配信日時 2019/02/28 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (221)】陸上自衛隊第14旅団協同転地演習(1)

こんにちは、エンリケです。

きょうから、14旅団の転地演習に関する
記事がはじまります。

渡邉さんは、
今月号の『丸』に海保の音楽隊の記事を
書かれたそうです。

音楽隊と聞くと、昔の同僚だった、
音大卒の音楽隊元隊員さん(陸)のこと
を思い起こします。

さっそくどうぞ

エンリケ


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『ライター・渡邉陽子のコラム (221)
 ― 陸上自衛隊第14旅団協同転地演習(1)―
         渡邉陽子
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〇〇さま

こんばんは。渡邉陽子です。現在発売中の『丸』4月号(*)に、自
衛隊ではないのですが海上保安庁音楽隊に密着取材した記事が掲載
されています。自衛隊の音楽隊と違って専任ではなくほかの業務を
こなしながらの兼任のため、各隊員の負担は大きいのですが(音楽
隊に対して理解があり協力的な部署ばかりではないようですし)、
それでも海上保安庁唯一の音楽隊として活動し、ときに国家行事に
も参加できること、そしてなにより海上保安官として音楽に関われ
ることに喜びを感じ、誇りを持っていることがひしひしと伝わって
きました。『海猿』の主題歌は、技術的にはうまい演奏をするとこ
ろはたくさんありますが、海保音楽隊が演奏するとそこに彼らの熱
とプライドと聴衆の期待が加わって、「この人たちじゃないと出せ
ないな」という音を響かせてくれます。

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■陸上自衛隊第14旅団協同転地演習(1)

今週から数回にわたり、昨年夏に取材した陸上自衛隊第14旅団協同
転地演習についてご紹介します。

平成30年7月4日から11日、第14旅団(善通寺)の平成30
年度協同転地演習が行なわれました。
演習の目的は国内における各種事態に有効に対応するため、各種輸
送力を使用した長距離機動訓練を実施するとともに、旅団規模の演
習を実施して中部方面隊の即応性の向上を図ることです。
場所は中部方面区から東部方面区(沼津海浜訓練場)、訓練部隊は
人員約110名、車両等約45両の中には16式機動戦闘車も含ま
れています。

中部方面総監の岸川公彦陸将という担任官を同じくして、第13旅
団(海田市)も6月15日から7月31日という日程で、人員約2
400名、車両等約900両(74式戦車、155mm榴弾砲FH70
を含む)の規模で協同転地演習を実施。
13旅団は民間船舶「はくおう」で北海道に展開し、矢臼別演習場
や上富良野演習場等にて訓練を行ないました(しかし13旅団の担
当警備区である中国地方が豪雨に見舞われたため、「はくおう」は
入浴支援のために当初の予定を切り上げて被災地に向かうことにな
りました)。

協同転地演習は、冷戦時代は「北方機動演習」と呼ばれていました。
当時の「前線」は北海道でしたから、有事の際に本州などの部隊を
北海道に展開させて防衛力を強化することを目的とした演習だった
のです。それが現在では、陸自の展開能力の強化・向上のためと目
的を変えて実施されています。
多くの犠牲者と甚大な被害に見舞われた「平成30年7月豪雨」では
3万人規模の災害派遣が行なわれましたが、被災地への交通手段に
民間フェリーを用いた部隊もあれば、経路上の駐屯地で給油を行な
いつつ陸路で移動した部隊もあり、このような長距離機動訓練の成
果がまさに発揮されました。また、今回の14旅団は四国から本州
へ、13旅団は本州から北海道へ部隊を展開しましたが、北海道の
部隊が九州へ(あるいはその逆も)という日本を縦断するような長
距離機動訓練も行なわれています。

一般の人からすれば「ただ移動することが訓練なの?」と不思議に
感じるかもしれませんが、有事の際や災害派遣の際、陸自の車両が
海自の輸送艦や空自の輸送機にスムーズに積載されたり、フェリー
などの民間交通手段を利用したり、あるいは一般道を長距離走行し
たりするには、日頃からそういった機動展開の訓練を行なって要領
を習得しておく必要があります。ぶっつけ本番では計算違いや想定
外のアクシデントが発生することは避けられません。実際に機動展
開する必要が生じたとき、輸送艦に最短時間ですべての車両を積載
し速やかに展開するためには、このような転地演習は不可欠なので
す。

また、今回14旅団は海自の輸送艦「おおすみ」を利用しましたが、
車両と一緒に乗り込んだ隊員たちは数日間を艦内で過ごすことで、
海自の「文化」を垣間見ることができたのではないでしょうか。統
合運用がますます重要になっていく中、作戦や通信だけを共有して
いるだけなく、陸海空3自衛隊の異なる制服を着る隊員達の「人」
の連携があればこそ、統合運用のさらなる深化も期待できるという
ものです。



(以下次号)


(わたなべ・ようこ)



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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
 
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。

 
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