケ浦校では、航空整備課程等(約340名/
年)の整備・通信教育が実施されており、本校だけでなく分校もあ
るのは陸・海・空自衛隊の中で陸自だけです。
今回ご紹介する明野駐屯地の航空学校は、企画部、総務部、整備部、
第1、2教育部、研究部、教育支援飛行隊からなります。
第1教育部は航空科部隊の初級・中堅幹部に対して部隊運用に係わ
る教育を実施します。
第2教育部は幹部学生に対しヘリコプターの基本操縦教育を実施し
ているほか、機種転換教育および計器検定官養成教育を実施します。
このほか航空学校および富士学校等の幹部教育訓練支援や調査・研
究支援等を行なう教育支援飛行隊、航空学校が保有するヘリコプタ
ーの整備を行なう整備部、航空科職種の運用に係わる調査研究のほ
か、航空科部隊の教育訓練等に反映する教範および資料等の作成を
行なう研究部などから構成されています。
(以下次号)
(わたなべ・ようこ)
※現在連載中
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「正論」10月号
「自衛隊あってのオリンピック」第4回
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□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
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