こんにちは、エンリケです。
日本国民が強く持っていた「反自衛隊」感情のなか、
50年以上にわたり、砂を噛むような思いでひとつひとつの災害
派遣活動に「誠実に」取り組んできたわが自衛隊は、ほぼ砂漠状態
だった国民の対自衛隊感情を「自衛隊への信頼」にまで育むとい
う偉大な事業を成し遂げました。
この本を読み、
いまの時代、「誠」を重んじる道を実践しているのが
わが自衛隊で、その良き伝統は脈々と受け継がれている、
と強く感じました。あらためて頼もしさを覚えた次第です。
自衛隊の活動記録で一般人で読める本といえば、
イラク派遣や東北大震災派遣、ルワンダ派遣、サリン事件対応く
らいしか思いつきません。
なかでも、最も活動の数が多く、一般国民に身近なはずの
「災害派遣」の全貌をまとめた本は、不思議ですがこれまで
ありませんでした。この本をもって嚆矢とします。
一番の特徴は、実際その場にいた自衛官のことばを通じて、
自衛隊災害派遣活動の実際や実態、核にあったものが何だったか?
が伝わる点です。
もっといえば、
現場で現実と格闘した人だからわかる
報告というより吐露とよんで差し支えないホンネさです。
この本には、過去50年余りの間に行われた主な自衛隊災害派遣と、
任に当たった自衛官たち(指揮官・幕僚・隊員)37名の証言が
収められています。
自衛隊家族会の機関紙『おやばと』の連載記事をまとめたもので、
それだからでしょうか、証言内容が脚色も誇張もなく実にリアルで、
緊迫感ややりきれなさが、ひしひしと読み手に伝わります。
実際の災害派遣は、離島での救急患者輸送、不発弾処理、行
方不明者捜索、医療、防疫などなど、活動範囲は広範かつ膨大です。
そんな自衛隊の災害派遣についてよく見聞きするのは、
機動力の高さや組織力の発揮、行方不明者の捜索といった
「能力発揮」の面です。しかし高い指揮能力があってはじめて
「高い能力を発揮」できることが、この本を読むとよくわかります。
ここに至って初めて自衛隊災害派遣を理解したと言えるのかもし
れない、とすら思います。
わが国では、目に見えるものしか理解・評価できない風潮が年と
ともに深まっています。そのせいか災害派遣でも、目に見える動
きだけ見てワイワイ言っている印象を持ちます。
自衛隊がなぜあそこまで卓越した能力を発揮できるのか?
を理解するなら、目に見える動きを支えた、目に見えない「指揮
能力」への視野が不可欠です。この本はその視野を与えてくれます。
監修者の桜林さんの冒頭文とあとがきも必読です。
その問題意識に共感するところ、きわめて大でした。
ぜひ読んでください。
おススメです。
『自衛官が語る災害派遣の記録─被災者に寄り添う支援』
桜林美佐監修/自衛隊家族会編
並木書房発行
http://okigunnji.com/url/28/
エンリケ
配信解除はコチラで
https://1lejend.com/d.php?t=test&m=example%40example.com