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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応予備自衛官
でもあります。
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こんにちは。エンリケです。
加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が出ました。
今回はMP5です。
「MP5サブマシンガン」
L.トンプソン (著), 床井 雅美 (監訳), 加藤 喬 (翻訳)
発売日: 2019/2/5
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※大好評発売中
加藤さんの手になる書き下ろしノンフィクション
『二つの愛国心─アメリカで母国を取り戻した日本人大尉─』
の第二十四話。
湾岸戦争の最前線の実際の姿が垣間見れます。
冒頭の日米メディアの共通点も
視座が面白いです。
さっそくどうぞ。
エンリケ
追伸
ご意見ご質問はこちらから
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『二つの愛国心─アメリカで母国を取り戻した日本人大尉』(24)
「蜃気楼」
Takashi Kato
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□はじめに
書下ろしノンフィクション『二つの愛国心──アメリカで母国
を取り戻した日本人大尉』の24回目です。「国とは?」「祖国
とは?」「愛国心とは?」など日本人の帰属感を問う作品です。
学生時代、わたしは心を燃え立たせるゴールを見つけることが
できず、日本人としてのアイデンティティも誇りも身につけるこ
とがありませんでした。そんな「しらけ世代の若者」に進むべき
道を示し、勢いを与えたのはアメリカで出逢った恩師、友人、そ
して US ARMY。なにより、戦後日本の残滓である空想的平和主義
のまどろみから叩き起こしてくれたのは、日常のいたるところに
ある銃と、アメリカ人に成りきろうとする過程で芽生えた日本へ
の祖国愛だったのです。
最終的に「紙の本」として出版することを目指していますので、
ご意見、ご感想をお聞かせいただければ大いに助かります。また、
当連載を本にしてくれる出版社を探しています。
□今週の「トランプ・ツイッター」9月2日付
アメリカに来たばかりの頃、カレッジの授業でウォルター・ク
ロンカイトという名前を幾度も聞きました。英語が心許ない留学
生の耳にも残る珍しい姓・・・クラスメートに尋ねると「客観的
な報道姿勢で、アメリカでもっとも信頼されているアンカーマン
だ」との答え。日本初の報道番組『JNNニュースコープ』の名アナ
ウンサー、古谷綱正を思い浮かべたものです。あれから40年。
2人のニュースマンに共通していたのは「事実を事実として伝え
るジャーナリストの矜持と、視聴者の信頼を醸成する真摯な人柄」
だったと分かります。アナウンサーがタレント化するずっと以前
の話です。
翻って、国有地払い下げと私学認可に安倍首相の関与が疑われ
た「モリカケ騒動」と、2016年の米大統領選にロシア政府が
干渉したとされる「ロシア疑惑」報道を思い返すにつけ、ジャー
ナリズムの劣化が目に余ります。まず、メディアの過剰な「監視
下」で、もともと事件性がない出来事に偽証や捜査妨害の嫌疑が
かけられ政争の具となった点。そして、マスコミが自らの主義主
張と噛み合わない指導者を貶めんと事実そっちのけで偏向報道を
繰り広げた点です。
米国で頻発する銃乱射事件や、あいちトリエンナーレ2019
「表現の不自由展」に関するニュースでは、自分たちの意図にと
って都合の悪い事実をマスコミが報道しない傾向が見て取れます。
8月末、アラバマ州の高校で生徒10人が撃たれる事件があり
ましたが、主要メディアの反応は格段に鈍いものでした。この無
差別発砲では犯人が黒人。被害者も黒人コミュニティの人々だっ
たのです。テキサス州エルパソで白人男性が移民を狙って起こし
た銃撃事件とは異なり、トランプ政権や支持層を「白人至上主義
者」と同一視し「人種対立激化の元凶」と糾弾するマスコミにと
っては「都合の悪い事件」だったということでしょう。
中止に追い込まれた「表現の不自由展」をめぐる報道では、日
本社会の不寛容性と外部圧力による検閲、そして、反日アートを
表現の自由と認めない世論を批判する論調が感じられました。一
方、展示作品が日本を貶め、日本人への敵意に満ちたものであっ
たことには触れられていません。戦後、「日本が諸悪の根源だっ
た」と洗脳され今日に至っているマスコミにとって、これまた都
合の悪い事実だった訳です。
事程左様に、昨今の日米主要メディアは、事実ではなく自らの
意図と主張を流布する情報操作マシンと化しています。トランプ
氏が「フェイクニュース」とか「堕落メディア」と呼ぶには、そ
れなりの理由があるようです。
今回のトランプ・ツイッター、キーワードは Lame Stream Media。
Mainstream Media(主流メディア)をもじった表現で、説得力に
欠ける「時代遅れメディア」という軽蔑的な響きがあります。
The LameStream Media has gone totally CRAZY! They write
whatever they want, seldom have sources (even though they
say they do), never do “fact checking” anymore, and are
only looking for the “kill.” They take good news and
make it bad. They are now beyond Fake, they are Corrupt.....
「レイムストリーム・メディアはとうとう完全にイカレタ!情報
源もなしに(あるとは言っているが)自分らに都合のいいことを
書き、『事実確認』をしなくなった。狙っているのは『首を獲る』
ことだけ。吉報も悪い知らせに書き換えてしまう。偽ニュースな
んてもんじゃない。腐敗ニュースだ・・・」
「二つの愛国心─アメリカで母国を取り戻した日本人大尉」(24)
(前号までのあらすじ)
ビオラとの出逢いを通じ、開拓者の国アメリカが背負う不条理
を感じるようになった。その土台にある、宿命ともいうべき深い
業と、それを覆い隠すカラクリに気づき始めていた。ことによる
とビオラは、大東亜戦争を戦い白人支配に立ち向かった日本人が、
自分たちアパッチ族に似ていると言いたかったのではないか。ビ
オラに触発された禁断の米国史観は、このままでは「わたし」と
いう容れ物を破砕しかねなかった。まさにこのタイミングで、イ
ラクがクウェートに侵攻し、第1次湾岸危機が勃発した。わたし
は大学院を辞し、中東への志願を決断した。
▼蜃気楼
サウジ軍のハーリド国王軍事都市(KKMC)はイラク国境か
ら120キロほど南下したところにある。周辺の干上がった河床
は真っ平らで、イラク軍戦車部隊には絶好の接近経路となる。米
軍工兵隊の援助で80年代に建設されて以来、この巨大要塞都市
は、湾岸地域盟主の座をうかがうサダム・フセインの動向に目を
光らせてきた。
八角形の城壁内部には訓練施設、整備工場、病院、将兵の居住区、
そして精緻な造りのモスクが整然と並ぶ。なかでも異彩を放つの
は中央区画に設けられた噴水庭園。豊富な水で権力と繁栄を誇示
する中東の慣習だ。
KKMCの周囲は延々と続く褐色の荒野。しかし、童謡「月の砂
漠」の歌詞から連想するロマンチックな砂丘やオアシスは見当た
らない。変化に乏しいと言えば、この不毛地帯ほど無愛想で退屈
な土地も他になかろう。幹線道路は整備されているものの、砂嵐
で視界が失われたり道が埋もれたりすることは珍しくない。そん
なときうっかり迷えば命にかかわる。
わたしはハンビーと呼ばれる高機動車に乗り込み要塞都市のゲ
ートを出る。直射日光でハンドルが熱く握りづらい。先代のジー
プ同様、ハンビーも実用一点張りで空調などないからだ。座席が
キャンバス地というのはまだしも、天井の機関銃手などバスケッ
ト型ハーネスに吊るされることになる。大佐以上の高級将校はエ
アコン付きSUVを乗り回しているが、日本政府から無償供与さ
れたランクルが一番人気だ。
巧みなカモフラージュを施され、砂漠に溶け込んだパトリオッ
ト地対空ミサイル陣地を通り過ぎると、ほどなく前方に基地が姿
を現す。基地といえば聞こえは良いが、プレハブ鉄骨をテント地
で覆ったシェルターの寄せ集め。敵の砲火や化学兵器に対する防
御力は皆無だ。が、過酷な日差しと砂嵐はどうにかしのげる。わ
たしはここで整備中隊の指揮をとっている。戦域を通過する戦車
や歩兵戦闘車、装甲兵員輸送車に大型トラックの保守点検・修理
を行なう部隊だ。わたしが赴任して間もなく女性中隊長が大隊長
に罷免されたが、この大尉の代理という想定外の任務だった。
基地の入り口には道路閉鎖ブロックの代わりにM88装甲回収
車が置かれている。M60戦車の砲塔を取り除き、代わりに大型
クレーンを装備した履帯車両。擱座した戦車を牽引するものだ。
昼のあいだ直射日光にさらされた装甲は卵焼きができるほどの高
温になる。自衛用機関銃を任される兵にとっては辛い任務だ。
かまぼこ形の整備シェルターの前でラジ1等軍曹が出迎える。浅
黒い肌にダルマの目をした古参下士官は部下の信頼が厚い。強い
巻き舌の英語は、インドかパキスタンで育ったからだろう。
「LT(中尉)、受け入れ体制は整いました。輸送部隊はいつ到
着ですか?」
「報告では今日の午後だ。洗車場の手配は?」
「サウジ軍のものを使える手筈になっています。ポンプもホース
も可動します。今朝、部下と確認してきました」
「ご苦労」
「ところで中隊長代理、この任務は例の事件と関係あるのでしょ
うか?」
例の事件──先週、クウェートの補給廠で起きた大爆発のこと
だ。この出来事を説明するには、まず当時の生活を簡単に紹介し
ておく必要がある。KKMCの毎日はひと言、単調だ。砂漠の「今」
はツルンとしていて、なんの節目も、気持ちにメリハリをくれる
手がかりもない。昨日、今日、明日の区別が蜃気楼のごとく滲み、
やがて消えてしまう。こうなると時間が間延びし、1日が1週間
に、1週間が1か月にも感じられる。アラスカ大の学友、戦傷復
員兵のジョン・ジャニロが言ったとおり、四六時中まわりの敵と
銃撃戦をかわすハリウッド映画はエンタメだ。が、戦場の退屈は
豹変する。何の予兆もなしに、金太郎飴のような日常が死に神の
相を帯びることがあるのだ。99日続いた凡庸な日が、100日
目も同じである保証はない。その一つがクウェートの一件だ。
数時間続いた誘爆につぐ誘爆の結果、機甲部隊の車両が百数十
両破壊された。異臭を放つ黒煙は100キロ以上離れたKKMC
にも漂ってきた。爆発から間もなく、知り合いの輸送部隊中隊長
が重機関銃の弾薬を借りに来た。車両回収任務には弾薬を余分に
持って出動せよとの命令を受けたのだ。イラク軍の再蜂起かとK
KMCの駐留米軍部隊に緊張が走った。
「関係ありだ。朝の会議で大隊長が、M1主力戦車もかなり破損
したと漏らしていた。ということは、われわれの任務は本土に移
送する前の簡易除染と点検だろう」
「了解。整備兵たちに防水着とゴーグルを用意しておくように伝
えます。カトー中尉からも、補給軍曹に根回しお願いします」
「ラジャーダット(了解)、ラジ軍曹」
数時間後、数十両のトレーラーからなるコンボイ(車両集団)
がクウェートから帰還した。トレーラー上の装甲兵員輸送車や自
走榴弾砲などは原型をとどめていない。アルミ合金製の装甲は火
災の熱で溶けてしまったのだ。複合装甲で覆われたM1戦車は一
見無傷だが、近づいてよく見ると、キャタピラが外れ車体が這い
つくばっているのが分かる。やはり高熱でサスペンション(懸架
装置)が損壊したのだ。デザート・イエローだった塗装も焼けた
だれ赤茶けている。コンボイは部下の整備兵らが待ち受ける洗車
場に向う。こびりついた煤や、漏出した油圧系統オイルを高圧ホ
ースで洗浄したあと、破損の程度を記録するため内外部を点検す
る手はずだ。
(つづく)
加藤喬(たかし)
●著者略歴
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。アラスカ
州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省外国語学校
日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―ある“日本
製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、『名誉除隊』
『加藤大尉の英語ブートキャンプ』『レックス 戦場をかける
犬』『チューズデーに逢うまで』『ガントリビア99─知られざ
る銃器と弾薬』『M16ライフル』『AK―47ライフル』
『MP5サブマシンガン』『ミニミ機関銃(近刊)』(いずれも
並木書房)がある。
追記
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『チューズデーに逢うまで』発売中
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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320
オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
きょうの記事への感想はこちらから
⇒
https://okigunnji.com/url/7/
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専門用語があ
ります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日本人が自衛
隊のブリーフィングに出たとしましょう。「我が部隊は1300時
に米軍と超越交代 (passage of lines) を行う」とか「我が
ほう戦車部隊は射撃後、超信地旋回 (pivot turn) を行って離
脱する」と言われても意味が判然としないでしょう。
同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」は
"Repeat" ではなく "Say again" です。なぜなら前者は
砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに使う言葉だからです。
兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍では建物の
「階」は日常会話と同じく "floor"ですが、海軍では船にちな
んで "deck"と呼びます。 また軍隊で 「食堂」は "mess
hall"、「トイレ」は "latrine"、「野営・キャンプする」は
"to bivouac" と表現します。
『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取りあげ、
軍事用語理解の一助になることを目指しています。
加藤 喬
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PS
弊マガジンへのご意見、投稿は、投稿者氏名等の個人情報を伏
せたうえで、メルマガ誌上及びメールマガジン「軍事情報」が
主催運営するインターネット上のサービス(携帯サイトを含む)
で紹介させて頂くことがございます。あらかじめご了承くださ
い。
最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝しています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、心から感謝
しています。ありがとうございました。
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