配信日時 2019/04/18 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (228)】航空自衛隊ファントムの軌跡(4)

こんにちは、エンリケです。

F-4の記事4回目。
さいごの記事です。

百里という名前には、伝説的で異次元な
響きを感じます。空自の基地名でそんな
印象を受けるのは、新田原と百里です。
自分だけでしょうかw


さっそくどうぞ

エンリケ


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『ライター・渡邉陽子のコラム (228)
 ― 航空自衛隊ファントムの軌跡(4)―
         渡邉陽子
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〇〇さま

こんばんは。渡邉陽子です。
ファントムのご紹介は今回が最終回です。この連載の最中に、F-3
5Aが墜落するという事故が起きました。百里基地でファントムを運
用していた第302飛行隊の名を継承し、先月に三沢基地で新編され
たばかりの「第302飛行隊」に配備されているF-35A。最初にニュー
スを見たとき、思わず目を疑いました。操縦していたのは、百里基
地で扱いが難しいと言われるファントムを操っていたベテランパイ
ロットだそうです。F-35Aに機種転換し、ちょうど1年前の2018年4
月に三沢へ異動したとのこと。今は1日も早く、パイロットと機体
が見つかることを祈るばかりです。

■航空自衛隊ファントムの軌跡(4)

かつては北海道から沖縄まで全国にF-4EJ部隊が所在していま
したが、現在その姿を見られるのは百里基地のみ。特に2016年
に第301飛行隊が新田原から古巣の百里に戻ってきてからは、第
301飛行隊、第302飛行隊、第501飛行隊と空自のF-4E
J部隊のすべてが百里に集結。そのため百里基地はファントムネス
トとして国内のファントムファンのみならず、世界中のファントム
ファンから熱い視線を浴びてきました。第302飛行隊の見納めと
なる昨年の百里基地航空祭では外国人の姿もかなり見かけましたが、
記念塗装機目当てにはるばる来日した人も少なくありません。

百里基地は関東で唯一の戦闘航空団があり、首都圏防空の要として
国籍不明機に対するスクランブルなどの任務にあたっています。ま
た、3年に一度行なわれる航空観閲式の開催場所でもあります。
第301・302飛行隊は、航空自衛隊中部航空方面隊第7航空団
隷下の戦闘機部隊であり、首都圏防空の中核を担う戦闘飛行隊でも
あります。 

第301飛行隊は1973年10月、マザースコードロンとして第
7航空団隷下に新編。1985年3月に第204飛行隊と入れ替わ
る形で新田原基地の第5航空団へ移動。1991年には、F-4E
J改戦闘機へ機種更新されました。F-4EJの機数減少に伴い管
理の一元化と南西方面への戦術強化を図るため、2016年にはF
-15Jを装備する第305飛行隊と入れ替わる形で再び百里基地
に移動。F-4機種転換操縦課程と対領空侵犯措置任務を任務とし
てきましたが、2020年度にはF-35Aへの機種改編と三沢基
地への移動が決まっています。

第302飛行隊は1974年に空自2番目のF-4EJ飛行隊とし
て第2航空団隷下に配属されました。千歳基地におけるF-15J
の新編と那覇基地のF-104部隊の解隊に伴い、1985年に沖
縄県那覇基地へ。さらに2009年にF-15Jを運用する第20
4飛行隊と入れ換わる形で茨城県百里基地へ移動して以来、首都圏
の防空任務に従事してきました。第301飛行隊より一足早くF-
35Aへの機種改編と三沢基地への移動が決まっていたため、昨年
の航空祭では特別塗装機で会場を盛り上げた次第です。現在は三沢
基地のF-35A部隊が第302飛行隊を名乗っています。

第501飛行隊は日本唯一の戦術偵察機運用部隊です。活動範囲は
日本全土に及ぶため、ほかのファントム部隊と同じく百里基地に所
在しているものの、所属は第7航空団ではなく航空総隊の直轄部隊
となっています。
1961年に松島基地で新編、翌年に入間基地へ移動していました
が、RF-4Eの導入に伴い1975年に百里基地へと移動しまし
た。以来、40年以上にわたって同基地から偵察任務に従事してい
ます。1992年にはF-4EJ15機をポッド搭載のRF-4E
Jに改修して新たに追加導入しました。
偵察飛行は戦術目的だけではなく、民生協力での火山観測や阪神淡
路大震災などの大規模災害での災害派遣時も行なわれています。一
時は老朽化するRF-4EおよびRF-4EJの後継機としてF-
15Jを偵察機として改修することも検討されましたが、実現する
ことなくとん挫(防衛省と光学・赤外線偵察ポッド受注先の東芝が
互いに訴えるという裁判沙汰にまで発展しました)。
有人の戦闘機を飛ばしてアナログ写真を撮るということ自体がすで
に時代に即しておらず、第501部隊の解隊後、偵察部隊の新編は
予定されていません。偵察機のファントムのみならず、部隊自体も
消えるのです。

百里基地には2019年度内に三沢基地から第3飛行隊のF-2が
移動してきます。そして間もなくすべてのファントムが退役します。
世界有数のファントムネストとして名を馳せた百里基地ですが、そ
の冠を下ろす日が近づいています。



(航空自衛隊ファントムの軌跡 おわり)


(わたなべ・ようこ)



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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
 
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。

 
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