こんにちは、エンリケです。
きょうから、
「自衛隊統合防災演習」
がはじまります。
同じ組織でも見知らぬ人とは
なかなか上手に協力した動きが取れません。
ましてや別機関の別組織の協力となると
想像をはるかに超える大変さがあります。
目指す成果を得るためには、
各レベルでの演習や訓練がいかに大切か。
そのことをまず多くの人に
知ってほしいですね。
さっそくどうぞ
エンリケ
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『ライター・渡邉陽子のコラム (245)
― 自衛隊統合防災演習(1)―
渡邉陽子
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こんばんは。渡邉陽子です。
9月1日は防災の日でした。それに伴い、各地で防災訓練が実施さ
れました。今週からは近畿圏で初めて行なわれた際の自衛隊統合防
災演習ならびに政府総合防災訓練をご紹介します。
■自衛隊統合防災演習(1)
今世紀前半に発生する可能性が高いといわれている東南海・南海地
震。内閣府の中央防災会議によると、東南海・南海地震が発生した
場合、想定規模はマグニチュード8.6、死者1万7800人、建
物倒壊36万棟、という被害が想定されています。
自衛隊統合防災演習取材時は、この東南海・南海地震を想定してい
ましたが、現在はさらに深刻かつ甚大な被害が見込まれている南海
トラフ地震を想定した訓練となっています。
マグニチュード9.1、想定死者数23万1000人、全壊・焼失す
る建物は最大約209万4000棟という数字には、思わず絶句し
てしまいます。高知県土佐清水市には、地震発生のわずか4分後に
最大34mの津波が到達すると言われています。
ちなみに「南海トラフ」と言ってもその被害は広範囲で、都庁のあ
る新宿区も震度5強の揺れが予想されていますし、日本海側の福井
県でも2100棟の建物が全壊するという数字が出ています。
さて、災害時に救助活動を行う自衛隊の姿は、今やすっかり見慣れ
た光景となりました。
偵察から救援、被災地の生活支援まで行なうことができ、なおかつ
支援活動中の自分たちの衣食住はすべて自分たちでまかなえる自己
完結能力に優れた自衛隊は、災害時にその力をフルに発揮し
ます。
その頼もしい姿が多くの人の目に触れるようになったのは、阪神淡
路大震災以降のことです。2006年からは始まった統合幕僚監部
による陸海空三自衛隊の統合運用によって、大規模災害により迅速
に対応できる体制も整いました。
しかし被災地の救援に向かうのは自衛隊だけではありません。
警察、消防、海上保安庁、そして市町村や都道府県など、関係機関
との円滑な連携がなければ救助活動に無理や無駄が生じ、それぞれ
の機関の能力が有効活用できないこともありえます。
一方、自衛隊や警察、消防などがそれぞれ異なる互いの利点をうま
く生かせれば、自衛隊だけで動くよりもさらに迅速かつ広範囲に救
援活動が行なえ、より多くの人命を救うことにつながります。
そのためにも今回のような合同防災訓練は非常に大切です。
2007年までの政府防災訓練や自衛隊統合防災演習は、首都圏直
下型地震や東海地震の発生を想定して南関東や東海地方で実施され
てきました。
2008年からは南海・東南海地震発生を想定し、近畿地区で実施
されることになったわけです(前述したとおり、現在は南海トラフ
地震を想定し、東海地方や四国、九州でも統合防災演習が行なわれ
ています)。
もちろん陸上自衛隊中部方面隊も定期的に東南海・南海地震対処総
合演習を実施、機関ごとの防災訓練はこのエリアでも行なわれてき
ました。しかし政府計画の総合防災訓練となれば参加機関の数も規
模もけた外れに大きくなるので、より実践的な訓練が可能となりま
す。そういう点からも、近畿圏で初めて大規模な合同防災訓練が開
催されるという意義は大きいのです。
統合防災演習は、実動演習と指揮所演習からなり、今回取材した実
動演習は、8月29~31日を「機能別訓練」、そして政府と府な
どが同じ場所で開く総合防災訓練に参加する9月1日を「総合訓練」
と区分しました。
参加部隊は、陸自が中部方面隊第3師団を中心とし、その他各方面
隊、中央即応集団、通信団、警務隊、施設学校および補給統制本部
より人員約1000名、車両約370両、航空機約20機。
海自は人員約200名、車両約10両、艦船2隻、航空機1機。
そして空自は人員約300名、車両約30両、航空機約10機とい
った具合に、数字を見ただけでも今回の訓練の規模の大きさがわか
ります。
実働訓練のメイン会場は、大阪府岸和田市にある埋め立て地、「ち
きりアイランド(阪南2区)」約500m四方、および「浜工業公
園」。
訓練はマグニチュード8・6、震度7の地震が起きて大阪府周辺で
重大な被害が発生したという想定で行なわれます。
ちきりアイランドと浜工業公園は、地震と津波によって陸路が寸断
され孤立化した某被災地ということになっており、ここを舞台に情
報収集、道路啓開および応急架橋、空中機動、倒壊家屋からの救出・
救助、海上機動、座礁フェリーからの救出・救助、避難者空輸、救
護所開設および給食・入浴といった生活支援等について、陸海空自
衛隊と関係機関が協同して訓練するのです。
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
※現在連載中
「PANZER」10月号
「神は賽子を振らない」第6回
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□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
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