こんにちは、エンリケです。
紹介されている
「ざっくばらん」は、
本当に素晴らしいミニコミ紙でした。
今も折に触れ取り出しては読んでますが、
防衛や安保をめぐる
誠実で忌憚なき、いろんな角度からの意見が
毎号飛び交っていました。
読み手もすごい人が多かったようで、
「ざっくばらん」は、戦後日本の安保・防衛政策に
大きな影響を与えていたように感じます。
じつは、国の軍事を支える一番の基となるのは
こういう存在です。
こういう存在が、軍事ことばを育み、
軍事にまつわる建設的論議を産み出す基礎を
養うのです。
「ざっくばらん」の発行をされていたのは
故・奈須田敬先生。
戦時中は東条政権打倒をもくろんだかどで逮捕され
ブタ箱にぶち込まれた経験もお持ちです。
「全身日本」ともいうべき骨太な国士だったそうですが、
軍人でもなけりゃあ研究者でも役人でも右翼活動家
でもない、単なる一民間人でした。
心から敬愛してやまない先輩です。
さっそくどうぞ
エンリケ
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桜林美佐の「美佐日記」(14)
自衛隊初の「配偶者同行制度」で米国留学
桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記といふものを、
女もしてみむとてするなり」の『土佐日記』ならぬ『美佐日記』
は今回で14回目です。
節分も終りました。私は恵方巻を食べるという習慣がないのです
が、「恵方ロールケーキ」というのを買って、切らずにそのまま
モグモグと食べました(グルテンフリーは完全に無視!)。これ
はたぶん健康にもならないし、福も呼ばない可能性が極めて高い
ですが「やり遂げた感」が恵方巻よりも得られます(あくまで個
人の感想です)。
しかし、豆については、年齢分だけ食べたらお腹がぱんぱんに膨
れ上がり、またも苦しむことになりました。撒いた豆を拾って食
べたのでバイ菌も口に入れてしまったのでしょうか・・・。
「年の数だけ豆を食べて福を呼びましょう」と豆の入っていた袋
に記されていましたが、年の数にも限界があるようです。
前回の日記について、匿名希望さんから感想を頂戴しました。
「いつも楽しく読ませて頂いております。長崎事件は知りません
でした。勉強不足を改めて思い知ったわけですが、自分たちの不
利になる様な事は嘘をついてでも事実を捻じ曲げてでも、絶対に
認めない民族なんですね。大陸とつながってるから同じなのでし
ょうね。こう言った一つ一つをきちんと検証して事実を並べる事。
その真実を声を大にして言い続ける事が、今後は最も大事な事だ
と思いました。特に、中共・韓国・北朝鮮には・・・。」
ありがとうございます。そうですよね、日本人は自分たちのリ
ーダーになって欲しい人は?と聞かれたら、実直で嘘など一度も
言ったことのないような人物像を描く気がしますが、かの国々に
おいては、まったく逆の、他人を欺くことはへっちゃらなくらい
の人のほうが求められるのかもしれません。確か、孫子の兵法に
もそのようなことが書いてあったような・・・。
とにかく、日本人が好きそうな、クリーニングから戻ってきたば
かりの真っ白なワイシャツみたいな人では、騙されたり横取りさ
れてばかりになってしまうのでしょうね。
それにしても、そのようにいかにも道徳心が高く、また、お行儀
のいいことを好む日本人のはずが、このところ毎年のように親が
子供を虐待する事件が起きていることに衝撃を受けている方が多
いと思います。
少子化で人口減少が深刻な問題になるなか、子供を持つ人は国に
とってありがたい存在のはずですが、どうしたことでしょうか。
実は、日本はそもそも子供にそんなに優しい(あるいは子供の
「個」を尊重すると言った方がいいでしょうか)国ではない、と
いうことも事実として言えるのかもしれません。
日本に住む米国人の友人が言っていましたが、赤ちゃんが産まれ
てすぐに都内の美術館に行ったり、観光旅行に出かけたところ、
周囲の日本人に非常に驚かれたそうです。
まず、生後1~2か月で外出するなど勇気があるねと。日本人は
1年くらいはそんなに動かないと。というのは、日本の場合は、
外出先で授乳をする場所を探すのが大変だったり、またそういう
ことを受け入れる空気がないということのようです。
最近はショッピングモールなどのトイレにはおむつ交換台があり
ますし、授乳室もあるのですが、そのことと、社会が子供や子連
れの親に寛容かどうかは、また別の話なのです。日本人は杓子定
規に制度や設備を整えることだけで「よし」としてしまいがちで
すが!
そういえば以前、あるベビー用品の老舗企業を取材したことがあ
りますが(行くのは防衛産業だけじゃないんですよ~)その社長
さんが「男子トイレにはおむつ交換台がないんです」と、日本の
事情を憂いていたことを思い出します。
そうですよね、今や家事も育児もそして仕事も夫婦で共に、とい
う時代です。発想を転換してインフラを整備していかなくては、
国全体が子供を育てる環境にはなり得ないということなのでしょ
う。
米国のお父さんお母さんたちは、赤ちゃんがまだ小さくても一緒
にあちこちに出かけるようです。米軍基地に行くとベビーカーを
押しながら駆け足をしている人をよく見かけるのですが、初めて
見た時は非常にびっくりしました。子供を置いて出るくらいなら、
一緒に行こうということでしょうか。もちろん、ベビーシッター
も充実しているのですが、ずっと見ていると、そうした制度が整
っていることよりもむしろ、社会全体が子供に対して温かいとい
う感性の違いがあるような気が最近、してきました。
いつか詳しく書こうと思っているのですが、現在2歳の子供を持
つ女性自衛官の友人がいます。防大卒ではなくたたき上げながら
非常に努力して英語も身につけ、米国留学の夢を叶えました。産
まれて間もない赤ちゃんを連れて渡米することになったのですが、
帰国後の感想を聞くと、現地では、見知らぬ人でも子供を見ると
親切にしてくれることが多く、非常に助けられたのだそうです。
「子供は未来」だという認識が強くあり、まさに社会が応援して
いるのだと実感したそうです。
ちなみにその彼女が留学した際は、自衛隊で初めて「配偶者同行
制度」を適用し、同じく自衛官のご主人も1年間同行しました。
これは画期的な事例です。
自衛隊ではこのように女性を増やさねばならないということで、
あれこれと施策を打ち出しています。ハード面ももちろん大事で
はありますが、人それぞれの事情に適した柔軟な方策がますます
求められることになるのだと感じます。授乳室とおむつ台を設置
しても、人々に子供を守る感性がないと、意味がないんですよね。
その観点で言うと、最近、始まった自衛官の再任用制度も注目さ
れます。たとえば、女性自衛官が子供を産んでも働き続けるため
には、託児所を整備すればそれで済むわけではなく、別の何らか
の個人事情で自衛隊を辞めざるを得ないケースは多くあります。
そうした隊員に対し、また職場復帰できるようになったタイミン
グで過去の経歴や実力を活かす形で(階級も含め)戻れるという
モデルケースが増えていくと自衛隊の募集にも追い風になるので
はないでしょうか。もちろん女性だけでなく、男性にももっとチ
ャンスを与えて欲しい制度だと思います。
いずれにしても、どんなことであれ、いかに優れた制度やルール
と設備を作っても、そこに人を思いやる「心」がないと、結局
「仏作って魂入れず」のものになってしまうのではないかと思う
昨今です。
<おしらせ>
YouTubeチャンネルくらら『国防ニュース最前線』は毎週土曜の夜
にアップデートされています。2月9日は評論家の江崎道朗さん
と防衛産業のお話の続きです!前回は並木書房についてや「ざっ
くばらん」の名前も出て、私としてはちょっと感動的でした。今
回もお楽しみに!
http://www.chclara.com
(つづく)
(さくらばやし・みさ)
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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、
ディレクターとしてテレビ番組を制作。その後、国防問題などを
中心に取材・執筆。著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続け
た海の守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰も語ら
なかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だけでは防衛産業は守
れない』『防衛産業と自衛隊』(いずれも並木書房)、『終わら
ないラブレター─祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』
(PHP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産経新聞出
版)、『ありがとう、金剛丸─星になった小さな自衛隊員』(ワ
ニブックス)。月刊「テーミス」に『自衛隊密着ルポ』を連載。
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(代表・エンリケ航海王子)
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