配信日時 2019/05/30 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (233)】航空自衛隊 警戒航空隊(2)

こんにちは、エンリケです。

「警戒航空隊」2回目です。


なんと月刊正論で、渡邉さんの連載がはじまるそうです。

渡邉さんの著書『オリンピックと自衛隊 1964-2020』の内容
を中心に、新たな取材によるコンテンツも含まれるとか。

すごい楽しみですね!

本を持っている人もいない人も
ぜひ「月刊正論」で渡邉さんの連載を読んでくださいね。

詳しい話は、渡邉さんからどうぞ


エンリケ


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『ライター・渡邉陽子のコラム (233)
 ― 航空自衛隊 警戒航空隊(2)―
         渡邉陽子
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〇〇さま

こんばんは。渡邉陽子です。
6月1日発売の産経新聞社『正論』7月号から数回にわたり「自衛
隊あってのオリンピック」を連載します。内容としては拙本『オリ
ンピックと自衛隊1964-2020』のダイジェスト版といったものにな
りますが、新たに取材したものもありますので、お手に取っていた
だければ幸いです。
ちなみにオリンピックのチケット、申し込みました? 最初の2回
はアクセスに時間がかかりすぎて断念しましたが、ある平日の午前
中にさくっと入れました(この時間帯に申し込めるのはフリーラン
スの特権ですね)。申し込んだのはもちろん、自衛隊体育学校の選
手が出場するであろう競技です。仕事抜きでほんとに応援してます、
体育学校の自衛官アスリート。


■航空自衛隊 警戒航空隊(2)

AWACSをすっぽり収められるとあって、ハンガーも巨大です。
整然と片付けられたハンガー内で黙々と自分の仕事をこなしている
隊員たちが、やけに小さく感じます。面白いのはAWACSを囲ん
でいる足場で、ロートドームの部分はその形に合わせて円形になっ
ていること。この足場そのものも、年に1度しっかり整備されるそ
うです。
このロートドーム、一見薄い皿のような感じですが、実は直径9.1
m、厚みはなんと1・8mもあります。レーダーアンテナですから、
飛行中もくるくる回転しています。旅客機B-767の上にこんな
大きなロートドームを取り付けるとなんて、機体の安定性などはど
うなってるの? と思ったところ、なんと操縦にはなんの影響もな
いそうです。

AWACSの機内は機密も多いのですが、取材時に撮影を許可され
た場所だけでも十分に興味深いものでした。
窓がないせいか、オペレーションルームだけを見ていると、まるで
オフィスの一室のようです。そこにはミッションクルーコマンダー
の指揮下、兵器管制官や警戒監視員、通信や電算機、レーダーの整
備員などが並んでいます。後部には休憩エリアがあり、足を伸ばし
て休めるようになっています。
機内を案内してくれたパイロットである3等空佐によると、「長時
間のフライトが多いので、オペレーションルームや休憩エリアのシ
ートは、少しでも快適な座り心地になるように考慮されています。
この飛行機の中で一番悪いシートに座っているのはパイロットです
ね。眠くならないようにでしょうか(笑)」とのこと。確かにコッ
クピットの座席だけはやけに無骨な造りで、おせじにも座り心地が
よさそうには見えませんでした。

浜松と三沢を行き来している警戒航空隊司令にも話をうかがいまし
た(取材時はまだ部隊改編前だったので那覇に部隊はなく、対本部
が浜松と三沢の2か所にあったのです)。この隊司令、かつてはF
-15で大空を自在に駆け巡った、生粋のファイターです。
「1月のうち1週間は三沢にいるようにしています。指揮官の現場
進出というのはとても大切なことです。自分の目で見て肌で感じる
ことによって、部隊をどう指揮するか考えなくてはなりません。現
場に行くことによって、電話で報告を受ける場合でも伝わり方がよ
り正確になるし、聞いた内容についてもイメージが湧きやすいんで
す。そうすると部隊の状況判断が正確に把握できるようになり、判
断を誤らない。これが部隊指揮の鉄則ですね」
「三沢にいる部隊が大変なのは、任務が付与されたら即、機動展開
をしなければならない点です。AWACSは機動展開せず、ここ浜
松から前方に移動するのが基本ですが、E-2Cは滞空時間が長くな
いので、必要な場所に一番近いところに展開させ、そこから使うん
です。それからやはり場所柄、冬の天候も厳しいものがありますよ
ね」
三沢の部隊もさまざまな苦労があるはずですが、どうしてもAWA
CSという華やかな機種のある浜松が脚光を浴びがちです。同じ警
戒航空隊という部隊でありながら注目度に差が生じやすい状況は、
三沢の隊員たちの士気に関わらないのでしょうか。
「そう危惧されるかもしれませんが、彼らは非常に高い意志を持っ
て任務を遂行しています。自分たちには迅速に機動展開して任務を
こなせる実力がある、そう自信を持っているんです。だから淡々と
任務をこなして淡々と帰ってくる。E-2Cは航空機の維持管理も非
常に大変で、第1整備群にかかるプレッシャーは相当なものなんで
すが、忙しければ忙しいほど彼らの士気は高いんです」
「警戒航空隊全体の動向ですが、9・11以降、新たな脅威であるテ
ロを対象とした任務が付与されるようになりました。そもそも警戒
航空隊が発足したきっかけがミグ事件だったことからもわかるよう
に、今までは軍用機という純軍事的な対象だけを追っていたのです。
ところが9・11後は、空を飛んでいるものすべてを警戒しなければ

いけなくなりました。警戒する対象が大きくなったわけです。そう
いう時代だからこそ、訓練ひとつ取ってもその目的や本質を意識し、
考えながら行わなくてはらない。その訓練の必要性を認識しなけれ
ばならない。それが国家国民の負託に応えるという究極の目的につ
ながっていくのです」
われわれは国家国民を守る義務を負った奉仕人なのですと、隊司令
は話を締めくくりました。
「われわれは奉仕人」という言葉はその後もずっと心に残っていて、
拙本『オリンピックと自衛隊』の「おわりに」でも触れました。


(つづく)


(わたなべ・ようこ)



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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
 
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。

 
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