配信日時 2019/03/11 08:00

【桜林美佐の美佐日記(18)】失敗を責めない、そして誉めすぎないことも愛情

こんにちは、エンリケです。

きょうの記事中の「期待に応える悲劇」とは少し違いますが、
平時全く期待されていない部署や人が、有事に力を発揮する
ことは多々ありますね。

大東亜戦争で展開した大阪(姫路?)部隊に対する
敵さんの高い評価などその典型例でしょう。

記事を読みながら、
伝説やストーリー、英雄視など、過度に思いを注ぎ込む感情的な
姿勢は、現実と取り組む組織にとっていいことはあまりないなあ、
と改めて思いました。

そういう姿勢は、趣味の世界で自己完結させるのがいいようです。

とともに、実戦経験を定期的に積むことは、
現実と取り組む組織に不可欠だなあとも感じました。

今回も面白いです。
さっそくどうぞ。


エンリケ


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桜林美佐の「美佐日記」(18)

 失敗を責めない、そして誉めすぎないことも愛情

桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記といふものを、
女もしてみむとてするなり」の『土佐日記』ならぬ『美佐日記』
は今回で18回目です。

先週、夕刊フジに書いた山本さんの記事がWEBにアップされました!

【ぴいぷる】不慮の事故で下半身不随も…奮い立ちパラリンピック
3度出場 日本の車いすアスリートの先駆者・山本行文さん
https://www.zakzak.co.jp/spo/news/190307/spo1903070009-n1.html


読者感想メッセージに「いすけ屋」さんからお便り頂戴しました。
「ご結婚されて以降、ますます女性らしくなりましたね。安堵し
ています。せっかくの美人がこのままではと、
心配しておりました。東京と折り返しはきついでしょうが、ます
ますご活躍のほど、期待しています。くれぐれも体調に気を付け
て、我等の知らない情報を教えて下さい」

本当にありがとうございます。もう軽く10年以上前から支えて
頂いています! 

YouTubeでの情報発信もあり、月1回くらいのペースで東京に行っ
ています。日帰りも多く、空港まで車とバスを乗り継いでの行程
は、大変ではありますが、私の拙い話でもお声がけ下さることを
ありがたく受け止め、できる範囲で出張しています(やむなくお
断りしした仕事もあります。申し訳ありません!)。

 たった数時間の東京出張でも、福岡に戻ると「ほっ」とします。
芸能リポーターで知られるSさんは、福岡のテレビ局でも仕事し
ているうちに、すっかりこちらが気に入ってしまい、福岡市内に
マンションを購入、完全に移住して九州暮らしをエンジョイして
います。ほかにも芸能人で福岡に移住している人も何人かいるよ
うです。空港までのアクセスもよく、東京で羽田まで遠い所に住
むのなら、福岡の方が家賃も物価も安くていいという考え方もあ
るようです。

 あと、移住組が口を揃えるのが「人が親切」ということですね。
もちろん、人それぞれではあると思いますが、私もこれを痛感し
ています。以前も、西鉄電車の中でたまたま隣に座った乗客の女
性どうしが10年来の友達のようにお喋りしていたことを書きま
したが、あれは地元の人たちにとってみればそんなに珍しくない
ようです。

 他人に対して丁寧な対応をしてくれるのは、特に病院などで感
じます。一人一人によーく説明をして対話をする先生が多いよう
で、ありがたいのですが、それなりに時間がかかります。以前、
首が痛かった時にプラセンタ注射に通っていたのですが(首に効
果があるかどうかは分かりませんが)、1回500円払って、少
し待って、名前を呼ばれたら、診察エリアに入る→肩を出す→打
つ、で1分もかからないうちに終了! 特に私は一瞬も無駄のな
い誰よりも早い動きでしたので、夜勤明けの朝に「一瞬」立ち寄
る、というのが私にとっての「治療」であり「通院」だったので
すが、そういうのはいかにも東京的だったのかもしれませんね・・・。
 
 とにかく親切で温かい皆さんで、先週はお話ししたように経済
評論家の上念司さんのトークライブに出てきましたが、オープニ
ングの『優しい悪魔』(キャンディーズ)に盛大な拍手を頂きま
した。東京だったらこんなに寛容に受け入れてもらえなかったこ
とは確実です!

 その九州の人々のお話。久留米で編成された「菊」と「龍」兵
団が戦ったミャンマーでは、この4月末までの間に遺骨収集に向
けた調査が進められるといいます。西日本新聞によりますと、政
府と少数民族武装勢力との戦闘が続いていたため立ち入りができ
ない地域が、4月末までの停戦が実現したために調査可能となった
そうです。

私自身は、遺骨収集については、ご遺族が健在で帰還できる家が
しっかり確保されているならばいいのですが、そうでないと、千
鳥ヶ淵という訪問者が多いとは言えない所に入らざるを得ないこ
とや、帰国できるご遺骨と残されるご遺骨に別れ別れになってし
まうことが、どうしても心にひっかかってしまいますが、帰還で
きることに越したことはありません。実際に取り組んでおられる
方々には心より敬意を表します。

ともあれ、ミャンマーでの調査は進行中です。村の古老に聞き取
りを行ない、日本兵の遺骨がある場所を試掘、GPSを使ってピンポ
イント特定するとのこと。

 「死の谷」を意味するフーコンはミャンマーとインドの国境付
近にある渓谷で、「菊」兵団は援蒋ルートの遮断のため、ここに
進出しました。しかし、補給もないまま6割以上の将兵が戦死し
ています。そのフーコンからの脱出路は、望郷の思いを込め「筑
紫峠」と名付けられたのです。

 私は今、まさにこの「筑紫」をいつも目にする場所に居ます。
そのたびに、白骨街道と化したビルマの「筑紫峠」に思いを致さ
ずにはいられません。

 先日、陸上自衛隊で長年、戦史教育に携わった黒木実馬さん
(防大15期)のお話を伺う機会がありましたが、当時は「菊と
龍の兵隊は決して逃げない」ということが巷で言われていたとい
います。

ここで、はたと気づくのは、我々後世の人間は「菊と龍」といえ
ば最強の兵団ということを誰に気兼ねすることなく言えますが、
もし、同じ時代に生きていてそれを言われたら、当事者の将兵は
どのような感覚だったのか、ということです。そこは考えたこと
がなかったと、黒木さんのお話を聞いて思いました。

 「菊と龍は逃げない」。その言葉があったから彼らは決して逃
げなかった。そのようなプレッシャーを受けながら戦っていたと
も言えます。孤立してしまう島嶼作戦においては「全滅」は多い
ものの、大陸戦線での「全滅」は稀であり、その理由は、この
「菊と龍は逃げない」のレジェンドに依るところが大きかったの
ではないかと黒木さんは言います。
 
自衛隊ではよく「最強の部隊を目指す」とか「日本一になる」と
言いますよね。これが実際、戦争中に自分たちが外からそうした
評価を受けたら、喜びを超越した苦しみにもなるのかもしれない・・・
そんなことも感じます。失敗を責めないことはもちろんですが、
誉めすぎないということも、軍においては愛情なのかもしれませ
ん。軍において言葉は非常にセンシティブですね。


<おしらせ>
YouTubeチャンネルくらら『国防ニュース最前線』は毎週土曜の夜
にアップデートされています。3月9日は産経新聞・論説副委員長
の榊原智さんに北方領土と安全保障についてお話を伺っています!

http://www.chclara.com


(つづく)



(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、
ディレクターとしてテレビ番組を制作。その後、国防問題などを
中心に取材・執筆。著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続け
た海の守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰も語ら
なかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だけでは防衛産業は守
れない』『防衛産業と自衛隊』(いずれも並木書房)、『終わら
ないラブレター─祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』
(PHP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産経新聞出
版)、『ありがとう、金剛丸─星になった小さな自衛隊員』(ワ
ニブックス)。月刊「テーミス」に『自衛隊密着ルポ』を連載。


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