配信日時 2019/07/01 08:00

【桜林美佐の美佐日記(33)】こんにゃくなのにこんにゃくじゃない??

こんにちは、エンリケです。

個人的に、非常に面白いお話でした。

ことばがかもし出すニュアンスは、
地方によって違いますね。

とくに、東日本と西日本ではそうとう「幅」が違う感じが
します。背景にあるのは、Sさんのおっしゃる「余裕」と
その余裕が通じるコミュニティの存在だろうと思いますね。

面白いものです。


さっそくどうぞ。


エンリケ


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桜林美佐の「美佐日記」(33)

こんにゃくなのにこんにゃくじゃない??

桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記といふものを、
女もしてみむとてするなり」の『土佐日記』ならぬ『美佐日記』
は今回で33回目です。

 九州・・・と、一掴みに言ってしまうのはいけませんが、こち
らの方々はあまり細かい事にはこだわらないんじゃないか、と感
じることがけっこうあります。

 例えば、地元の人が「〇〇にある歯医者さんにずっと行ってい
る」と言うので「私も診てもらいたいので、ぜひ教えて下さい。
何という名前ですか?」と聞くと、「あれ、えっと・・・思い出
せないわ!」と言われたり、あるいは「あそこに美味しいケーキ
屋さんがあるの」と言うので、「何というお店ですか?」と聞い
ても「そういえば、お店の名前を見たことがないの」などと言い
ます。

 我々(若い世代??)は、現代病と言いますか、すぐに検索し
て調べようとしますので、名前をまずは確認しますが、特に年配
の方はそこにどの道を行けば辿り着くかさえ分かれば店名などど
うでもいいようです。

 ただ、それだけではなく、本当に皆さん食に対してもこだわり
がないように見えます。先日はこんなおススメの言葉に基づきう
どん店に行きました。
 
 「そこはサラダバーのごたる食べ放題で、コールスローのごた
るやつが美味しいですもんね」

 それは良さそうだ!と行ってみると、店の一角にタッパーが置
いてあり、その中にてんこ盛りの「沢庵」と「マカロニサラダ」、
以上!え?これだけ?

「サラダバー」じゃないし、「コールスロー」でもない!だいた
い、うどんの付け合わせにマカロニサラダってありなのか??

 しかし、地元の人に言わせれば「・・・のごたる」なんだから
しょうがないとのこと。因みに「ごたる」は「ごとある」が変化
したもので、英語で言うと「like」であることが分かってきまし
た。

 そうかそうか、では「~のごたる」と紹介されたら、「~のよ
うなもの」として捉え、その許容範囲もかなり広くしておかねば
ならないと段々と納得してきたある日、その事件は起こりました。

 近所に辛麺屋ができました。「辛麺」とは、30年以上前に宮
崎県の延岡市で誕生したものであるとされています。現在は色々
な辛麺屋さんを福岡県内でも見かけるほどに広がっています。辛
麺店には「こんにゃく麺」とのぼりが掲げられています。こんに
ゃくといえば「ゼロカロリー」であり、ダイエット食品です。こ
れは、いくら食べても太らないのか!という期待を抱くのは当然
でしょう。

そんな安心感の中で辛麺をたいらげ帰宅。今日はいい物を発見し
たと気持ちよくお風呂に入って、さあ寝ようとしたその前に、フ
ト他にも店舗があるのかなと「辛麺」を検索してみました。する
と、衝撃的な文字が目に飛び込んできたのです。
  
 「辛麺のこんにゃく麺はこんにゃくではありません」

 え・・・。固まりました。ど、どういうこと・・、「こんにゃ
く」と書いてあるのに・・・、こんなことが許されるのだろうか・・・。

 「辛麺」の「こんにゃく麺」はこんにゃくではなく、材料にこ
んにゃくが含まれている訳でもなく、そば粉と小麦粉が主原料の、
こんにゃくによく似た食感の独特の麺なのだそうです。 つまり、
グルテンフリーでもないわけです。「こんにゃくなのにこんにゃ
くじゃない」、しかも「こんにゃくのごたる」とも言っていない。
「虚偽の表示!」それが堂々と通っている、その事実のほうにむ
しろ驚愕したのです。

 さらに驚いたのは、地元の女子(宮崎県出身)が辛麺が好きだ
というので、ショックを与えるのを恐れつつも「あれは実はこん
にゃくじゃないって知ってた?」と聞くと、「へー、そうなんだ」
といった感じで驚いた様子があまりない。そんなバカな。私が知
った時は「ええっ!あり得ない!!騙された!!」と叫んだのに。
そしてその夜は、なかなか寝付けなかったほどだというのに。

2年前に東京から福岡に移住した芸能リポーターのSさんは、こ
うした様々な現象について「こっちの人たちは心に余裕があるん
ですよ」と分析しています。なんとなく、納得するようなしない
ような・・。真に理解できるまでには、今しばらく時間が必要に
なりそうです。

話は全く変わりますが(いつものことですね)、先日私は在日米
陸軍司令官のルオン少将とお会いし握手をしました。ルオン少将
はベトナム難民として米国に渡り、将官にまでのぼりつめた異例
の経歴を持つ方です。

サイゴンを脱出したのは9歳の時、まさに陥落の前日だったとい
います。その後、米国市民として暮らし、やがて「育ててくれた
米国に恩返しがしたい」と陸軍に入隊したのです。

南カリフォルニア大学ではROTC(予備役将校訓練課程)に参加、
卒業後に少尉任官以降、昇任を重ね2014年に准将となり、ベトナ
ム生まれのアメリカ人として初めての将官となります。それまで
にはイラクやアフガンでの活躍がありました。

米国には約150万人もベトナム系の市民がいて、ルオン氏の華
々しい昇進は希望をもたらしました。将官になった際の米テキサ
ス州・フッド基地での就任セレモニーには、全米各地のベトナム
人コミュニティーから多くの人々が駆けつけたそうです。

私がお会いすることになったのは全く思いがけないことでしたし、
ほんの短い間でしたが、笑顔を浮かべたその目には米軍人と会う
といつも感じる独特の鋭さ、厳しさを見ました。

 折しもトランプ大統領が日米同盟からの離脱を語ったというこ
とで話題騒然になっていて「米国に頼らず日本だけで自国を守る
べきだ」という勇ましい声を聞くこともあります。しかし、祖国
を離れ異国の地に命を捧げる覚悟で戦い、米国にかくたる地位を
認めさせるに至った少将との面会の後では、こうした叫びがどう
しても空疎に聞こえてしまうのです。自分の現在地を知るという
ことは、あらゆる問題において重要であると改めて感じた次第で
す。

 さて、自衛官が国家公務員の枠から外れることで待遇改善への
一歩となるという拙稿に「子供を戦場に行かせたい親などいない」
といった反論がきたことをお伝えした前回の日記に対し、読者の
Fさんから感想を頂きました。

 「人は等しく誰かの子。普通の親なら子を危険な目に遇わせた
くないのは当たり前ですね。
 でも、万一自分たち親子が救助を求める立場になって、他人が
「この子は危険な目に遇わせられないから、あなた方を助けには
行かせません」と言ったらきっと絶望するでしょう。こういう事
も自由に論議できる土台があった上で、感情論だけではない冷静
なやり取りがなされて欲しいし、自衛隊への理解が進む地道な環
境作りも必要だと思います
 それでも近隣住民にどこまで部隊の任務を理解してもらうか、
さじ加減は難しいのでしょうね。
 桜林さんや渡邉陽子さんのような方々がもっと増えて頂かない
と。」

 身に余るお言葉ありがとうございます!わが子さえよければと
いう考え、その通りですよね。また、近隣へのさじ加減というの
もおっしゃるように、実際はそんなに簡単ではないと私も思いま
す。引き続きよろしくお願いいたします。


<おしらせ>
YouTubeチャンネルくららで毎週土曜にアップしている「国防ニュ
ース最前線」、今週も伊藤俊幸・元海将とお送りします。

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(つづく)



(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、
ディレクターとしてテレビ番組を制作。その後、国防問題などを
中心に取材・執筆。著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続け
た海の守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰も語ら
なかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だけでは防衛産業は守
れない』『防衛産業と自衛隊』(いずれも並木書房)、『終わら
ないラブレター─祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』
(PHP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産経新聞出
版)、『ありがとう、金剛丸─星になった小さな自衛隊員』(ワ
ニブックス)。月刊「テーミス」に『自衛隊密着ルポ』を連載。


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