こんにちは、エンリケです。
いま「F-4」と「F-2B」の本を読んでますが、
そこで描かれている空自の教育スタイルと
この連載に描き出されている陸自の教育スタ
イルには通じるものがありますね。
こういう発見は、実にうれしいです。
おそらく海自も同じでしょう。
さっそくどうぞ
エンリケ
「ライター・渡邉陽子のコラム」バックナンバー
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『ライター・渡邉陽子のコラム (219)
― 第2師団集合教育「レンジャー」(5)―
渡邉陽子
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〇〇さま
こんばんは。渡邉陽子です。
2月10日、陸上自衛隊中央音楽隊の特別演奏会へ行ってきました。
取材ではなく普通に応募して当選したのです。
2部構成で、1部は音楽隊長の指揮による通常の演奏。いつも通り
鉄板&盤石の安定感、選曲もナイスでした。
2部は下野竜也氏の指揮。
中音が音楽隊長以外の指揮で演奏するのを聴くのは初めてでしたが、
もう、圧巻でした。
特に最後の『アルメニアン・ダンスパートII』では、マエストロが
隊員たちの持つポテンシャルをMAXまで引き出して、いまだかつて
聴いたことのない中音の音が響きまくりました。中音、あんな音も
出せるのか! マエストロ、あんな音も引き出すのか!
それに、隊員たちが演奏していてめちゃくちゃテンション上がって
いるのが手に取るようにわかりました。無意識に体が動いてしまう
のでしょう、いつものステージではありえないほど隊員たちの体が
音に合わせて揺れていました。マエストロと一緒に音楽と作り上げ
ている高揚感がステージいっぱいに広がっていました。
私もその場にいられたことがすごく幸せでした。
下野さんはもともと好きな指揮者でしたが、生で振るのを見たのは
初めてでした。ますますファンになりました。指揮者の仕事、指揮
者のすごみを堪能させてもらいました。
そしてもちろん中音も大好きです。
Oさま
最終想定に負けるとも劣らない訓練をされたのですね。心身共に限
界に達する経験は、20年経った今でも色濃く思い出せることでしょ
うね。こちらこそありがとうございます。
■第2師団集合教育「レンジャー」(5)
ところで、結果的にほかの学生たちに迷惑をかけることになってし
まった学生は、レンジャー徽章を手にしたときに胸を張れるのだろ
うかという問いに、広報室長の3佐は「どの学生にも課題は残りま
す。自分の弱さを知ることがレンジャー教育でもあるので、そうい
う面が出てもいいんです。自分に足りないところを知ることが重要
ですから。この経験を生かし、今後の自衛隊勤務で成長していけば
いいんです。部隊に貢献するとか、助教となってレンジャー隊員の
育成に尽力するとか、道はいろいろあります」と話してくれました。
ちなみにこの3佐は幹部レンジャー(陸曹レンジャーも!)、冬季
遊撃、スキー(上級指導官)の徽章を持つ強者。現在、水陸機動団
で任務に就いている後輩や教え子も少なくありません。
これから学生たちは破壊を命じられた橋の偵察を行ない、橋梁爆破
のための準備を進めます。
戦闘隊長に指示された学生は、警戒員として道路に配置したり、爆
破薬の準備をしたりとそれぞれの任務をこなしていきます。
基本計画とすり合わせて修正した後に爆破、戦闘隊長が成果を確認
してから現地を離脱しました。よろよろの学生は相変わらずよろよ
ろのままです。駐屯地に戻れるのは2日後、それまでほぼ不眠不休
になるというのに、大丈夫なのでしょうか。
3日目は早朝に名寄演習場内で敵の車両部隊を伏撃しました。
2回目の偵察を終了後、戦闘隊長が帰来報告に基づいて計画を修正
しています。この後命令下達し戦闘指導、そして時間があれば戦闘
予行を行ないます。
伏撃地点の周辺に身を潜めている学生たちは、自分の任務に応じて
弾を準備したり火器を点検したり、あるいは対戦車地雷を設置する
準備などを行なっています。
やはり元気の残っている人間が動く任務に就いているようです。周
囲の警戒に当たっている学生はじっと座っているだけで眠ってしま
いそうになり(無理もないのですが)、それが見つかるとすぐさま
助教からの厳しい指導が入ります。
いよいよ敵車両が近づいてくると、先頭車両はあえて通過させ2両
目を攻撃。このときばかりはふらふらだった学生もしっかりした足
取りで自分の役割を果たしていました。むしろこうして動いている
ほうが覚醒するのでしょう。
離脱後は山中にある敵通信所を破壊するという状況が付与されてい
るのですが、初日からろくに眠らず食べずで学生たちの気力体力は
限界に近づいて来ています。とりわけ絶え間なく襲ってくる猛烈な
眠気が、学生の思考能力を奪っていきます。立ち止まれば本人の意
思とは関係なく自然にまぶたが落ちてしまい、助教の「寝るな!」
「起きろ!」の声がひっきりなしに響きます。
ある助教は地図を示しながら寝落ちしそうな学生に忍耐強く言い聞
かせています。
「寝るな、地図見ろ。わかるか、お前らここを入っていったんだぞ。
ということは、これからどこに行かなきゃいけないんだ?」
「えーと……ここに……」
「寝るな、そうだろ? だったらそこまで行くのにどうしなきゃい
けないんだ? 地図から読み取れることがあるだろ? 見てみろほ
ら、ここに崖があるだろ。ってことは低い場所なんだから、そこか
ら畑が見えるはずだろ。つまり畑を左側に見て降りていけば目的地
にたどり着けるってことがわかるだろ?」
「レンジャー」
「寝るな」
このやりとりだけなら絶妙なボケと突っ込みにも聞こえ、ともする
と思わず笑いそうになります。しかし異臭を放ち不眠不休で最終想
定に臨んでいる学生と、その学生相手に飴と鞭を絶妙に使い分けつ
つ常に100%全力で向かい合っている教官・助教の間には、慣れ合
いも笑顔もありません。常に真剣勝負です。
(以下次号)
(わたなべ・ようこ)
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□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
PS
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