こんにちは、エンリケです。
きょうから、自衛隊の平成史がはじまります。
ベルリンの壁が崩壊したのは平成元年だった、
にビックリする人もいるかもしれませんが、
自衛隊が初めて海外派遣された「ペルシャ湾掃海部隊派
遣」は平成3年だった、と聞くと「え~~~」となる人
がほとんどではないでしょうか?
それにしても、
渡邉さんはこの種の記事の名人ですね。
実に面白いです。
いろんな切り口で、自衛隊や帝国陸海軍にまつわる
さまざまな歴史を描き出してほしいです。
さっそくどうぞ
エンリケ
「ライター・渡邉陽子のコラム」バックナンバー
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『ライター・渡邉陽子のコラム (238)
― 自衛隊の「平成の30年」(1)―
渡邉陽子
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こんばんは。渡邉陽子です。
掲載雑誌のご案内をさせていただきます。現在発売中の「PANZER」
8月号に連載中の元陸上幕僚長火箱芳文氏の半生を振り返る「神は
賽子を振らない」、第4回が掲載されています。今回は指揮幕僚課
程(CGS)で学んだ2年間と富士学校での教官時代の話です。CGSで何
を学んだのか詳細がわかる貴重な記録です。富士学校では導入され
たばかりの84ミリ無反動砲の運用を考えたり…本人提供の写真もレ
アですよ。これからCGSを受験する1尉がコピーして読んでいると
聞きました。買って欲しいところですが(笑) 火箱氏も若い幹部自
衛官に伝えていきたいという気持ちがあるようです。火箱氏の反省
を連載するという形で自衛隊に貢献できているとしたら、実にうれ
しいことです。
また、「正論」8月号には「自衛隊あってのオリンピック」連載2
回目が掲載されています。今回は1964年の東京オリンピックで自衛
隊がどの競技にどのような支援を行なったか、その支援のためにど
のような準備をしたか紹介しています。アマチュアスポーツが未発
達だったご時世、あれこれ無茶振りもされ苦労した話など。11ペー
ジとなかなかのボリュームです。
F様、Y様。ご意見、ご感想ありがとうございました。勉強させてい
ただきました。
「PANZER」8月号
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「正論」8月号
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■自衛隊の「平成の30年」(1)
平成元年、1989年は1月にベルリンの壁が崩壊するという、激
動の時代を象徴するようなシーンで幕を開けました。
そして実際、防衛省・自衛隊にとってもこの30年間はまさに時代と
共に否応なく変化・変革を求められた激動の時代となりました。
法の改正まで行なわれたような自衛隊のターニングポイントとなっ
たキーワードを挙げるとすれば、「海外派遣」「災害派遣」「安保
法制」「統合運用」「中国」あたりでしょう。今週から3回にわた
り、これらのキーワードに沿って、平成という時代における自衛隊
の変遷を振り返ってみたいと思います。
まず海外派遣ですが、今でこそ自衛隊が海外で活動する姿は特に異
質な光景ととらえられていないものの、初めての海外派遣は平成3
(1991)年に海上自衛隊の掃海部隊がペルシャ湾で行なった機
雷除去でした。
前年に勃発した湾岸戦争において、日本は「金は出しても人は出さ
ない」と国際社会から非難され、クウェートが米国の新聞に掲載し
た各国の支援に対する感謝の広告の中にも日本の国名は記されてい
ませんでした。
政府は「しぶしぶ」イラクがペルシャ湾に敷設した機雷を除去する
ために部隊を派遣することにします(当時の海部首相の自衛隊嫌い
は筋金入りだったと小耳にはさんだことがあります)。結果として
優秀な掃海部隊が現地に残存していた機雷を処理(自衛隊の派遣が
遅かったので機雷の多くは処理済みで、残っていたのは処理が難し
いものばかりでした)、大いに面目を果たしたのでした。掃海部隊
を率いた司令の落合畯(たおさ)1等海佐(当時)は、沖縄戦の司
令官で「沖縄県民斯(か)く戦へり。県民に対し後世特別のご高配
を賜らんことを」の電文で知られる大田実中将の子息です。
さらに平成4(1992)年にはカンボジアに自衛隊を派遣するた
め国際平和協力法(PKO法)が成立。
社会党(当時)が国会で牛歩戦術を行なうなど、大の大人が滑稽な
姿を全国に晒すほどのすったもんだを経て可決された法律でした。
懐かしいですね、牛歩戦術。しかしこの法律こそ、自衛隊の任務に
初めて「海外での活動も含まれる」と国民に(そして自衛官自身に
も)知らしめることになったのです。
実際、その後の防衛省・自衛隊は、国際平和協力活動として、現在
までに
1.国際連合平和維持活動(いわゆる国連PKO)への協力をはじ
めとする国際平和協力業務、
2.海外の大規模な災害に対応する国際緊急援助活動、
3.旧イラク人道復興支援特措法に基づく活動、ならびに
4.旧テロ対策特措法及び旧補給支援特措法に基づく活動
を行なってきました。
そして平成19(2007)年には、国際平和協力活動は付随的な業
務からわが国の防衛や公共の秩序の維持といった任務と並ぶ自衛隊
の本来任務へと位置づけるまでにいたりました。
さらに国際平和協力業務などについては次のステージとして、自衛
隊が蓄積した経験と施設分野などにおける高度な能力を活用した活
動を引き続き積極的に実施するとともに、現地ミッション司令部や
国連PKO局などにおける責任ある職域への自衛隊員の派遣を拡大
することでより主導的な役割を果たすなど、わが国の国際貢献への
取り組みに主体的に関与していく段階に進んでいます。
(わたなべ・ようこ)
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□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
PS
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