配信日時 2019/09/12 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (246)】自衛隊統合防災演習(2)

こんにちは、エンリケです。

「自衛隊統合防災演習」の2回目です。

「潮の満ち引き」という観点は、
こういう記事がないと気付かないことでしょう。

さっそくどうぞ


エンリケ

追伸
ラグビー好きなので、
冒頭で紹介されている「IDRC」は
見逃せませんw


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『ライター・渡邉陽子のコラム (246)
 ― 自衛隊統合防災演習(2)―

         渡邉陽子
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こんばんは。渡邉陽子です。
今週からIDRC、国際防衛ラグビー競技会が始まりますね。これはラ
グビーW杯が開催される年、その開催国に世界の軍隊のラグビーチ
ームも集結して試合をするという、いわば「軍隊のW杯」です。IDR
Cという名称がつくまでは、周囲の人はみんな「軍人ラグビー」と
勝手に呼んでいました^^
私は11日に習志野、19日に朝霞、そして23日に柏の森と観戦予定で
す。NZ軍の試合では、あのHAKAも見られます。NZほど有名ではあり
ませんが、フィジー(前回の優勝国です)やトンガにも、戦いの前
の舞があります。ちなみに自衛隊チームは陸自の船岡と習志野のメ
ンバーが中心です。
23日の決勝は、一般向けのチケットや入場券などは特になく、誰も
が自由に観戦できます。でもいい場所から観たい場合は、早めの前
進がおすすめですね。私にとって、自国でIDRCを見られるのは間違
いなく人生における最初で最後の機会なので、雨が降ろうが暑かろ
うが行ってきます。興味がある方は23日、ぜひ!

Fさま
私も現場で時折「われわれは訓練したことしか実践できない」とい
う声を聞きます。自衛隊は災害派遣のための訓練というものは行な
いません。日頃行なっているのは「わが国の領土、領海、領空を守
る」という任務を遂行するための訓練であり、それによって培われ
たスキルが災害派遣で発揮されています。それを考えると、海将OB
の方のコメントはまさに的を射た発言ですよね。いつもありがとう
ございます。


■自衛隊統合防災演習(2)

自衛隊統合防災演習の第2回目です。
実働訓練のメイン会場は、大阪府岸和田市にある埋め立て地、「ち
きりアイランド(阪南2区)」約500m四方、および「浜工業公
園」を「地震と津波によって陸路が寸断され孤立化した某被災地」
に見立て、ここを舞台に情報収集、道路啓開および応急架橋、空中
機動、倒壊家屋からの救出・救助、海上機動、座礁フェリーからの
救出・救助、避難者空輸、救護所開設および給食・入浴といった生
活支援等について、陸海空自衛隊と関係機関が協同して訓練します。

まず、孤立化された地域に救助部隊の先陣として投入されるのは、
陸上自衛隊第37普通科連隊(信太山)です。
崩落した列車、半壊したビル、埋没あるいは倒壊した家屋などから
人の救出を行ない、衛生隊のもとへ運ぶという一連の行動を担いま
す。取材時、第37連隊長兼信太山駐屯地司令に話を聞きました。

「第37連隊の災害派遣担当地域は大阪の大和川以南と和歌山県全域
なので、まさにわれわれが担当する地域で今回の防災訓練は行なわ
れます。連隊の災害対処能力を維持向上させるためのきわめて大き
な機会だと捉えていますので、隊員への要望事項としては、任務の
完遂、関係機関との連携、そして安全管理の3つを掲げています。
また、海上・航空自衛隊、警察、消防、大阪府といった関係機関と
実際に連携の確認をするという点でも大きな意義があります。大規
模災害の場合、いかに早い段階で大規模な部隊を集中させるかが非
常に重要です。たとえば山が多く海岸線の険しい場所で大規模災害
が発生した場合、どうやって被災地まで行くのか。陸海空が連携し、
いかに迅速に部隊を投入するか、その能力をより一層向上させる必
要があります」

ある第37連隊第1中隊の1曹は、偵察活動が終わり次第救助活動を
行なう役割を担う、いわゆる初動対処部隊に属しています。
「私の分隊は孤立した場所にヘリで向かい、被災地に到着したら列
車やバスに残されている負傷者を救出、救護衛生の人と連携して応
急救護所へ搬送します。つまり負傷者の確認とその搬出が自分たち
の役割ですね。負傷者の搬送についてはもちろん急ぐ必要がありま
すが、打ちどころや怪我によっては急に動かしてはいけないことも
あるし、搬出する順番の見極めも大切です。ただ速ければいいとい
うものではないところが救助活動の難しいところですね。また、二
次災害防止を実施しつつ重度の患者さんから運び出すのにも神経を
使います」
1曹はこういう大規模訓練に参加する機会を得たことをありがたく
思っているとも言いました。
「これほど大規模な訓練に参加できたことで、経験の浅い隊員にも
とりわけいい勉強になり、自信もついたようです。きわめて限られ
た時間で他機関と連携し調整し動くというのも、やはりこういった
訓練でないかぎり体験できないですからね」

会場のちきりアイランドを見渡してみると、長短3つの橋がかかっ
ています。いちばん長いのは海の上に架けられた全長135mの9
2式浮橋。各45mの陸橋は自走架柱橋とMGB橋です。
ここは陸路を途絶された孤立地域という設定なので、本格的な救援
活動を行なうには一刻も早く陸路を復活させなくてはなりません。
そんなときに登場するのが陸上自衛隊の職人集団、施設科に属する
部隊です。今回92式浮橋を架橋し、その職人技を余すところなく
発揮するのは、第4施設団第102施設器材隊架橋中隊(大久保)。
消防や警察も救助活動は行なえますが、橋を架ける装備や技術を持
っているのは自衛隊だけです。
「施設団の中でもいろいろな職種がありますが、架橋中隊は車両を
通すことが主任務です。今回の架橋の最大の難関は潮の満ち引きで
すね。私は4~5か月前の測量の段階からこの自衛隊統合防災演習
に携わっていますが、当初からずっと潮の満ち引きとの戦いでした。
地形がころころ変わるので、それに合わせて92式浮橋の使用時間も
変わりますし、遠岸・近岸の接岸設備を撤収する必要も出てきます。
なお、橋が架けられない状況の場合は、門橋を渡し船のように使っ
て車両を運搬します。消防車両は自衛隊車両に比べて比較的床が低
いつくりなので、いかに通すか苦労しました。緩やかな傾斜で架橋
に出入りできるようにしなければいけませんからね。実験段階では
引っかかったりしていましたが、今はスムーズに通過可能です。す
べての車両が粛々と浮橋の上を渡り終えたときは、やはりほっとし
ますね」
架橋中隊の3曹はそう話してくれました。


(つづく)


(わたなべ・ようこ)

※現在連載中

「PANZER」10月号
「神は賽子を振らない」第6回
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「正論」10月号
「自衛隊あってのオリンピック」第4回
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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
 
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。

 
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