配信日時 2019/02/01 20:00

【加藤大尉の軍隊式英会話】◆「最新兵器の一騎討ち ──F-16戦闘機 vs グリペン戦闘機(2):アビオニクス

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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応予備自衛官
でもあります。
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WEB http://wos.cool.coocan.jp
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こんにちは。エンリケです。

加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が出ました。
今回はAK-47です。

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G.ロットマン (著), 床井 雅美 (監修), 
加藤 喬 (翻訳)
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いまF-2に関する本を読んでいるのですが、
そこに登場するF-16の話が今日の話とリンクして、
読書がますます楽しくなっています。

さっそくどうぞ。


エンリケ


追伸
ご意見ご質問はこちらから
http://okigunnji.com/url/169/


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加藤大尉の軍隊式英会話     Takashi Kato

◆「最新兵器の一騎討ち
 ──F-16戦闘機 vs グリペン戦闘機(2):アビオニクス」

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□今週の「トランプ・ツイッター」

 国境の壁に関する対立で米政府の一部閉鎖が続いていましたが、
25日、トランプ大統領は妥協案を受け入れました。無給で任務
を遂行していた国境警備隊員や沿岸警備隊の将兵、そして、航空
管制官などの窮状を考慮した結果です。しかし3週間後には予算
案をめぐる攻防が再び始まります。大統領は国家非常事態宣言や
陸軍工兵隊による壁建設などを検討していると伝えられ、微塵も
ブレる様子はありません。

 トランプ氏の毅然とした態度に、国家安全保障と市民の安全を
最優先する決意を感じます。この型破りな指導者にとって、国境
の確保と国益は政治生命をかけるに値するものだということです。

 極めて対照的に、大統領は日韓関係悪化について一言も発して
いません。ずけずけと問題の本質を言い当てるワイルドカード・
プレジデントの奇妙な沈黙。日本にとっても気になるところです。
ことによると、トランプ氏はすでに同盟国としての韓国を見限っ
ているのかも知れません。

 北朝鮮の非核化は韓国の手助けなしで実現できるという自信の
裏返しです。米本土にとって直接の脅威となる大陸間弾道弾さえ
根こそぎにしてしまえば、超大国アメリカにとって北朝鮮は取る
に足らない極貧国家にすぎず、朝鮮半島そのものの重要性がなく
なるわけです。

 また、文在寅大統領は南北統一に前のめりです。1つになった
朝鮮半島は朝鮮戦争の終結を意味しますから、トランプ氏にして
みれば在韓米軍撤退を正当化する格好の口実。このアメリカ第一
主義者の目には、統一後の朝鮮は日本政府と日本民族が独自に対
処すべき問題だと映るでしょう。

 トランプ氏の米国第一主義とは、文字通り「国境の内側」の繁
栄と平穏を最優先することです。米国にとって直接の脅威や不利
益にならない限り、米軍将兵の血は流さないという決意の裏面で
もあります。国境の壁建設に政治生命までかけるトランプ氏の
「国益主義」を過小評価していると、日本の将来を見誤ることに
もなりかねません。

 本日のトランプ・ツイッター、キーワードは in no way。「決
して?でない」という慣用句です。

I wish people would read or listen to my words on the Border 
Wall. This was in no way a concession. It was taking care 
of millions of people who were getting badly hurt by the 
Shutdown with the understanding that in 21 days, if no 
deal is done, it’s off to the races!

(国境の壁をめぐる私の今回の発言をよく理解してほしい。これ
は決して譲歩などではない。政府一部閉鎖によって苦境に陥った
無数の人々を救済するための策なのだ。今後21日間で最終決着
に至らない場合、速やかに対抗措置に出ることは言うまでもない!)


 それでは本編に入りましょう。

 世の中がネットで結ばれるようになった今日、戦い方も変わり
始めました。ネット中心の戦闘(Network-Centric Warfare:NCW)
がそれです。各種センサーで得られた情報(intelligence)を多
くの将兵にネットで伝達・共有することで「いま戦域ではどのよ
うな事態が起きているのか」という状況認識(situation 
awareness)を高めます。

 これによって、たとえば1目標に対し2機がミサイルを撃つと
いうような無駄がなくなり兵器がより効率的に使えるようになる
わけです。同時に、最前線から送られてくる敵の動きをリアルタ
イムで掌握できれば、自軍の生存性も向上します。

 1974年のデビュー当時、F-16は昼間戦闘機(day fighter)
だったためレーダー索敵能力は限定的で、武装も有視界戦闘用の
20mm機関砲と熱追尾ミサイルのみでした。しかし継続的な近
代化のおかげで、現用モデルは全天候対空・対地攻撃能力
(all-weather air superiority/ground attack capabilities)
を備えています。戦域データリンク機能や敵味方識別装置、そし
てマルチバンドの通信機能も加えられ、全般的性能は4.5世代機に
匹敵するものです。

 一方、1988年に初飛行したグリペンは当初からネット中心
の戦闘を念頭に設計・開発されました。同機が「スマート戦闘機」
(the Smart Fighter)と呼ばれるのはこのためで、サーブ社によ
れば、同機のアビオニクス(avionics)は拡張性が高く必要に応
じて最新版に更新できるということです。グリペンのレーダーは
探知能力でF-16を凌駕しているとされています。

教材ビデオ:
https://www.youtube.com/watch?v=B9SjyVXfz7k&list=WL&index=19

(アビオニクスの比較は5:29から始まります)

基本語彙(カタカナ発音表示はおおざっぱなものです)
Ground-based(グラウンド ベースト)地上の 地上配備型の
Asset(アセット)資源 資産 この文脈では軍事施設を指す

シナリオ(カウンターを 6:50に合わせてください)

The information acquired by jet(Gripen)is shared 
with other fighters and ground-based assets as well.
(グリペンが獲得した情報は、他の戦闘機と地上の軍事
施設で共有される)

英語一言アドバイス:
通常、assetとは「資産」とか「役に立つもの/資源」のこ
とです。今回の文脈では、レーダーサイトやミサイル発射
基地などの軍事施設を意味します。

発音サイト 
ground-based assetsの発音
https://www.howtopronounce.com/ground-based-assets/

参考サイト

サーブ39グリペン 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%96_39_%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%9A%E3%83%B3

F16ファイティング・ファルコン
https://ja.wikipedia.org/wiki/F-16_(%E6%88%A6%E9%97%98%E6%A9%9F)

ネットワーク中心の戦闘 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E4%B8%AD%E5%BF%83%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84




加藤喬(たかし)


●著者略歴
 
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。アラスカ
州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省外国語学校
日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―ある“日本
製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、『名誉除隊』
『加藤大尉の英語ブートキャンプ』『レックス 戦場をかける
犬』『チューズデーに逢うまで』『ガントリビア99─知られざ
る銃器と弾薬』『M16ライフル』『AK―47ライフル』(いず
れも並木書房)がある。 
 
 
追記
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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
 
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『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320

オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
 
加藤さんが監訳され、大反響を巻き起こしている
『チューズデーに逢うまで─介助犬と帰還兵の深い絆』
の映画化が決まりました!!
 
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監訳者の加藤喬さんが全4回にわたり
『チューズデーに逢うまで─介助犬と帰還兵の深い絆』
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きょうの記事への感想はこちらから
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専門用語があ
ります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日本人が自衛
隊のブリーフィングに出たとしましょう。「我が部隊は1300時
に米軍と超越交代 (passage of lines) を行う」とか「我が
ほう戦車部隊は射撃後、超信地旋回 (pivot turn) を行って離
脱する」と言われても意味が判然としないでしょう。
 
 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」は
 "Repeat" ではなく "Say again" です。なぜなら前者は
砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに使う言葉だからです。
 
 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍では建物の
「階」は日常会話と同じく "floor"ですが、海軍では船にちな
んで "deck"と呼びます。 また軍隊で 「食堂」は "mess 
hall"、「トイレ」は "latrine"、「野営・キャンプする」は 
"to bivouac" と表現します。
 
 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取りあげ、
軍事用語理解の一助になることを目指しています。
 
加藤 喬
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