配信日時 2019/01/11 20:00

【加藤大尉の軍隊式英会話】◆「最新兵器の一騎討ち(9)  ──ユーロファイター・タイフーン対SU-35:火力比較3」

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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応予備自衛官
でもあります。
お仕事の依頼など、問い合わせは以下よりお気軽にどうぞ
 
E-mail hirafuji@mbr.nifty.com
WEB http://wos.cool.coocan.jp
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こんにちは。エンリケです。

加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が出ました。
今回はAK-47です。

『AK-47ライフル』
G.ロットマン (著), 床井 雅美 (監修), 
加藤 喬 (翻訳)
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今年最初の「軍隊式英会話」です。

さっそくどうぞ。


エンリケ


追伸
ご意見ご質問はこちらから
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加藤大尉の軍隊式英会話     Takashi Kato

◆「最新兵器の一騎討ち(9)
 ──ユーロファイター・タイフーン対SU-35:火力比較3」

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 読者の皆さん、明けましておめでとうございます。

 2019年、日本はいくつかの重大な節目を迎えます。不透明感を
増す国際環境のなか、国体を護持し日本の主張を臆せず世界に発
信していくことが大切です。また、国が移民受け入れ政策に舵を
きった以上、国民ひとりひとりが、これまでより意識的に、日本
語と日本固有の美しい伝統習慣を守り育てていく必要があります。
正々堂々を貴び、卑怯を憎む心。敗者にかける慈悲の心。他を敬
う礼節の心・・・これらは日本人が長年培ってきた美徳であり、
決して失ってはならないと切に感じます。

 当メルマガを通じ、わたしも微力ながらアメリカの片田舎から
見た日本について発信を続けていきます。『加藤大尉の軍隊式英
会話』本年もよろしくお願いします。

アリゾナ州ハーフォードにてメキシコ国境を望みつつ
加藤 喬


□今週の「トランプ・ツイッター」

 中学生の頃、「もしソ連軍が攻めてきたら、武器は取らずロシ
ア人の人間性を信じ降伏するのが平和主義だ」と言う先生がいま
した。わたしは憤慨も反発も感じなかった。戦後まもなく連合国
軍総司令部が行なった「日本人に戦争罪悪感を植え付けるプロパ
ガンダ」と、それを継承した教師やマスコミ、反戦漫画によって
歪められた日本観を刷り込まれていたからです。国を守る誇りと
義務感、そして日本人としての矜持が持てなかった。ほどなく
「マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」
という寺山修司の歌を知りましたが、「命をかけて守るに値する
国などない」との風刺だと受け取り、もろ手を挙げて賛成しまし
た。

 皮肉なことに、わたしは米軍で鍛えられる過程で、心の芯まで
染み込んでいたこの悪しき残渣(ざんし)を洗い落とすことがで
きました。武器をとって自分と同胞の命を守ることが本能であり、
天与の権利であることを軍隊で学んだのです。米軍がわたしを
「普通の人間」に作り直したと言っても過言ではありません。早
世した歌人の反語には、いまなら「身を捨てて守るに値する祖国
を作っていくことこそ国民の義務だ」と答えられます。

 トランプ大統領の一貫した主張も「アメリカは国民と政府が全
力を傾けて守るに値する国だ」に他なりません。国境の壁を完成
させ、麻薬やギャング、不法移民、テロリストの流入を防ぎ、米
市民の安全を保障することこそが政府の責務なのだとの信念を、
わたしは支持します。

 今年初のトランプツイッターのキーワードは duty。日本で使わ
れるデューティ・フリーの場合は「免税」ですが、ここでは「義
務」「任務」「職務」という意味で用いられています。

Important meeting today on Border Security with Republican 
and Democrat Leaders in Congress. Both parties must work 
together to pass a Funding Bill that protects this Nation 
and its people ?  this is the first and most important 
duty of government...

「本日は連邦議会で重要な打ち合わせがある。国境警備に関し共
和党と民主党の重鎮らと会うのだ。国家と市民を守るために、与
野党は歩み寄って国境の壁拠出法案を通さなければならない。こ
れこそ、政府の最重要責務だ・・・」


 それでは本編に入りましょう。

 スホイ-35にはハードポイントが14か所あり、空対空ミサイルや
対地攻撃用兵器を多様な組み合わせで装備することができます。

 ユーロファイターとの仮想空中戦(hypothetical dogfight)
では、長距離ミサイル、中距離ミサイル、短距離ミサイル、そし
て固定装備の30mm機関砲を使用することになります。スホイ-35
が秀でる有視界ドッグファイトでは、ことに赤外線追尾誘導の
R74ミサイルが威力を発揮します。

 同ミサイルには推力偏向コントロール能力(thrust vectoring 
capability)があり、ロケット噴射の方向を変えることで旋回半
径を極めて小さくできます。敵機から見れば、いったん発射され
ると振り切ることが難しいということです。そのうえ、照準 
(targeting)には機首を敵機に向ける必要がなく、ヘルメット
に装備された光学照準器で相手を見るだけで発射準備完了です。
この機能はオフ・ボアサイト(off boresight)と呼ばれていま
す。


教材ビデオ:
https://www.youtube.com/watch?v=zb_ni5-ZKhw&index=16&list=WL


(スホイ-35の飛行シーンは8:13から始まります)

基本語彙(カタカナ発音表示はおおざっぱなものです)

Infrared(インフラレッド)赤外線
Off boresight(オフ ボアサイト)銃腔軸を照準に合わせる必要
がないの意

シナリオ(カウンターを 8:30に合わせてください)

For short range engagements, the R74 infrared guided missile 
is capable of targeting off boresight that means the pilot 
can shoot down his opponents by simply looking through a 
helmet-mounted optical sight.
(近距離での空中戦では、赤外線追尾型のR74ミサイルがある。
これはオフ・ボアサイト、つまり、ヘルメットに装着した光学照
準器で敵機を見るだけで狙いを付けることができる)
 
(スホイ-35の飛行シーンは9:10まで続きます)

英語一言アドバイス:
infrared は infra(下の)+ red(赤)で、赤の下にある光、つ
まり赤外線です。日本語になっているインフラはinfrastructure
(下部構造)を略したもので、ガス、電気、水道など社会の基盤
となる設備を指します。

発音サイト
infraredの発音(二番目の発音が聞き取りやすいようです)
https://www.howtopronounce.com/infrared/

Infrastructureの発音(最初の発音が聞き取りやすいようです)
https://www.howtopronounce.com/infrastructure/


参考サイト

ユーロファイター・タイフーン 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%BC_%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%B3

スホイ-35戦闘機
https://ja.wikipedia.org/wiki/Su-35_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)

R73赤外線追尾ミサイル(R74の先代モデル) 
https://ja.wikipedia.org/wiki/R-73_(%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB)




加藤喬(たかし)


●著者略歴
 
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。アラスカ
州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省外国語学校
日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―ある“日本
製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、『名誉除隊』
『加藤大尉の英語ブートキャンプ』『レックス 戦場をかける
犬』『チューズデーに逢うまで』『ガントリビア99─知られざ
る銃器と弾薬』『M16ライフル』『AK―47ライフル』(いず
れも並木書房)がある。 
 
 
追記
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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
 
『レックス 戦場をかける犬』発売中
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『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320

オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
 
加藤さんが監訳され、大反響を巻き起こしている
『チューズデーに逢うまで─介助犬と帰還兵の深い絆』
の映画化が決まりました!!
 
http://okigunnji.com/url/j06kg2eq/
 
 
監訳者の加藤喬さんが全4回にわたり
『チューズデーに逢うまで─介助犬と帰還兵の深い絆』
の魅力をお伝えするメルマガはこちらです
 ⇒ http://okigunnji.com/url/ljhct2ax/ 
※無料です
 
 
 
きょうの記事への感想はこちらから
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専門用語があ
ります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日本人が自衛
隊のブリーフィングに出たとしましょう。「我が部隊は1300時
に米軍と超越交代 (passage of lines) を行う」とか「我が
ほう戦車部隊は射撃後、超信地旋回 (pivot turn) を行って離
脱する」と言われても意味が判然としないでしょう。
 
 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」は
 "Repeat" ではなく "Say again" です。なぜなら前者は
砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに使う言葉だからです。
 
 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍では建物の
「階」は日常会話と同じく "floor"ですが、海軍では船にちな
んで "deck"と呼びます。 また軍隊で 「食堂」は "mess 
hall"、「トイレ」は "latrine"、「野営・キャンプする」は 
"to bivouac" と表現します。
 
 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取りあげ、
軍事用語理解の一助になることを目指しています。
 
加藤 喬
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