配信日時 2018/12/07 20:00

【加藤大尉の軍隊式英会話】◆「最新兵器の一騎討ち(5) ──ユーロファイター・タイフーン対SU-35:空戦機動能力」

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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応予備自衛官
でもあります。
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E-mail hirafuji@mbr.nifty.com
WEB http://wos.cool.coocan.jp
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こんにちは。エンリケです。

加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が出ました。
今回はAK-47です。

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G.ロットマン (著), 床井 雅美 (監修), 
加藤 喬 (翻訳)
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きょうも面白いですよ。

さっそくどうぞ。


エンリケ


追伸
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加藤大尉の軍隊式英会話     Takashi Kato

◆「最新兵器の一騎討ち(5)
 ──ユーロファイター・タイフーン対SU-35:空戦機動能力」

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□今週の「トランプ・ツイッター」

 トランプ大統領は「アメリカを再び偉大な国家にする」のスロ
ーガンのもと、製造業復活を目指しています。

 米国では2000年以降、より安い労働力を求め自動車や半導
体、工作機械などの生産拠点が海外に移転し始めました。この結
果、国内雇用が減少したりモノづくりの技術的ノウハウや人材が
失われたりしたのです。グローバル化による製造業の空洞化を食
い止め、アメリカに回帰させようというのがトランプ氏の一貫し
た姿勢です。

 目標達成のため、トランプ大統領はメキシコや中国で生産され
たフォードやシボレー、日産、フォルクスワーゲンなどの車に高
い関税をかけることで輸入を抑制し、相対的に生産条件が良くな
ったアメリカに自動車工場を再誘致する手に打って出ました。

 トヨタとマツダはアメリカに新工場を建てる計画だそうですし、
フィアット・クライスラーはメキシコで行なっていたトラックの
生産をミシガン州に戻すと発表しましたから、それなりの成果は
出ています。しかし、対米貿易黒字の大きい国を制裁関税で狙い
撃ちにするトランプ流の荒療治は、世界経済そのものの勢いを削
ぎ、また、各国のアメリカ離れを加速するという懸念もあります。

 翻って日本の現状はどうでしょうか? 製造業の空洞化は日本
でも進んでいます。技術基盤や人材が海外に流出した結果、科学
技術立国の将来を危ぶむ声も聴かれます。しかし、前述したトラ
ンプ氏の荒療治は日本の選択肢にはなり得ません。個人的には、
日本の最先端科学技術による日本人にしか作れないハイテク商品
が「トランプ・カード(切り札)」だと思います。

 SFアニメの草分け『鉄腕アトム』に感化されて育ったせいか、
すぐ頭に浮かぶのは「ヒトとロボットが共存する新世界」です。
日本のお家芸である人型ロボットに人工知能を組み合わせれば、
世界市場を席巻するヒット商品になること間違いなし。労働力不
足を解消するもっとも賢明かつ有意義で、副作用のない手段にも
なるでしょう。

 北米5か所の工場閉鎖を決めたGM社をやり玉に挙げた本日のト
ランプツイッター、キーワードはbooming。日本語でも急に人気が
出たり活況になることを「ブーム」と言いますが、ブーミングは
「好景気の」「活況の」という意味です。

General Motors is very counter to what other auto, and 
other, companies are doing. Big Steel is opening and 
renovating plants all over the country. Auto companies are 
pouring into the U.S., including BMW, which just announced 
a major new plant. The U.S.A. is booming!

「ジェネラルモーターズ社は他の自動車会社やビジネスと正反対
のことをしている。鉄鋼会社は全米で工場を建てたり古い施設を
改装たりしている。新工場建設を発表したBMW社をはじめ、多くの
自動車会社はアメリカに回帰している。アメリカは好景気だ!」


 それでは本編に入りましょう。

 前回、スホイ35を第5世代のF-35ライトニングII戦闘機と比べ
ました。有視界外(Beyond Visual Rang:BVR)で勝敗が決まる現
在の航空戦では、同数のスホイ35とF-35が対峙すればステルス性
に優るF-35に軍配があがるという結論でした。

 では、第4.5世代機とのドッグファイト(dogfight)ではどの
ような結果になるでしょうか? 今回は英、独、仏、スペインが
共同開発した多任務戦闘機(multi-role fighter)ユーロファイ
ター・タイフーンとスホイ35の異機種間空中戦(dissimilar air 
combat)を想定します。
 
 スホイ35は米国のF-15やF-16、F/A-18など、第4?4.5世代機
を凌駕する目的で開発されました。ロシア独特の分類では第4++世
代機と呼ばれ、第4.5世代機を凌ぐ性能を持つという意味です。

 ビデオでは、従来の戦闘機では考えられない旋回能力を見せて
います。より洗練された空気力学性能(aerodynamic performance)、
機体構造の強化、そしてジェット噴射の方向を左右独立してコン
トロールできる推力偏向ノズル(thrust vectoring nozzle)など
の相乗効果によるものでしょう。この敏捷さは短距離ミサイルや
機関砲を使う空中戦で有利になるものと思われます。

(SU-35とユーロファイター・タイフーンの性能比較シーンは 
4:33から始まります。

教材ビデオ:
https://www.youtube.com/watch?v=zb_ni5-ZKhw&index=16&list=WL

スホイ35のエンジン・マズルが左右独立して動く様子は4:55です)

基本語彙(カタカナ発音表示はおおざっぱなものです)
Agile(アジャイル)敏捷な、身のこなしの軽い
Challenge(チャレンジ)挑戦する、挑む
Laws of physics(ローズ オブ フィズックス)物理法則

シナリオ(カウンターを 4:39に合わせてください)

The aircraft(SU-35)is exceptionally maneuverable machine, 
one of the most agile aircrafts ever built. 
(スホイ35は並外れた機動性を持つ、これまでに製造されたもっ
とも敏捷な航空機のひとつだ)

The fighter jet’s amazing maneuvers literally challenge 
the laws of physics. 
(同戦闘機の驚異的な機動性は、文字通り物理法則に挑戦するか
のようだ)


英語一言アドバイス:
agileは「敏捷な」「身のこなしが軽い」「機敏な」という意味合
いです。吊り輪や平行棒、鞍馬など体操競技選手の身のこなしが
頭に浮かびます。本ビデオで紹介されているスホイ35やタイフー
ンの場合は「優れた格戦闘性/空戦機動性を有する」と訳しても良
いでしょう。

発音サイト agileの発音 https://www.howtopronounce.com/agile/

参考サイト

ユーロファイター・タイフーン 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%BC_%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%B3

スホイ-35戦闘機
https://ja.wikipedia.org/wiki/Su-35_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)


加藤喬(たかし)


●著者略歴
 
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。アラスカ
州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省外国語学校
日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―ある“日本
製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、『名誉除隊』
『加藤大尉の英語ブートキャンプ』『レックス 戦場をかける
犬』『チューズデーに逢うまで』『ガントリビア99─知られざ
る銃器と弾薬』『M16ライフル』『AK―47ライフル』(いず
れも並木書房)がある。 
 
 
追記
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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
 
『レックス 戦場をかける犬』発売中
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『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320

オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
 
加藤さんが監訳され、大反響を巻き起こしている
『チューズデーに逢うまで─介助犬と帰還兵の深い絆』
の映画化が決まりました!!
 
http://okigunnji.com/url/j06kg2eq/
 
 
監訳者の加藤喬さんが全4回にわたり
『チューズデーに逢うまで─介助犬と帰還兵の深い絆』
の魅力をお伝えするメルマガはこちらです
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※無料です
 
 
 
きょうの記事への感想はこちらから
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専門用語があ
ります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日本人が自衛
隊のブリーフィングに出たとしましょう。「我が部隊は1300時
に米軍と超越交代 (passage of lines) を行う」とか「我が
ほう戦車部隊は射撃後、超信地旋回 (pivot turn) を行って離
脱する」と言われても意味が判然としないでしょう。
 
 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」は
 "Repeat" ではなく "Say again" です。なぜなら前者は
砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに使う言葉だからです。
 
 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍では建物の
「階」は日常会話と同じく "floor"ですが、海軍では船にちな
んで "deck"と呼びます。 また軍隊で 「食堂」は "mess 
hall"、「トイレ」は "latrine"、「野営・キャンプする」は 
"to bivouac" と表現します。
 
 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取りあげ、
軍事用語理解の一助になることを目指しています。
 
加藤 喬
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