配信日時 2019/09/30 08:00

【桜林美佐の美佐日記(45)】気候変動ガールにはかなわない ─「情緒的」なものの背後にあるもの―

こんにちは、エンリケです。

情緒的でセンセーショナルな報道には必ず裏があって
そのことを通じて利益を得る人や組織・国が必ずある。

と思いませんか?

きょうも、
魅力的なだけでなく、大きな学びを得られる記事です。

すぐにどうぞ。

エンリケ



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桜林美佐の「美佐日記」(44)

気候変動ガールにはかなわない
─「情緒的」なものの背後にあるもの―

桜林美佐(防衛問題研究家)
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 おはようございます。桜林です。「男もすなる日記といふもの
を、女もしてみむとてするなり」の『土佐日記』ならぬ『美佐日
記』は今回で45回目です。

 たまたま家にあった歴史モノの雑誌をペラペラめくっていたら、
「三国志」の特集記事が掲載されていました。そして、ふと、そ
の中の一文に目がとまりました。

「三国時代の3世紀には地球規模の気候変動があり、気温が3度
低くなりました。」

 へえ~っ、そうなんだあ~と思わずつぶやきました。そしてそ
の横で、テレビからはスウェーデンの16歳の少女が国連の気候
行動サミットでまるで何かに憑かれたかのような怒りの演説をし
ている姿が・・・。

 気候変動は歴史的には自然現象として繰り返されてきたわけで
す。一方で今、問題になっている「地球温暖化」は二酸化炭素
(CO2)が増加したことが原因とされていて、実際にはCO2に全
ての罪を負わせる説に懐疑的な科学者は少なからず存在するよう
です。

 しかし、そうした人たちは声をあげたところで気候変動ガール
には到底かなわないし、環境保護団体などに袋叩きにされるのが
関の山です。だいたい何の支援もなくニューヨークまでヨットで
行かれるはずがない。しかし、バックグラウンドや根拠を求める
ことよりも情緒的なもののほうが支持されるのは世界共通、怖い
から余計なことは言わないほうがいい、くわばらくわばら・・と
なってしまうのではないでしょうか。

 他方、日本は火力発電も原発もダメとなれば、一体どうするつ
もりなのか? 海外の報道では支離滅裂にしか映し出されていな
いわが国の姿がそこにあるのです。

 それなのに、相変わらず日本のニュースは小泉環境大臣の一挙
手一投足に興味津々で、驚いたのは、大臣がニューヨークに着く
や否や「ステーキを食べに行った」ということを嬉々として伝え
ていたことでした。

 牛のゲップによって地球温暖化の原因となるメタンガスとCO2
が排出されているとして大きな問題になっています。欧米では畜
産業が地球温暖化や環境破壊の大きな原因だという理由で、牛肉
を食べるのを止める「ミートレス」の動きが広がっているほど、
これは「火中の栗(牛)」だったのです。

そんなことを知ってか知らずか、かの大臣「毎日でもステーキを
食べたい」というコメントまでしたのですから驚きです。

 もちろん、何を食べようと個人の勝手ですが、多様な価値観の
交錯する中に出て行く日本人代表が無神経ではいけません。

後日、ステーキと温暖化の関係について改めて質問され、それに
対する答えは以下の通り。

「・・だけど私は今、質問されてありがたいなと思ったのは、こ
うやってステーキと気候変動、この質問って今までなかったと思
いません? なので、これがまずニュースになるんだったら、そ
れだけでも日本の中でのこの環境問題ってのを考えるいいきっか
けになるなと思いますね」

 学校を休んで怒りをぶちまける少女と、珍回答で人々を煙に巻
く若大臣・・・、それを持ち上げたりけなしたり、環境問題も大
事ですが、私は人類の知性が心配です・・・。

 ところで「情緒的」というと、韓国の言動が「情緒的なもの」
に起因すると、よく言われますし、そのように見えますよね。し
かし、ちょっと違うかもしれないと思わせる側面を発見しました。

在韓米軍のツイッターに気になる発表がありました。それは彼ら
がずっと続けていた夜間外出禁止令を延長するという内容でした。
そのようなことをしていた事実も知りませんでしたが、さらに驚
いたのは、7月に酒に酔った米軍兵士がタクシー運転手と警官に
暴行を加え、車を盗もうとした事件があったということでした。

 このような事件が起きたのなら、「米軍基地は出て行け!」と
いった運動が過熱するのではないかと思いますが、全くと言って
いいほど聞こえません。

韓国、というか文在寅政権は在韓米軍基地の早期返還を推進する
と国家安全保障会議(NSC)で発表しましたが、考えてみるとこれ
は「在韓米軍撤退」を求めると言ったわけではありません。韓国
軍の装備は米軍の衛星などシステムを利用しなければ機能しない
ため、米国なしでは戦えないことからずれば、米軍がいなくなっ
ては困るのです。

 あれほどに感情的な韓国の人々が、米軍兵士による暴行事件に
ほとんど反応していないように見えるのはなぜなのか。単に日本
には伝わってこないだけなのか、本当に無反応なのか。

いずれにしても、このことは、同国で起きる様々な運動、特に日
本に伝わって来るものは何らかの工作と結びついていることを暗
に示しているのかもしれません。

 気候変動ガールもそうですが、情緒的なものがツールとして利
用されているだけで、背後には必ずそれによって利益を得る人や
国があると考えるべきでしょう。

 さて、前回の日記に感想を頂戴しました。

「今回のメルマガを読ませていただき、昨年小郡で見てビックリ
した訓練展示を思い出しています。一般的な駐屯地では敵部隊の
撃破をメインとした勇ましいものですが、自衛隊のみならず警察、
消防、ドクターヘリ・・・なんて地元密着でリアルなんだろうと
感心しました。」

 Gさん、ありがとうございます。他機関と協同する試みをスター
トさせた際に調整にあたった労力は大変なものだっただろうと想
像しています。自衛隊って、そういう先駆者の物語が残りにくい
組織なので、今後も有意義な試みのリレーが続くことを願ってい
ます。

<おしらせ>
YouTubeチャンネルくららで毎週土曜にアップしている「国防ニュ
ース最前線」、今週はお休みです。

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(つづく)



(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、
ディレクターとしてテレビ番組を制作。その後、国防問題などを
中心に取材・執筆。著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続け
た海の守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰も語ら
なかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だけでは防衛産業は守
れない』『防衛産業と自衛隊』(いずれも並木書房)、『終わら
ないラブレター─祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』
(PHP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産経新聞出
版)、『ありがとう、金剛丸─星になった小さな自衛隊員』(ワ
ニブックス)。月刊「テーミス」に『自衛隊密着ルポ』を連載。


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(代表・エンリケ航海王子)
 
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