配信日時 2018/12/21 20:00

【加藤大尉の軍隊式英会話】◆「最新兵器の一騎討ち(7)  ──ユーロファイター・タイフーン対SU-35:火力比較1」

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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応予備自衛官
でもあります。
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E-mail hirafuji@mbr.nifty.com
WEB http://wos.cool.coocan.jp
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こんにちは。エンリケです。

加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が出ました。
今回はAK-47です。

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加藤 喬 (翻訳)
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「キャラバン」に関する、
正鵠を射た評価が必要な今日この頃です。

移民政策は、関税政策と並び、
国防・安保に直接影響を与える深刻な課題で、
感情が介在する余地はありません。

さっそくどうぞ。


エンリケ


追伸
ご意見ご質問はこちらから
http://okigunnji.com/url/169/


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加藤大尉の軍隊式英会話     Takashi Kato

◆「最新兵器の一騎討ち(7)
 ──ユーロファイター・タイフーン対SU-35:火力比較1」

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□今週の「トランプ・ツイッター」

 中米諸国からアメリカのサンディエゴを目指した移民集団、い
わゆる「キャラバン」が日本でも話題になっています。母国の高
い失業率やギャングに牛耳られる無政府状態を厭う人々が寄り集
まったものだとされています。が、キャラバン本隊がやってきた
ホンジュラスからカリフォルニアまでは4500キロ以上。日本
なら福岡から札幌までの2倍強です。これだけの距離を6000人と
も9000人ともいわれる人々が陸路移動するためには、輸送や食料、
宿泊地はもちろん、医療、介護などの支援が不可欠。自然発生的
に集合したという説明は無理筋でしょう。

 調べてみると、People Without Borders(国境なき人々)とい
う非営利団体が後ろ盾になっていました。ボランティアがキャラ
バンに随行し、国境通過時の法的アドバイスなどもしているよう
です。人道主義を謳う同団体のホームページは「いかなる国のい
かなる組織の支援も受けていない」と主張していますが、これだ
けの「大移動」が一般市民の義援金だけで賄えるものかどうか疑
問です。

 誰がどのように画策したのかはさておき、無秩序な入国を前提
とした移民には賛成しかねます。もちろん、自由と人権が擁護さ
れる国々に人々が引き寄せられるのは自然なことですし、快適で
豊かな生活も夢ではないとなればなおさらです。

 しかし移民と受け入れ側双方が満足できる結末を実現するため
には、まず、移民が妥当な人数であること、受け入れ国に貢献で
き、かつ、言語や文化面でもある程度は同化する意思が前提にな
ります。「国境なき人々」の人道路線はこの点を無視しています。
トランプ大統領がキャラバン不法入国阻止を打ち出したのは、国
益と市民の安全を守るうえで当然のことです。

 ひるがえって、労働力不足解消のため移民国家への第一歩を踏
み出した日本はどうでしょう。日本の言語、文化、習慣を受け入
れる気持ちがないばかりか、母国政府の指示で反日・妨害工作に
手を染める外国人労働者が紛れ込む事態になれば、憲法改正と防
衛力強化で「より安全な国造り」を目指す安倍総理の政策は本末
転倒です。

 本日のトランプツイッター、キーワードは get through。「通
過する」「目的地にたどり着く」という意味です。

Despite the large Caravans that WERE forming and heading 
to our Country, people have not been able to get through 
our newly built Walls, makeshift Walls & Fences, or Border 
Patrol Officers & Military. They are now staying in Mexico 
or going back to their original countries.......

「大人数に膨れ上がり、我が国に向かっていたキャラバンだが、
新しく構築された国境の壁や仮設壁とフェンス、国境警備隊員と
米軍将兵に阻まれ目的地にたどり着くことはできていない。移民
集団はメキシコにとどまるか、母国に戻るだろう・・・」


 それでは本編に入りましょう。

 その名が示すように、ユーロファイター・タイフーンは欧州の
複数の国々が共同開発した機体です。制空戦闘(air superiority)
に特化するのか、多任務戦闘機(multirole fighter)を目指すの
か、艦載機(carrier-based plane)としての能力も付加するのか、
などで各国の思惑が異なり合意形成に苦労した経緯があります。

 最終的には、制空戦闘、地上攻撃、対艦攻撃をこなせるマルチ
ロール機となり、現在までに500機以上が生産されています。従
来の戦闘攻撃機とは異なり、爆弾や対艦ミサイルを搭載した状態
で敵機に遭遇しても、そのまま反撃できる性能があるとされてい
ます。
 
 視界外射程ミサイル(beyond visual range missile)のほか、
有視界での空中戦用には短距離ミサイルと27ミリ口径のリボルバ
ー式機関砲(revolver cannon)を固定装備しています。後者はパ
イロットが引き金を引いてから初弾発射までの時間が極めて短く、
高速機どうしのドッグファイトではメリットがあるといわれてい
ます。

 空自の次期戦闘機としても検討されましたが、最終的にはステ
ルス性で優る第5世代機のF-35ライトニングII戦闘機に軍配が上
がりました。


教材ビデオ:
https://www.youtube.com/watch?v=zb_ni5-ZKhw&index=16&list=WL

(タイフーンの飛行シーンは7:25から始まります)

基本語彙(カタカナ発音表示はおおざっぱなものです)
Short range(ショート レインジ)短距離
Beyond visual range(ビヨンド ビジュアル レインジ)有視界外射程 視界外射程

シナリオ(カウンターを 7:46に合わせてください)

The fighter jet(Typhoon)can carry short-range air-to-air missiles and is fitted with 27 millimeter revolver cannon.
(タイフーンは短距離ミサイルを搭載できるほか、27ミリ口径リボルバー式機関砲を固定装備している)

Typhoon can also carry the latest beyond visual range air-to-air missiles like Meteor. 
(タイフーンはまた、ミーティアのような最新型の視界外射程ミサイルを搭載可能だ)


英語一言アドバイス:
beyond visual rangeとは「越える」+「目に見える」+「範囲」で、「目に見える範囲を超える」と直訳できます。軍事用語では「視界外射程」です。ちなみに、昼間に目で外界を見ながら飛ぶのがvisual flight(有視界飛行)です。

発音サイト
beyond visual rangeの発音
https://www.howtopronounce.com/beyond-visual-range/

Visual flightの発音
https://www.howtopronounce.com/visual-flight/

参考サイト

ユーロファイター・タイフーン 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%BC_%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%B3

スホイ-35戦闘機
https://ja.wikipedia.org/wiki/Su-35_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)

ミーティア視界外射程ミサイル 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2_(%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB)

リボルバー式機関砲
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%8E%E3%83%B3





加藤喬(たかし)


●著者略歴
 
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。アラスカ
州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省外国語学校
日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―ある“日本
製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、『名誉除隊』
『加藤大尉の英語ブートキャンプ』『レックス 戦場をかける
犬』『チューズデーに逢うまで』『ガントリビア99─知られざ
る銃器と弾薬』『M16ライフル』『AK―47ライフル』(いず
れも並木書房)がある。 
 
 
追記
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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
 
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『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320

オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
 
加藤さんが監訳され、大反響を巻き起こしている
『チューズデーに逢うまで─介助犬と帰還兵の深い絆』
の映画化が決まりました!!
 
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監訳者の加藤喬さんが全4回にわたり
『チューズデーに逢うまで─介助犬と帰還兵の深い絆』
の魅力をお伝えするメルマガはこちらです
 ⇒ http://okigunnji.com/url/ljhct2ax/ 
※無料です
 
 
 
きょうの記事への感想はこちらから
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専門用語があ
ります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日本人が自衛
隊のブリーフィングに出たとしましょう。「我が部隊は1300時
に米軍と超越交代 (passage of lines) を行う」とか「我が
ほう戦車部隊は射撃後、超信地旋回 (pivot turn) を行って離
脱する」と言われても意味が判然としないでしょう。
 
 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」は
 "Repeat" ではなく "Say again" です。なぜなら前者は
砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに使う言葉だからです。
 
 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍では建物の
「階」は日常会話と同じく "floor"ですが、海軍では船にちな
んで "deck"と呼びます。 また軍隊で 「食堂」は "mess 
hall"、「トイレ」は "latrine"、「野営・キャンプする」は 
"to bivouac" と表現します。
 
 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取りあげ、
軍事用語理解の一助になることを目指しています。
 
加藤 喬
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