配信日時 2019/03/28 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (225)】航空自衛隊ファントムの軌跡(1)

こんにちは、エンリケです。

きょうからF-4の記事です

好きな戦闘機なので、
個人的にすごく楽しいです。


さっそくどうぞ

エンリケ


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『ライター・渡邉陽子のコラム (225)
 ― 航空自衛隊ファントムの軌跡(1)―
         渡邉陽子
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〇〇さま

こんばんは。渡邉陽子です。2020年の東京オリンピックでブル
ーインパルスを登場させる構想があるというニュースが出ましたね。
1964年の東京オリンピック開会式でブルーが5色のスモークで
上空に描いた五輪のマークは東京五輪を象徴する光景のひとつです
から、そういう話が出るのは自然な流れだと思います。ただ今回の
開閉会式の会場は屋根付きですから、前回と同じような条件で飛行
はできません。そもそも開会式、日中に行なわれますかね? いず
れにしてもなんらかの形でぜひブルーには登場してもらい、その雄
姿を全世界に見てもらいたいものです。

 
■航空自衛隊ファントムの軌跡(1)

今週から4回にわたって、40年以上にわたって日本の空を守り、
2020年度までにすべての退役が決まっている航空自衛隊のF-
4EJ改ファントムII(本文ではF-4EJと表記)、通称ファン
トムの軌跡を振り返ります。

2018年12月2日に行なわれた百里基地航空祭は、例年以上に
熱いファントムファンが結集しているように見えました。多くの人
のお目当てはおそらく「オジロワシ」だったはずです。
空自戦闘機部隊の中で最大サイズとしても知られる垂直尾翼に描か
れたオジロワシは、第302飛行隊の部隊マーク。この雄姿を百里
基地航空祭で見られるのはこの日が最後でした。第302飛行隊は
三沢基地に移動して今週から、正確には来年度からF-35Aの飛
行隊となります。

マクドネル・ダグラスF-4はアメリカで1958年に初飛行、1
960年に最初の部隊運用が始まったという、60年もの歴史を持
つ戦闘機です。世界で計約5000機が生産された、今なお数百機
が現役で活躍する第3世代の大型超音速戦闘機です。

参考までに、第1世代はF-86など音速を越えない1950年代ま
での亜音速ジェット戦闘機、第2世代はF-104など初期の超音
速ジェット戦闘機。F-4が分類される第3世代はマルチロール・
電波ホーミングミサイル搭載能力・夜間戦闘能力を有します。第4
世代は制空戦闘から爆撃・偵察など広範囲の多用途性を有するジェ
ット戦闘機で、F-15などが該当します。
そして第5世代がF-22やF-35に代表される高度な火器管制装
置とステルス性、最新のアビオニクスなどを備えているもので、現
在運用されているジェット戦闘機の中で最高峰の性能を誇ります。

ファントムが1958年に登場した際、その設計は革命的と称賛さ
れ、抜群の飛行性能を世に知らしめました。
地上運用型と空母運用型の2種があり、米空軍、海軍、海兵隊が採
用しました。最初にA型、B型として海軍と海兵隊用が導入された後
に空軍用としてC型が導入されたという経緯があります。空軍機な
ら本来ほとんど使う機会のないアレスティング・フック(機体制動
用拘束フック)が太かったり、着艦に耐えうるよう主脚が頑丈だっ
たりするのは艦上機ならではの構造ですし、主翼の折りたたみ機構
も海軍機の名残といえます。なお、3軍が同時に使用した機種はそ
の後約半世紀後、F-35の登場まで現れません。
ちなみに米軍がファントムを作戦に投入したのは1991年の湾岸
戦争における砂漠の嵐作戦が最後で、1996年に退役しています。

一方、1954年に発足した航空自衛隊が最初に入手した戦闘機は
F-86F、通称セイバーで、1955年以降アメリカから供与さ
れたほか、国内でも300機を生産しました。1982年まで27
年間運用し、後継機にはF-104Jが採用されました。
これとほぼ同時期に導入が決まったのが、米空軍のF-4Eを日本
向けに改修したF-4EJです。
しかし、要撃機という位置づけでありながら、ベトナム戦争で攻撃
機としても能力を発揮していたため、自衛隊の「専守防衛」には無
用の長物であるという声が上がりました。
そこで核兵器制御装置、爆撃計算機、空対地ミサイル・ブルパップ
制御装置、空中給油装置といった対地攻撃装備はすべて取り外し
(ただしF-4EJ改への改修の際、再び一部装備されました)、
データリンクを載せ、多用途戦闘機としての色合いを薄めて要撃戦
闘機タイプにした形での導入となりました。


(以下次号)


(わたなべ・ようこ)



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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
 
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。

 
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