配信日時 2019/01/07 13:21

【桜林美佐の美佐日記(9)】 足りないのはトイレットペーパーだけじゃない

あけましておめでとうございます、
エンリケです。

今年もどうぞよろしくお願いします。

ことしさいしょのメルマガは
「美佐日記」。

さっそくおとどけします。

個人的に思うのですが、
平成に入ってから、
暗喩や、比喩、たとえ話、含み、
といったことを味わうのに必要な
「ことばの背後の意図を察する」
ことができない、表に出た言葉の範囲内でしか
ものごとを理解できない大人が増えた気がします。


エンリケ


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桜林美佐の「美佐日記」(9)

「足りないのはトイレットペーパーだけじゃない」

桜林美佐(防衛問題研究家)
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皆さま、新年あけましておめでとうございます。桜林です。
「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり」の
『土佐日記』ならぬ『美佐日記』は今回で9回目です。本年もど
うぞよろしくお願い申し上げます!

九州で初めてお正月を過ごしました。何度か高速道路を走りまし
たが、これまで私が知っていた東名や中央道のような尋常ではな
いレベルの渋滞はまだ経験なく、快適です。ただ、鹿や兎とみら
れる動物たちの事故現場に遭遇することがあり、これにはショッ
クを受けますが・・・。

 年末には昨年に他界した父親の恩人が北九州にお住まいという
ことで行ってきました。92歳のご婦人で、電話ではお話しして
いましたが、お会いするのは初めて。すでに閉園されてしまった
「スペースワールド」という遊園地のすぐそばにイオンがあり、
その中の食事処で待ち合わせをしました。

 驚いたのは、約束のお昼よりも少し早く到着し、広いスーパー
マーケットの中をぐるっと見回ると、そこにいるほとんどの人が
お年寄りだったのです。で、目的のお店の前には高齢者の方々が
何人も待っていて順番を待っている光景。まるで、イオンではな
く介護施設の中に入ってきたかのような錯覚に陥ります。

そして、行き交うみんなが顔見知りのようで「〇〇さん、今日は
プール行ったの?」「泳いだけどジャグジーは混んでたからやめ
ておいたわ~」などと元気と活力に溢れているのです。

 あとで調べてみると、北九州市は65歳以上の比率が30%近
くという、全国の政令指定都市で最も高いのだそうで、ここはい
わば「日本一の高齢化都市」だったのです。

 北九州の人々は「よく暴力団やヤンキーが多い街でしょと言わ
れますが、それはごく一部で、人情に厚くて面倒見がいい、熱い
人が多いんです」と言います。また、打算的でなく心意気で動く
タイプが多いことと、よそから来た人も快く受け入れてくれると
ころがあるのだそうです。

 そんな北九州の気質を知ると、やはり思い出すのは「無法松の
一生」です。これは終戦間際に公開された映画ですが、戦後GH
Qによって一時期あるシーンが丸々カットされたそうです。

それは「青葉の笛」をおぼっちゃんが歌う場面。「一の谷の戦や
ぶれ、討たれし平家のきんだちあわれ~」(私としてはこの場面
がとっても泣けて感動するのですが)の歌が「軍国主義的だと見
なされたのだとか。こうなると、一体何が「軍国主義」なのか分
かりません。

 それはともかく、ご婦人との初体面です。色々と聞いてみると、
元は横浜に住んでいて、この地に移り住んだといいます。高齢者
にとって住みやすい環境なのでこうした「移住組」も多いのです。

ランチをしながらお喋りは3時間に及びましたが、話の内容は憂
国の情に溢れハイレベルかつここでは紹介できないほど過激!
「これ以上言うとCIAに狙われるわ」と周囲を見回しながらの
話で(苦笑)・・想像していた老齢のおばあちゃんとの会話とは
程遠いものでした。ともあれ「今でもすごく勉強してるからボケ
ないのよ」とのことで、「勉強」が最高のサプリメントのようで
す。北九州おそるべし!

また、この年末年始も「夕刊フジ」の特別号に寄稿させて頂きま
した。いつも安倍総理インタビューの下に載せてもらっているの
で、総理がチラ見するかも!と、意識して書いております。

今回の内容は「足りないのはトイレットペーパーだけじゃない」
というもの。いえ、陸上自衛隊でトイレットペーパーが不足して
いるというのは、かくいう私が『自衛官の心意気』(PHP)などで
書いてきたことですが、昨今はこうした満たされない自衛隊のお
話が各所で発信されるようになり、11月には国会でも取り上げら
れました。

そうなると一抹の不安を覚えるのは、「ペーパーが足りないのか!
全国の自衛隊で調査しろー」などというご下命になり、防衛省あ
げてトイレの調査に乗り出すようなことが起こりかねないのでは
ないか、ということ。

そうなると、津々浦々の駐屯地、あらゆる施設やら演習場やらの
状況を調べたり、集計を取ったりしての大騒ぎになるのではない
かと・・。年明け早々、夜遅くまでみんなが必死にトイレットペ
ーパーの現状について報告書を作成している・・・などというこ
とが、つい目に浮かんでしまうんですよね・・。

言うまでもないと思いますが、トイレットペーパーはあくまでも
あらゆる物品不足の象徴で、国会で言われたからと、トイレだけ
に予算を配分するようなことになっては困ります。

弾薬は足りているか、さまざまな補用部品は十分か、トイレ問題
の本質は「兵站の危機」と知り、深く切り込まねばなりません。

官側が今後、国会で言われたからとトイレだけに躍起にならぬよ
う(もちろん、これもなんとかして欲しいですが)、むしろ隊員
が自腹で補うことのできない重要品が不十分ではないのか、この
点をチェックして頂くように、何卒よろしくお願い申し上げます~~!

<おしらせ>
YouTubeチャンネルくららの『国防ニュース最前線』は、今年も毎
週土曜の夜にアップデート予定です。本年もどうぞよろしくお願
いいたします!!

http://www.chclara.com


 
(つづく)



(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、
ディレクターとしてテレビ番組を制作。その後、国防問題などを
中心に取材・執筆。著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続け
た海の守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰も語ら
なかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だけでは防衛産業は守
れない』『防衛産業と自衛隊』(いずれも並木書房)、『終わら
ないラブレター─祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』
(PHP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産経新聞出
版)、『ありがとう、金剛丸─星になった小さな自衛隊員』(ワ
ニブックス)。月刊「テーミス」に『自衛隊密着ルポ』を連載。


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(代表・エンリケ航海王子)
 
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