こんばんは、エンリケです。
「戦車射撃競技会」の第二話です。
軍楽隊の演奏には、美しさと、凛としたものと、
清潔さがありますね。
聞いていると気持ちがスーッと清やかになるところが
個人的には好きです。
あなたはいかがでしょう?
ではさっそくどうぞ
エンリケ
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『ライター・渡邉陽子のコラム (209)
― 戦車射撃競技会(2)―
渡邉陽子
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〇〇さま
こんばんは。渡邉陽子です。
先日は自衛隊音楽まつりに行ってきました。音楽まつりはある程度
「予定調和」のようなところがあるのですが、今年は陸海空音楽隊
のヴォーカリスト5名を最後に集結させて場を盛り上げたり、合同
演奏では隊列を崩してまるでオリンピックの閉会式のような(開会
式とは対照的ですよね)ラフな雰囲気にしたりと、これまでの音楽
まつりにはない試みがあって新鮮でした。海兵隊や在日米軍の演奏
技術は相変わらず秀逸です。個人的には陸上自衛隊中央音楽隊の音
色が、従来の重厚感や力強さに加えて美しさや荘厳さを増している
と感じていて、聴くたびに感動で呆けます。また、海上自衛隊東京
音楽隊は現在の隊長がパーカッション出身だけあって、スネアドラ
ムが前面に出るドリル演奏は華がありますね。ちなみに音楽隊の実
力を体感できるのは各音楽隊がコンサートホールで定期的に開催し
ている定例音楽会です。ほんと、まじでおすすめです。自衛隊の音
楽隊の質の高さにやられちゃいますよ。
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■戦車射撃競技会(2)
今回は戦車射撃競技会における射撃の実施要領を紹介します。
射撃は戦車4両からなる1コ小隊で編成されます。2両ずつA班、
B班で構成され、戦闘射撃をしながら最終的に敵を撃破するとい
う流れになっています。戦車砲の射距離は1600~2500m、機関銃
は300~500mです。
状況は第1状況、第2状況があり、2コ状況に分けて射撃を実施
します。
A班が稜線に上がり、B班が前進の態勢を取ると第1状況開始です。
B班の前進を援護するためにA班がその稜線に入って援護態勢を取っ
ている間に敵、つまり標的が現れます。そこでA班は稜線に停止し
た状態で射撃、B班は前進しつつ射撃を行なう行進間射撃を実施し
ます。
なお、砲塔内に弾を込めて射撃準備する際は、無線で「射撃用意」
と声がかかります。A班とB班のどちらが先に撃つかは、そのときの
状況次第で固定ではありません。
B班が躍進を終わった段階で、今度はA班がB班の援護態勢のもと前
進します。そしてB班が停止射撃、A班は横行行進射を実施。4両が
同じ車線に並んだら、同時に目標方向に向かって前進します。その
間に戦車砲用標的と機関銃用標的が同時もしくは時間差で出てくる
ので、小隊は前進しながら射撃をします。ここで第1状況が終了と
なります。
第2状況に移行する時、戦車砲の弾種を切り替えます。その際、第
1状況で使った弾種が戦車の中に残っていては弾種変更ができない
ので、打ち切り射撃を実施します(これは成績には関係ありません)。
第2状況は第1状況の行進間射撃と違って走行、停車、射撃、発進
という動作の躍進射撃となり、一定の位置まで進んだところで状況
終了となります。なお、射撃を優先する標的の順番は戦車、装甲車、
歩兵の順となっています。
成績は得点で示され、戦車砲射撃が840点、機関銃射撃が160点の合
計1000点満点から減点される形となります。射撃時間の3分30秒を
オーバーすると1秒ごとに減点されていきます。
また審判点というものもあり、違反行為のほか、「撃ち方待て」
「撃ち方やめ」の号令をかけた後に間違って弾が出てしまった場合
は、その状況が0点になってしまいます。これは痛恨の減点ですね。
一切の減点がなければ1000点満点で優勝なのですが、これがなかな
か難しいのです。
戦車は弾が敵に命中することでその威力を発揮しますが、ベテラン
の戦車乗りによれば、正確な射撃は計算と訓練だけでは十分とはい
えず、「諸元に出てこない、勘に頼る部分もある」といいます。
そしてその勘は経験値が上がるほど研ぎ澄まされ、撃った瞬間は煙
でほとんど見えなくても、「すっと抜けていくのが見えるようにな
れば当てられるようになる」とか。そのためには目を養うことも不
可欠だそうです。
本番までには射場で訓練する時間も設けられており、どの部隊も均
等に機会が与えられるよう、射場の割り当てが決まっています。
射撃は午前7時から行なえるので、当然ながらそれまでの時間の射
場はフリーとなっています。
そこで小隊によっては与えられた割り当て時間以外のこの時間を利
用して、弾は使わず動きの確認などを行ないます。夜明けから7時
までの限られた時間ゆえ、自分達が終わると次の小隊の番といった
具合に並んで順番を待つのです。
大変な話ですが、実は北部方面隊隷下の全戦車部隊がこの競技会に
参加できているわけではありません。
1コ中隊は基本的に3コ小隊からなりますが、そのうち出られるの
は2コ小隊のみ。
隊員にとって自分や部隊の技量を試すことのできる場である競技会
は、やはり出たいもの。しかし参加できず支援に回った隊員も毎年
いるわけです。それを思えば、よりよい結果を出すために早朝から
射場に赴いて順番待ちをするくらい、苦労のうちに入らないと言え
るかもしれません。
この人選について、中隊長のひとりは「小隊長と運用訓練幹部が
『この編成で行きます』とリストアップする隊員と、自分の考える
人員はだいたい一致しています。着実な仕事をしてくれるベテラン
と育てたい若手のバランスも考えて編成します」と教えてくれまし
た。
(以下次号)
(わたなべ・ようこ)
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□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』
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を刊行。
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