配信日時 2019/04/11 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (227)】航空自衛隊ファントムの軌跡(3)

こんにちは、エンリケです。

F-4の記事3回目です。

F-4は種々の改造を受けた機ですが、
その詳細が素人にもよくわかります。

さっそくどうぞ

エンリケ


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『ライター・渡邉陽子のコラム (227)
 ― 航空自衛隊ファントムの軌跡(3)―
         渡邉陽子
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〇〇さま

こんばんは。渡邉陽子です。先日あるNPOの代表にインタビューし
たのですが、取材後、取材陣の満場一致で「あの人、きっと政界に
行くね」という結論になりました。まずは区議、もしかしたら1期
は都議もやって、最終的には参院だねと。今後の道がここまではっ
きり見える人の取材は初めてだったかもしれません。あくまで想像
ですが(笑)。お話も楽しかったです。

 
■航空自衛隊ファントムの軌跡(3)

ファントムは140機導入されたF-4Jのうち、90機がF-4
EJ改に改修されています。
生産終了した1981年から、機体寿命延長と防空能力の向上・近
代化を目的として6年の年月をかけて改修に着手。改修はアビオニ
クスが中心で、おもな内容は
(1)レーダー、FCS(火器管制システム)の近代化
(2)航法・通信能力の向上
(3)搭載ミサイルの機種増と近代化
(4)爆撃機能の向上
の4点です。

(1)についてはFCSレーダーをF-16用のAPG66(米・
ウェスティングハウス社製、F-16A/Bで使用のAPG-66
改造型)に換装し、ルックダウン(下方監視)能力を獲得しました。
これは1976年のベレンコ中尉亡命事件において、F-4EJの
ルックダウン能力不足が露呈したことが背景にあります。また、F
-15用のセントラルコンピュータやヘッドアップディスプレイな
ども装備し、各種情報の一元化、総合的処理能力が飛躍的に高まり
ました。

(2)では慣性航法装置をLN39(米・リットン社製)に更新し、
航法計算機などを換装。通信機類も一新し、F-15Jとほぼ同じ
能力となりました。

(3)は、それまで搭載していた3種類の空対空ミサイルに加え、
F-15が搭載する空対空ミサイルAIM-7F/9L、国産空対
艦ミサイルASM-1も搭載できるように改修。これにより空対空
能力が向上し、ミサイルによる対艦攻撃力が加わりました。

(4)はセントラルコンピュータの搭載によって爆弾投下計算が素
早くなり、対地支援戦闘時の命中精度が向上しました。

改修を受けたファントムは、かつてはあえて取り外した爆撃機能も
取り戻し、マルチロール機として活躍してきました。
つまりぱっと見の「外側」からはあからさまな変化は少なくとも、
「内側」の頭脳部分は第4世代の戦闘機と同様、もしくはそれに近
い能力が付与されたことになります。21世紀になっても日本でフ
ァントムが現役の戦闘機として実任務に就くことができていたのは、
このような改修と国内で調達できる部品、そして整備員たちによる
プロフェッショナルな整備によるものなのです。

偵察機のRF-4Eは高性能カメラを搭載、災害地撮影などで力を
発揮する偵察機です。RF-86Fの後継として選ばれ1972年
度から調達、1975年から部隊配備。RF-86Fよりも速度、
性能、航続性、安全性が向上しました。
ファントム偵察機の最大の利点は複座双発にあります。目視偵察は、
RF-86Fでは操縦と偵察の両方をひとりで担当していましたが、
ファントムでは搭乗員ふたりで任務の分担ができるため、肉眼によ
る確認の確実性が高まり操作にも余裕が生まれました。
装備面では航法器材がそろい、困難な地点標定が可能。カメラは機
体のスピードに連動して写真が流れないようになっています。側方
偵察レーダー、赤外線探査装置、低高度パノラマ・高高度パノラマ
・前方フレームの3種のカメラによって、雨中でも夜間でも偵察・
撮影が可能です。
RF-86Fにはビューファインダーがなく、盲目撮影を勘と訓練
でカバー、カメラは地上でプリセットしてから偵察飛行していまし
た。そのため気象急変や日没間際の写真は露出不足という難点があ
りましたが、ファントムでは自動露出になりその心配はなくなりま
した。東日本大震災などでは被災地の航空写真を撮影、災害対策立
案など民生にも役立ってきましたが……続きは次週で。


(以下次号)


(わたなべ・ようこ)



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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
 
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。

 
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