配信日時 2019/02/22 20:00

【加藤大尉の軍隊式英会話】◆「最新兵器の一騎討ち ──B-1ランサー爆撃機 vs TU-160ブラックジャック爆撃機(1)」

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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応予備自衛官
でもあります。
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E-mail hirafuji@mbr.nifty.com
WEB http://wos.cool.coocan.jp
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こんにちは。エンリケです。

加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が出ました。
今回はMP5です。

「MP5サブマシンガン」
L.トンプソン (著), 床井 雅美 (監訳), 加藤 喬 (翻訳)
発売日: 2019/2/5
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※大好評発売中


上田さんのブログに、
「まだまだ勉強です」
とのことばがありました。

私から見れば、
雲の上レベルにいらっしゃる方の
そういう言葉を見ると、全身が奮い立ちます。

私ももっと勉強します。

とくに兵器をもっと勉強します。
この連載も勉強の素材です。

いっしょに成長しましょう

今週もさっそくどうぞ。


エンリケ


追伸
ご意見ご質問はこちらから
https://okigunnji.com/url/7/


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加藤大尉の軍隊式英会話     Takashi Kato

◆「最新兵器の一騎討ち
 ──B-1ランサー爆撃機 vs TU-160ブラックジャック爆撃機(1)」

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□今週の「トランプ・ツイッター」

 2月15日、新たな予算が成立し、懸念されていた米政府の再
閉鎖は免れました。しかし同時にトランプ大統領は、メキシコか
らの薬物および犯罪者の流入に鑑み国家非常事態を宣言。議会の
承認なしに国境の壁建設予算を確保する手段に打って出ました。

 野党民主党は大統領による職権乱用だとして猛反対し違憲訴訟
も辞さない構えです。反トランプと銃規制の急先鋒であるペロシ
下院議長は「民主党が政権を奪還した場合、新大統領はトランプ
氏の先例に倣って銃犯罪で国家非常事態を宣言し銃規制を行なう」
とけん制。大統領継承順位2位の重職にある下院議長の発言は米
社会に穿たれた深い断層を暗示しています。

 このリベラル派と保守派の対立はトランプ大統領が作り出した
ものではありません。声なき大衆と呼ばれる保守層に鬱積してい
た不満、不安、そして米国の伝統的価値への回帰願望を見事に体
現したのが、ワイルドカード・プレジデントだったのです。では
この分断の原因はいったい何なのか? わたしなりに極言すると
「自由」と「平等」に対する考え方の違いではないかと思います。

 リベラル色の強い民主党は「すべての人々が繁栄を共有する平
等社会」や「開かれた国境」を理想としているようです。オバマ
前大統領が国営医療制度と国民健康保険を推進し、違法移民にも
福祉を与える政策を目指したことからも分かります。無格差社会
実現のためには、個人の自由を法律で制限する大きな政府を是認
する立場です。

 保守層を支持基盤とする共和党にとって、平等とは「機会均等」
を意味します。個人にはチャンスを活かし成功を目指す「自由」
が与えられているとの視点で、慧眼と努力で立身出世を実現する
アメリカンドリームの原点だと言えます。政府による制限を極力
廃し自由競争を奨励する立場は、結果として生じる格差を容認す
るものでもあります。

 どちらを選ぶかは結局のところ「好み」の問題。とすれば、両
陣営が妥協する可能性は低いと言わねばなりません。

 米国社会にはかつて「あなたの意見には賛成できない。しかし、
あなたの言論の自由を守るためには命を懸ける」という理想と気
概がありました。この精神を呼び戻すことができるかどうかに米
国の未来がかかっている。わたしはそう見ています。

 本日のトランプ・ツイッター、キーワードは open border。文
字通り訳せば「開かれた国境」つまり検問のない、出入り自由な
国境のことです。

Gallup Poll:“Open Borders will potentially attract 42 
million Latin Americans.” This would be a disaster for the 
U.S. We need the Wall now!

「ギャラップ調査によると『国境の出入りが自由になれば420
0万人の人々が中南米とメキシコからやってくる可能性がある』
そうなればアメリカにとって最悪だ。いま、壁を建設しなければ!」


 それでは本編に入りましょう。

 兵器の中には外見の似通ったものがしばしば見られます。すぐ
頭に浮かぶのが、日本初の超音速支援戦闘機F-1と英仏共同開発に
なるジャギュア攻撃機や、陸自の90式戦車と西独のレオパルド
2(砲塔に楔形の隔壁装甲を追加する以前のモデル)戦車などで
す。これを模倣とみるか、類似した任務(mission)と生存性
(survivability)、火力(firepower)を極限まで追求した必然とみ
るかは意見の分かれるところでしょう。

 冷戦時代に開発された可変翼超音速爆撃機(variable wing 
supersonic bomber)である米のB-1ランサー(Lancer:槍騎兵)と、
旧ソのTU-160ブラックジャック(Blackjack:こん棒  NATOのコー
ド名)も一見すると瓜二つです。しかし諸元を比べてみると相違
点が浮き彫りになってきます。

 まず大きさですが、ランサーが全長約45m、全幅約42m
(可変翼最大展開時)、重量86tであるのに対し、ブラックジャ
ックは全長約54m、全幅約56m(可変翼最大展開時)、重量1
10tと、後者のほうが一回り大型の機体であることが分かりま
す。
 
 両機とも優れた離着陸性能を達成するために可変後退翼を備え、
従来の爆撃機よりレーダー反射断面積を極めて小さくできるブレ
ンデッドウィングボディを採用しています。しかしエンジンはブ
ラックジャックの方が強力で、ランサーの最高速度マッハ1.25を
凌ぐマッハ2.05が可能です。

教材ビデオ;
https://www.youtube.com/watch?v=Q7GL-fq1EDo
(本来のビデオが削除されてしまいました。B-1とTU-14
0を比較した代替えビデオを用意しました。シナリオと一致しま
せんが、外見上両機が瓜二つなのに中身が違うことは分かると思
います)

基本語彙(カタカナ発音表示はおおざっぱなものです)
Visually(ビジュアリイ)視覚的に
Overlap(オーバーラップ)重複する 重なる

The B-1 Lancer and TU-160 look visually similar and even 
share some overlap in their mission sets.
(B-1ランサーとTU-160は外見が似ているし、任務にも重なるとこ
ろがある)

 However two jets are different.
(しかしこれらのジェット爆撃機は異なる機体だ)

英語一言アドバイス:
visualは「視覚の」「視力の」「目視の」という意味です。昼間、
計器に頼らないで飛ぶことをvisual flight(有視界飛行)と言い
ます。目視できる射程の外から発射するミサイルは beyond visual 
range missile(視界外射程ミサイル)になります。

発音サイト
visualの発音(最初の発音が良いようです)
https://www.howtopronounce.com/visual/

Beyond visual range missileの発音
https://www.howtopronounce.com/beyond-visual-range-missile/

参考サイト
TU-160超音速戦略爆撃機
https://ja.wikipedia.org/wiki/Tu-160_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)
B-1ランサー超音速戦略爆撃機
https://ja.wikipedia.org/wiki/B-1_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)




加藤喬(たかし)


●著者略歴
 
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。アラスカ
州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省外国語学校
日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―ある“日本
製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、『名誉除隊』
『加藤大尉の英語ブートキャンプ』『レックス 戦場をかける
犬』『チューズデーに逢うまで』『ガントリビア99─知られざ
る銃器と弾薬』『M16ライフル』『AK―47ライフル』
『MP5サブマシンガン』(いずれも並木書房)がある。 
 
 
追記
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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
 
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X 
 
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320

オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
 
 
 
きょうの記事への感想はこちらから
 ⇒ https://okigunnji.com/url/7/
 
 
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専門用語があ
ります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日本人が自衛
隊のブリーフィングに出たとしましょう。「我が部隊は1300時
に米軍と超越交代 (passage of lines) を行う」とか「我が
ほう戦車部隊は射撃後、超信地旋回 (pivot turn) を行って離
脱する」と言われても意味が判然としないでしょう。
 
 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」は
 "Repeat" ではなく "Say again" です。なぜなら前者は
砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに使う言葉だからです。
 
 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍では建物の
「階」は日常会話と同じく "floor"ですが、海軍では船にちな
んで "deck"と呼びます。 また軍隊で 「食堂」は "mess 
hall"、「トイレ」は "latrine"、「野営・キャンプする」は 
"to bivouac" と表現します。
 
 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取りあげ、
軍事用語理解の一助になることを目指しています。
 
加藤 喬
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