配信日時 2019/02/18 08:00

【桜林美佐の美佐日記(15)】6割の自治体は自衛官募集に非協力?

こんにちは、エンリケです。

自治体の自衛官募集への協力に関する
安倍首相の発言が 各方面で波紋を引き起こし
ているようです。

これ、
自衛官の募集が非常に困難な状態にあることが
原因なんですね。

国家規模の重大問題であり、
国民全員で考えなきゃいけない課題だと
感じます。桜林さんに共感します。

まずは、見聞きしただけのこの話が、
実際はどういうことか?をこの記事で知ってく
ださい。

そして、自衛隊・国防・軍事への最低限の理解が
いまだ共有されていないわが国の現状に気付く契機
にしてほしいです。


さっそくどうぞ

エンリケ

追伸
「私・・・ミュージカルに出たいんです!」には
びっくりしました (^^♪


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桜林美佐の「美佐日記」(15)

 6割の自治体は自衛官募集に非協力?

桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記といふものを、
女もしてみむとてするなり」の『土佐日記』ならぬ『美佐日記』
は今回で15回目です。

先日、熊本で開催された「西部方面音楽まつり」に行ってきまし
た。第8師団、第4師団、第15旅団の音楽隊に加え、自衛太鼓
チームも登場しました。太鼓は、やはり九州ということで独特の
迫力を感じ「無法松の一生」を思い出しつつ(またこれか!)す
っかり聴き入りました。

で、わが福岡の第4師団はミュージカル「グレイテスト・ショー
マン」を披露。実は昨年も同音楽隊による同じ曲を地元で聴いて
いたのですが、「これは一体、なんなんだろう??」というのが
第一印象でした。やはり、この映画そのものを観るべきなんじゃ
ないかと思い立ち、帰宅した足でレンタルビデオショップに行き、
借りてきたのです。

今まで、ミュージカルなんて面白くなさそう!「緋牡丹博徒」が
一番いい!と、食わず嫌いをしていたのですが、その日を境に私
はすっかり虜になってしまいました。

そこで、勢い余って、マネージャーのN女史(※サンミュージッ
ク)に打ち明けてみました。

「N」さん!私・・・、ミュージカルに出たいんです!」と。

さぞビックリするだろうと内心、期待したのですが、さにあらず、
「あら~、いいんじゃないですか~~」と意表をついて好反応。
さすがこれまで数々の有名タレントを育てただけあって聞き流す
のがうまい!

次に会う時に「歌のレッスンに通い始めましたっ」ということに
でもなれば、本気度が伝わるだろうと思いますが、あらゆる原稿
を書くのが遅いので、未だスクール探しにも着手できません。お
そらく通い始めるまでに1年くらいかかるでしょう。とほほ・・・。

さて、今回マネージャーさんと会ったのは、ミュージカルに出る
相談ではなく(当たり前)、久々のテレビ出演のお仕事でした。
東京MXテレビで朝7時から放送している「モーニングクロス」
にコメンテーターとして出演(告知を忘れました!)。トップニ
ュースに匹敵する扱いだったのが、「自衛官募集に自治体の6割
が協力していない」と安倍総理が発言したことについて。

 これに関して、いや9割は協力しているじゃないかという話が
出て世の中の皆さんも混乱しているようです。どういうことなん
だ?と。

 結論から先に言いますと、私は今この話題が沸騰していること
は悪くないと思います。多くの国民に自衛隊への理解を深める好
機でもあるとも思っています。まさに今、豚(とん)コレラが各
所で発生し、自治体からの要請で自衛隊は24時間態勢で、しか
も場所によっては3日ほどもかけて殺処分を行なっています。

 繰り返しますが「24時間態勢」ですから、「寝ずに」「数日
間も」ひたすら悲痛な鳴き声をあげる豚を追い込んで殺処分する
のです。ニュースでは作業服を着た人たちが映っていて、地元の
職員なのかどうか判別できませんが、公表されている人数の規模
からしてもほとんどが自衛官だと思われます。

 自衛隊はこんなことをするために存在しているのか? 都合の
いいように使われて気の毒すぎる!といった声がネット上などで
も多数出ています。

 確かにそう思います。でも、一方で、私にとっては誰もできな
い、やりたがらないことができる自衛官は本当にかっこいいと思
いますし、心から尊敬します。文句も言わずに、人の嫌がること
ができるということは、人間としての能力が高いということなん
です。

 あの姿を見て、ただでさえ厳しい自衛隊の募集に悪影響を及ぼ
すのではないかという懸念もあるかもしれません。しかし、そう
いう献身を目にして「自衛官になりたい」と思う若者がいたらそ
の人は本物です。むしろ、そのようなことが憚(はばか)らずに
言える国であって欲しいと思います。

 話を元に戻して、自治体の自衛官募集に対する協力についてで
すが、私は以前、たまたま募集を担当する方々と話をすることが
あり驚かされたことがあります。その頃から、自治体が自衛官適
齢住民の個人情報を提供していると一部で批判されていたのです
が「我々もやりたいわけじゃないんです」とため息まじりに打ち
明けてくれました。

 なぜなら、その作業はあまりにも骨が折れるというのです。役
所で名簿を閲覧し、ひたすら書き写すという、前時代的な作業を
しているというから驚きでしたが、それは今も変わっていないよ
うです。

 「9割の自治体が協力している」と言いますが、自衛官募集の
お知らせを送るための名簿や住所そのものを提供しているのは実
際、全体の4割で、あとの6割のうち3割は該当する年齢の住民
をピックアップして閲覧させているといい、2割の自治体はすべ
てを閲覧させ自衛隊側がピックアップしなくてはならない状態だ
といいます。そして、全体のうち1割は閲覧すらさせないという
ことなのです。

 これについては、自衛隊法第97条や自衛隊法施行令第102
条に自治体などが要請に応じて資料の提供を行なう旨が明記され
ているのですが、個人情報を渡す根拠とみなしていない自治体が
多いということになります。

 何日もかけて書き写す作業を行なっている自衛官としては、命
じられてやっているにすぎず、命じる側も法令に従っているだけ、
という光景が見えてきます。このような、えもいわれぬ苦労を経
て、最終的に郵便ポストに届いたDM(ダイレクトメール)が若
者たちや親御さんの心を動かすことを期待するしかありませんが、
今の時代、どうなんでしょう、DMの効果がその苦労に見合った
ものなのかどうか・・・、そのあたりも含め、考えるべき善後策
はあるはずですし、また、自治体などの意識改革や、根拠法の整
理も喫緊の課題であることは言うまでもありません。

 しかし、最も騒がれているのは、安倍総理が自民党の党大会で、
改憲の必要性とこの自治体の非協力的な現状と関連付けて語った
ことです。「それとこれとは関係ないだろう」と。

 総理が言いたかったのはおそらく、憲法に「自衛隊」が明記さ
れれば、学校でも教えられ教科書にも載ることになるので、そう
いう教育を受けた子供たちが大人になって役所に就職した頃には、
意識が変わっているだろう、ということではないかと想像します。
いずれにせよ、今すぐに募集や協力の状況がガラリと劇的に変わ
るはずはありませんから。

 自衛隊の応募者が減っている理由はさまざまで、景気が上昇し
有効求人倍率が高い時はどうしても民間企業を希望する人が増え
ますし、少子化も大きな要因になってきています。また、一人っ
子も増えるので、多くの親御さんたちは将来的に息子や娘が常に
近くにいないことは避けたいと考えているようです。転勤もある
自衛隊より、地元に根差す警察・消防のほうがありがたいという
ことで、本人が希望して自衛隊に合格しても、両親の強い反対で
断念させられたという話もしばしば聞いています。

 一般的にも、親の世話をしながら働いている人が増える世情か
ら鑑みても、自衛隊に入れば2~3世代が安心して暮らせるとい
うような魅力化が必要になってくるのではないでしょうか。

 とにかく、今回の騒ぎから国民の皆さんに知っていただきたい
のは、

いま日本は安全保障や自然災害という観点だけでも大変不安定な
状況に置かれており、自衛隊の人員不足はそのまま国民の安全・
安心を損なうことになること。

2)そのため現在、すべての自衛官が「広報官」「募集担当」さ
ながらに人員確保に尽力していること。

 以上のことを認識すれば、国や国民、そして地域が手を携える
必要性をわかっていただけるのではないでしょうか。ぜひ、よろ
しくお願いいたします!

(前回の訂正)
 前回の当日記で、「配偶者同行休業」について、「自衛隊初」
と書きましたが、防衛省においては同制度が平成26年に施行
されており、それまでにすでに実績があったようです。お詫び
して訂正いたします。ただ、男性隊員が女性隊員の赴任先に同
行することは極めて珍しいケースになります。


<おしらせ>
YouTubeチャンネルくらら『国防ニュース最前線』は毎週土曜の夜
にアップデートされています。2月16日は伊藤俊幸・元海将の
解説です!

http://www.chclara.com



 
(つづく)



(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、
ディレクターとしてテレビ番組を制作。その後、国防問題などを
中心に取材・執筆。著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続け
た海の守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰も語ら
なかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だけでは防衛産業は守
れない』『防衛産業と自衛隊』(いずれも並木書房)、『終わら
ないラブレター─祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』
(PHP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産経新聞出
版)、『ありがとう、金剛丸─星になった小さな自衛隊員』(ワ
ニブックス)。月刊「テーミス」に『自衛隊密着ルポ』を連載。


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