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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応予備自衛官
でもあります。
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思い浮かびました。
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ちなみにこの連載、
疑問点は質問しておかないと損しますよ。
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防衛予算から読み解く日本の防衛力(9)
防衛関係費その6
市川文一(元武器学校長・陸将補)
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□はじめに
台風15号に続き、台風19号はさらに広範囲な地域に甚大な被害
をもたらし、自衛隊は3万人の態勢で災害派遣活動を行なってい
ます(10/17現在)。災害派遣も国際貢献も派遣当初は大きく報
道されますが、時の経過に伴い関心が薄れ、防衛省のホームペー
ジでしか確認できなくなります。
今回の台風19号による被害に対しての災害派遣は、台風15号の被
災者に対する支援が継続中で、豚コレラ対策のための災害派遣も
ようやく収束に向かっている中での派遣です。以前も述べました
が自衛隊の災害派遣活動は、近年、長期化する傾向にあります。
支援内容も広範多岐にわたっています。
何度も繰り返すことになりますが、自衛隊の主任務は国の防衛で
す。国の防衛のための力を活用して災害派遣を行なっています。
災害派遣活動が少なく活動が限定されていた時代は十分に対応で
きましたが、派遣回数が増え、支援活動が広範囲にわたる現在で
は、自衛隊の能力も限界に近づいています。
南西方面での脅威や弾道ミサイル、テロの脅威など、日本に対す
る脅威が多様化するとともに、宇宙、サイバー、電磁波といった
新たな領域での対応も必要とされ、そのために使用される予算が
拡大される一方、防衛予算全体額はほとんど変わりません。全体
が変わらないなかで新たな予算を増やせば、今まで使われた予算
が減ります。削減対象となるのは、装輪車両や通信機材、施設機
材などの直接戦闘に使用しない装備品や装備品を維持・管理する
ための経費、そして人件費(実員数)です。現状では、意図的で
はなく、自衛官の募集状況が厳しいため自衛官の実員が減ってい
ます。
自衛官の募集が厳しい一番の理由は、日本全体の雇用状況が良好
なことです(特に若年層の雇用状況)。自衛官の募集は日本企業
の雇用状況に影響されます。(この話題は次回に)
直接戦闘に使用しない装備品の削減や維持管理経費の削減、実員
の減少は、当然、防衛出動に影響しますが、影響の度合いからい
えば日常茶飯事となっている災害派遣活動に直接、しかも大きく
影響します。国の守りをしっかりと固め、災害への対応も国民の
期待に十分に応えるには、防衛費の増額は必須です。
読者のO様から、自衛官の定員、実員に関するご意見を頂きまし
た。ありがとうございます。増員に関しては直接、防衛予算に係
わるため、今後、連載で取りあげていきます。編成定員、訓令定
員に関しては内容が専門的なため本連載では取りあげませんが、
いずれ、どこかで取りあげたいと思います。
▼防衛予算の特殊な構造
防衛関係費について、一度整理します。防衛予算の特殊な構造
を理解するために最も重要ですから、しっかりとポイントとなる
ことを理解してください。
1)防衛予算は、歳出予算と新規後年度負担の2つの予算がある。
歳出予算は当該年度中に支出される予算で、新規後年度負担は次
年度以降に支出される予算である。
2)2つの防衛予算のうち、国会で議論され、マスコミなどで報
道されるのは歳出予算である。防衛装備品を調達するための予算
は、ほとんどが新規後年度負担であり、防衛装備品の調達数量
(31年度予算で高額なものは、F35、早期警戒機、護衛艦、潜
水艦、イージスアショアなど)を減らしても歳出予算はほとんど
減らない。
3)歳出予算は、人件・糧食費、歳出化経費、一般物件費の3つ
に分類される。人件費は給与、手当、退職金など自衛隊員に支払
われる経費、歳出化経費は新規後年度負担で調達したものの支出
に関する経費、一般物件費は、光熱水料、燃料、装備品の修理経
費などの自衛隊が活動するための経費である。
4)ほぼ決定されている人件・糧食費、歳出化経費の占める割合
は80%で、議論の余地が残る一般物件費は20%である。しかしな
がら、20%の一般物件費のうちの半分近くが、米軍駐留経費と射
撃や航空機の騒音などの対策に使用する基地周辺対策経費で、残
りの予算は実際に自衛隊が活動するために必要な光熱水料や燃料
費、故障した装備品を直すための修理費であり、ほとんど議論の
余地はない。
5)歳出予算(一般物件費)での調達は、契約と納品、支払いが
同じ年度となる。新規後年度負担での調達は、契約年度と納品、
支払い年度が異なる。新規後年度負担で調達されるもののうち、
契約から納品、支払いが2カ年度にまたがるものは2国、3カ年
度にまたがるものは3国、4カ年度のものは4国、5カ年度のも
のは5国と呼ばれる。新規後年度負担で調達されるものは2国か
ら5国がほとんどである。
6)歳出化経費は過去に新規後年度負担で契約したものの支払い
経費であり、国としての義務的経費で、ほぼ決定している経費で
ある。しかしながら、年度の防衛予算(歳出予算の歳出化経費)
として国会決議を受けなければならない。
ポイントと言いながら6項目になってしまいました。繰り返し
ますが、歳出予算と新規後年度負担の関係が最も重要となります。
疑問があれば、どんなことでも結構ですから質問してください。
(つづく)
(いちかわ・ふみかず)
市川さんへのメッセージ、ご意見・ご感想は、
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【著者紹介】
市川文一(いちかわ・ふみかず)
1961年生まれ。長野県出身。防衛大学校27期生。1983年、陸上自
衛隊に入隊。
2002年に1等陸佐に昇任後、第13後方支援隊長、統合幕僚監部
人事室長、装備施設本部武器課長、陸上幕僚監部武器・化学課
長、東北方面後方支援隊長、愛知地方協力本部長として勤務、
2015年陸将補に昇任後、陸上自衛隊武器学校長の勤務を最後に
2017年8月に退官。退官後の9月にはYouTube「桜林美佐の
国防ニュース最前線」に出演。
2019年9月に新刊『不思議で面白い陸戦兵器』を刊行。
2017/9 YouTube「桜林美佐の国防ニュース最前線」に出演。
https://youtu.be/6hPY3vgpidw
2017/10/21「桜林美佐の国防ニュース最前線」に出演
https://youtu.be/jESYh1lIeSE
2018/2/10「桜林美佐の国防ニュース最前線」に出演
https://youtu.be/D_md0ZSJNds
2018/6/9「桜林美佐の国防ニュース最前線」に出演
https://youtu.be/eHnT9jvqQjk
2018/10/6「桜林美佐の国防ニュース最前線」に出演
https://youtu.be/aEOhNJ3twN0
著書に『猫でもわかる防衛論』(大陽出版)がある。
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