こんにちは、エンリケです。
「自衛隊の平成史」最終回です。
さっそくどうぞ
エンリケ
追伸
著者多忙のため、来週の配信はお休みです。
「ライター・渡邉陽子のコラム」バックナンバー
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『ライター・渡邉陽子のコラム (240)
― 自衛隊の「平成の30年」(3)―
渡邉陽子
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こんばんは。渡邉陽子です。
ここ10日間の取材先を振り返ると、牧場のチーズ工房、富士学校記
念行事、海洋ゴミの根本的な解決に取り組むNPO、大学学部長、シ
ニア男性のみで運営されている料理教室と、われながら雑食だなと
思いました。けれどどの取材でも、インタビューで聞かせていただ
く話がとてもおもしろく、自分の知らない世界のこともその方を介
して知ることができるのは、この仕事の特権だといつも感じます。
私は片頭痛持ちなのですが、不思議とインタビュー中は頭痛を感じ
たことがなく、取材が終わるとまた痛み出します。自分では意識し
ていないのですが、それだけ相手に集中しているのかもしれません
(唯一の例外は数年前におでんのこんにゃくに当たったときで、こ
れはもう完全に自業自得です)。
ところで先日同級生と私を含めて4人と食事をしたのですが、今回
の参院選の話になり、4人中3人が自民党、ひとりが立憲民主党を
支持しました。3人は当然「なぜ立憲民主党!?」と疑問符だらけ
だったのですが、その友人いわく、「自分の配偶者は会社員だけど、
自民党が政権だと会社員は搾取されるだけ。ほかの政党は頼りない
けど日本の会社とサラリーマンはとても優秀なので、どんな政党だ
ろうが日本の経済は揺るがない。したがって搾取する自民以外の政
党の中から消去法で立憲民主党」ということだそうです。4人のう
ち配偶者が会社員と言うのはその人だけだったのでみんな結局いま
ひとつピンとこないままでしたが、立場が違えばどこを見るかも違
ってくると改めて感じた出来事でした。
■自衛隊の「平成の30年」(3)
自衛隊の「平成の30年」、最終回の今回のテーマは「中国」です。
平成の世の間に時代は21世紀となり、9・11に象徴されるように脅
威の対象は国だけではなくなり、しかも容易に国境を越え、もはや
どの国も一国のみでは自国の安全を守れない時代となりました。
もちろん日本も例外ではありません。国民の命を守るための法整備
を行なうことが不可欠として2016年に施行されたのが、平和安
全法制整備法と国際平和支援法という新法、いわゆる平和安全法制
です。これにより弾道ミサイル防衛に当たる米艦艇の防護や後方支
援が可能になったため、一部で「戦争法」という極端な反対論もあ
りました。
そして自衛隊の大規模な組織改編に大きく影響しているのが中国の
軍拡と海洋進出で、尖閣諸島周辺を含むわが国周辺でその活動範囲
を一層拡大しています。
政府が2012年に尖閣三島(魚釣島、南小島および北小島)の所
有権を取得して以降、中国公船が尖閣諸島周辺のわが国領海へ断続
的に侵入、2016年6月には、中国海軍戦闘艦艇が尖閣諸島北方の
わが国の接続水域に初めて入域しました。同年12月には空母を含む
中国海軍艦艇が沖縄本島・宮古島間を通過し、同空母の西太平洋へ
の進出が初めて確認されています。
つい先日、7月14日にも尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域
を中国海警局の船4隻が航行。尖閣周辺で中国当局の船が確認され
るのは29日連続となりました。
東シナ海・南シナ海における「公海自由の原則」をめぐる動向につ
いて、防衛白書には「国連海洋法条約は公海における航行の自由や
上空飛行の自由の原則を定めているが、東シナ海においては航行の
自由や上空飛行の自由の原則に反するような行動事例が多数見られ
ている」という旨が記載されています。その例として、2013年
1月に東シナ海の公海上で中国海軍艦艇が海自護衛艦と艦載ヘリに
対して火器管制レーダーを照射した事案を挙げています。韓国海軍
よりも先にやっているのです、中国。
また、同年11月に中国政府は尖閣諸島をあたかも中国の領土であ
るかのような形で含む「東シナ海防空識別区」を設定し、当該空域
を飛行する航空機に対し中国国防部の定める規則を強制し、これに
従わない場合は中国軍による「防御的緊急措置」をとる旨を発表し
ました。もちろん、到底受け入れられる話ではありません。しかし
2014年には東シナ海上空を飛行していた海自機および空自機に
対し、中国軍の戦闘機が異常に接近する事案が発生しています。
海洋のみならず中国機に対するスクランブルも増えました。201
8年度の空自機による緊急発進回数は999回。前年度と比べ95
回増加し、 1958年に対領空侵犯措置を開始して以来、過去2番
目の多さとなりました。このうち中国機に対する緊急発進回数は6
38回で前年度と比べて138回増加、スクランブルの約64%の
割合です。
現在の自衛隊が部隊や装備を西方重視としているのは、すべて「対
中国」によるものです。毎年夏に行なわれる「富士総合火力演習」
のシナリオも、ここ数年は「島しょ防衛」をテーマとしています。
かけ足ではありましたが、ベルリンの壁崩壊で始まった平成の30
年間は、自衛隊にとってもまさに激動の時代であったことを振り返
りました。日本が国際社会の一員としてその役割を果たす手段のひ
とつが自衛隊であるならば、令和の時代も自衛隊の活動が国内のみ
にとどまることはまずありません。そして今はなんとなく関係が悪
くないような空気のある中国ですが、あくまでも表面的なものにす
ぎず、根本はなんら変わっていないことは周知の事実です。日本が
もっとも警戒しなければいけない国は、今日の時点でもやはり中国
です。
「陸と海は文化も言語もなにもかも違う」と旧軍からの犬猿の仲を
引きずってきた自衛隊も、2005年には陸海空自衛隊による統合
運用がスタート。今や災害派遣で3種類の作業服が混在している光
景は珍しくありませんし、共同訓練も当たり前に行われています。
平成の世の間に起きた素晴らしい進化のひとつだと思います。
2007年には防衛庁から防衛省となったことも大きな出来事でし
たし、憲法改正まで議論されるにいたったのが自衛隊の「平成」で
した。
(おわり)
(わたなべ・ようこ)
※現在連載中
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□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
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