おはようございます、エンリケです。
著者に欧米の軍事に精通した豪州人軍事ジャーナリスト、ネヴィ
ルさん、訳者にミリタリー業界で高名な茂木作太郎さん、監訳
者に小火器の世界的権威・床井雅美さんを迎えて出た本著は、テ
ーマごとにエキスをギュッとまとめ、読みやすいボリュームでま
とめられた”オスプレイ社「エリート」シリーズ”の一冊です。
リー・ネヴィル(Leigh Neville)
アフガニスタンとイラクで活躍した一般部隊と特殊部隊ならびに
これら部隊が使用した武器や車両に関する数多くの書籍を執筆し
ているオーストラリア人の軍事ジャーナリスト。オスプレイ社か
らはすでに6冊の本が出版されており、さらに数冊が刊行の予定。
戦闘ゲームの開発とテレビ・ドキュメンタリーの制作において数
社のコンサルタントを務めている。www.leighneville.com
床井雅美(とこい・まさみ)
東京生まれ。デュッセルドルフ(ドイツ)と東京に事務所を持ち、
軍用兵器の取材を長年つづける。とくに陸戦兵器の研究には定評
があり、世界的権威として知られる。主な著書に『世界の小火器』
(ゴマ書房)、ピクトリアルIDシリーズ『最新ピストル図鑑』
『ベレッタ・ストーリー』『最新マシンガン図鑑』(徳間文庫)、
『メカブックス・現代ピストル』『メカブックス・ピストル弾薬
事典』『最新軍用銃事典』(並木書房)など多数。
茂木作太郎(もぎ・さくたろう)
1970年東京都生まれ、千葉県育ち。17歳で渡米し、サウスカロラ
イナ州立シタデル大学を卒業。海上自衛隊、スターバックスコー
ヒー、アップルコンピュータ勤務などを経て翻訳者。訳書に『F-
14トップガンデイズ』『スペツナズ』『米陸軍レンジャー』『SAS
特殊部隊(近刊)』(並木書房)がある。
欧米には、この種の「あらすじ本」「概略本」で優れた本が多い
ですね。学習の分野もそうですし、文学の世界でもたくさん見ら
れます。わが国には見られない文化といえましょう。
そのため、翻訳が出るのは非常に意味がある気がします。
ボリュームがさほどないのに、骨組みがしっかりしているから、
全体像や概略をつかむにはうってつけです。
本書でも様々な対テロ作戦が取り上げられていますが、
なかでも注目すべきは、2015年1月にパリで起きた「シャルリー・
エブド」襲撃事件、そして同年11月に起きたパリ同時多発テロ事
件における特殊部隊「BRI-BAC」の対テロ作戦です。
欧州における対テロ部隊は、英国のSAS特殊チーム、ドイツのGSG9、
フランスのGIGNの誕生を核とします。これらを手本にし、30か
国以上で対テロ部隊が発足してきたそうです。
現在、とくに地上軍では、テロとの戦いを無視することはもはや
できない状態になっており、警察・法執行機関・地上軍の境目が
あいまいになっています。
今後我が国はテロとどう向き合うか?を考える上で、
テロ対処部隊の歴史をわきまえておくのは不可欠といえましょう。
その手引きとなる一冊です。
ではさっそく、欧米の対テロ部隊ガイドブックの内容を見ていき
ましょう。
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はじめに 1
略語解説 7
第1章 ミュンヘン襲撃事件の教訓 10
ミュンヘン五輪を襲った「黒い9月」/失敗に終わった対テロ作
戦/対テロ部隊の創設が始まる/1970~80年代のテロ事件
第2章 新たなテロの脅威 22
ソフトターゲットへのテロ攻撃/死を恐れないテロリスト/テロ
の国際化
第3章 対テロ戦術と装備 36
介入作戦の手順/多様な任務をこなす警察犬/対テロ部隊の特殊
車両/突入するための特殊機材/攻撃の手順と人質確保/突入後
6秒以内に制圧!
第4章 ヨーロッパの対テロ部隊 66
アイルランドの対テロ部隊/イギリスの対テロ部隊/イタリアの
対テロ部隊/オーストリアの対テロ部隊/オランダの対テロ部隊/
ギリシャの対テロ部隊/スイスの対テロ部隊/スペインの対テロ
部隊/スロバキアの対テロ部隊/セルビアの対テロ部隊/チェコ
共和国の対テロ部隊/デンマークの対テロ部隊/ドイツの対テロ
部隊/ノルウェーの対テロ部隊/ハンガリーの対テロ部隊/フィ
ンランドの対テロ部隊/フランスの対テロ部隊/ベルギーの対テ
ロ部隊/ポーランドの対テロ部隊/ボスニア・ヘルツェゴビナの
対テロ部隊/ポルトガルの対テロ部隊/リトアニアの対テロ部隊/
ルーマニアの対テロ部隊 ロシアの対テロ部隊
第5章 アトラス・ネットワーク 146
34の対テロ部隊が「アトラス」に参加/定期的に開催される合同訓練
第6章 最新の対テロ武器 154
対テロ用の装備開発/人気のグロッグ・ピストル/MP5サブマシ
ンガンとカービン/アサルト・ライフル&バトル・ライフル/ス
ナイパー・ライフル/その他の武器
[部隊イラスト]
1980年代のドイツGSG9 20
1980年のイギリス第22SAS「パゴタ」チーム 20
1980年代後半のイタリアNOCS 20
1990年代後半のオーストリアGEK/EKOコブラ 33
2001年のスペインGEO 33
1994年のフランスGIGN 34
イギリス22SAS「パゴタ」チーム 74
フランスGIGN 76
ロンドン警視庁SCO19のCTSFO隊 76
ドイツGSG9第2中隊ダイバー 110
ベルギーDSU 110
オランダUIM(BBE)112
[コラム]
介入チームの訓練 65
[対テロ強襲作戦]
RAID強襲部隊(2015年11月18日)46
オランダBBEによる列車強襲作戦(1977年6月11日)86
マリニャーヌ空港でのGIGNによる航空機強襲作戦(1994年12月26日)130
対テロ部隊が使用する特殊装備 164
主な参考文献 193
監訳者のことば 195
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ミュンヘン五輪時のイスラエル選手虐殺。
これが、欧州諸国の対テロ部隊発足の嚆矢です。
なんとこの事件発生後数週間以内に、独仏などで警察・法執行機
関・軍にテロ対処専門部隊が発足しました。
対テロ部隊の戦術や装備は、新たな脅威の誕生などを通して進化
を続けており、東京五輪を間近に控えたわが国でも、対テロ警備
は他人事ではありません。
一読をおススメします。
『欧州対テロ部隊─進化する戦術と最新装備』
L・ネヴィル著/床井雅美監訳/茂木作太郎訳
四六判200ページ(オールカラー)
定価1800円+税
http://okigunnji.com/url/29/
エンリケ
追伸
本著を読みながら、
ドイツ語を学んでいたころ、よく「ゲーゲスゲーノイン」とつぶ
やいていたことを思い起こして懐かしくなりましたw
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