配信日時 2019/09/23 08:00

【桜林美佐の美佐日記(44)】周囲の温かさに支えられている自衛隊

こんにちは、エンリケです。

村長さんの言葉に深くうなづかされます。
そのとおりですね。

飲み屋さんの意気や、警察の方のことばにも
心揺さぶられます。

きょうの記事も惹きこまれます。
さっそくどうぞ。

エンリケ




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桜林美佐の「美佐日記」(44)

周囲の温かさに支えられている自衛隊

桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記といふものを、
女もしてみむとてするなり」の『土佐日記』ならぬ『美佐日記』
は今回で44回目です。

9月20日に、市川文一・元陸上自衛隊武器学校長の『不思議で
面白い陸戦兵器─極限を追求する特殊な世界』が発売されるとの
こと。楽しみですね!

 千葉では台風15号の被害が依然として続いています。各地か
ら派遣された自衛隊の活動も終わりが見えず、慣れない樹木の伐
採作業などをする姿には頭が下がるとともに、本当に自衛隊がす
べきことなのかどうか、疑問もわきます。

 ブルーシートの設置も同様に、自衛隊が行なうもののようにな
ってしまっているようですが、個人住宅への設置そのものについ
てはどうしても違和感があります。当然のことのように見ている
人がむしろ多いことのほうが問題ではないでしょうか。

 また、倒れた木々を見て思い出すのは、平成29年の九州北部
豪雨で大きな被害が出た福岡県・東峰村の村長から聞いたお話で
す。

 あの時も大量の流木による被害が出ました。この根本的な原因
について、林業に知見のある村長は言っていました。「山が死ん
でいる」のだと。

 伐採期を過ぎた木々が山にあり、大雨でそれらが次々に家屋や
人を襲うのです。経済性を重視して高く売れる木だけを植えたり、
あるいは海外からの安い木材輸入により日本の木材が値崩れし、
人手不足もあるため、ますます放棄山林が増えるといった悪循環
が進んでいたのだそうです。

 伐採をきちんとしていないと、太陽の光が入らなくなり木が腐
ってしまう。木々は太陽を求めてどんどん背が伸びるが、栄養の
届かない根は倒れやすくなります。

そして山にいたイノシシなどの動物も木の実がなくなり、降りて
来て稲や野菜を食べるしかない。動物たちはそんなことをしたく
ないのに。

 村長は、収穫物の防護ネットに何億円もかけるなら、山を生き
返らせるために使うべきと訴えておられました。

林野庁がその英知を駆使し、災害を防ぐための計画的な間伐と植
林を行なうことが必要だと。ただ、苗木を植えてもシカが食べて
しまうため、2メートル弱くらいの、シカが届かない高さの苗木
が適切だそうです。

 かつては林業に従事する人が多くいたものの、近年は「山林で
は食えない」ということでほとんど辞めてしまっているようです。

「国の事業として、循環できる山づくりをしないと同じような災
害がまた起きてしまいます」と、村長は警鐘を鳴らしていました。

 私は専門家ではないので、栄養のいきわたった強い木々であれ
ば、かなり強烈な雨風でも倒れないのかどうかは分かりません。
しかし、全く管理されていない山林よりも被害を軽減させること
は確かでしょう。

 いずれにしましても、今なお困難な中にいる被災地の全ての皆
様が一日も早く日常を取り戻されることを祈ります。

 そうした中ですが、今、各地の自衛隊では記念行事が行なわれ
ています。近くの福岡県・小郡駐屯地でも小規模ながら、なかな
か内容の濃い行事が実施されました。

 訓練展示が非常にユニークで、施設部隊ということで災害派遣
での実際の経験を再現した内容です。

そこには自衛隊だけでなく、警察、消防も一緒にいて、自衛隊の
UHー1やAHー1といったヘリに加えドクターヘリも飛来しま
す。災害救助犬も大活躍し、会場の全ての人が助けを呼ぶ声に耳
を傾け、閉じ込められた人を救出した時にはじーんときてしまい
ます。

 東京都の危機管理監を務めた方が今回初めて見て高く評価され
ていたと聞きますので、隊員の皆さんにも大きな自信になったの
ではないでしょうか。

これは数年前にこの訓練展示を創り出した過去の関係者が遺した
財産であり、それを年々さらに磨いている皆さんの姿に拍手を送
りました。

 また、地域の物産展も呼び込み、焼き物や新鮮野菜や果物、カ
レーなどを味わえたことも、老若男女が楽しめる創意工夫だった
と思います。

何よりの成果は、自衛官の立ち居振る舞いを見て「カッコいい!」
という声が聞かれたことでしょう。意外に人々は、車両などの装
備を見ているようで、その傍でキビキビ動いている隊員さんを見
ているものです。

 行事の前夜は知人がたくさん来ていましたので、旧交を温めま
した。すると20人ほどが入れるお店が満席になってしまい、貸
し切り状態に。後で聞いたのですが、その間に、これから行きた
いと警察関係者から電話があったそうです。自衛隊関係者でいっ
ぱいだと言うと警察の方が「そうですか、自衛隊にはお世話にな
っていますから、どうぞよろしく伝えて下さい!」と店のママさ
んに伝言したのだそうです。

 このあたりで古い飲み屋さんでは「自衛隊さんが来ている時は、
ひとりやふたりであっても看板をおろしちゃうのよ」と言ってい
て驚かされました。「トラブルに巻き込まれたら自衛隊さんは失
うものが大きすぎるから」との気遣い。そういえば、富士学校近
くの須走にも「自衛官以外お断り」の有名なお店がありますよね。

 今や、若い隊員さんはあまり外に飲みに行かないようですので、
自衛官を守ろうとしても儲かるどころか赤字になるんじゃないか
と思ってしまいますが、こうした周囲の皆さんの温かさに支えら
れている自衛隊なのだなあと、つくづく感じたのでした。

<おしらせ>
YouTubeチャンネルくららで毎週土曜にアップしている「国防ニュ
ース最前線」、今週はお休みです。

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(つづく)



(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、
ディレクターとしてテレビ番組を制作。その後、国防問題などを
中心に取材・執筆。著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続け
た海の守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰も語ら
なかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だけでは防衛産業は守
れない』『防衛産業と自衛隊』(いずれも並木書房)、『終わら
ないラブレター─祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』
(PHP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産経新聞出
版)、『ありがとう、金剛丸─星になった小さな自衛隊員』(ワ
ニブックス)。月刊「テーミス」に『自衛隊密着ルポ』を連載。


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(代表・エンリケ航海王子)
 
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