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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応予備自衛官
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我が国の歴史を振り返る
─日本史と世界史に“横串”を入れる─(11)
欧州諸国の「大変革」(後段)
宗像久男(元陸将)
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社会構造まで大変革させた「産業革命」
「産業革命」についても触れましょう。18世紀半ばから19世紀に
かけて、イギリスを皮切りにベルギー、フランス、アメリカ、ド
イツ、ロシア、そして日本と順次各国に起こった一連の産業の変
革を「産業革命」と呼称していますが、「市民革命」と並び、近
代とそれ以前を分かつ“分水嶺”となって、それ以降の国際社会
を支配する要因となりました。
「産業革命」とは、織物工業の技術革新や製鉄技術の改良などを
背景に動力源の開発に発展した一連の技術革新を指しますが、そ
の象徴がジェームズ・ワットによる蒸気機関の発明(1765年)
でした。この技術が織物機をはじめ、さまざまな工業生産に応用
され、さらに蒸気船、蒸気機関車などに発展して行きました。や
がてこの技術が“軍事利用”されるのは当然の流れでした。
開拓国のイギリスは、1820年代には世界の工業生産の半分を
占めていたと言われますが、1825年に機械輸出を解禁したこ
とで、「産業革命」はイギリス以外の国々に伝播して行きました。
それでもイギリスの「力」は増大し、オランダやナポレオンのフ
ランスに勝利して、第1次世界大戦まで世界の覇権を握る原動力
となりました。
また「産業革命」によって、農民の比率が減少して商工業従事者
が激増するとともに、工場制機械工業の割合が増加して、多くの
労働者が工場のある都市に居住することにより都市化も進みまし
た。その上、産業資本家と労働者の階層分化も起きるなど、「社
会構造」そのものの変化、つまり資本主義の発達にもつながりま
した。
▼「先占(せんせん)の原則」による植民地獲得の正当化
そして何といっても、工業製品の大量生産を可能にする原料供給
地と市場の確保のため、海外進出の重要性がますます増大したの
でした。
各国は、再び競って殖民地獲得を企てましたが、その基本理念
(大義名分)が必要でした。もはや、かつてスペインやポルトガ
ルがローマ法王より公認された「キリスト教の布教」は万能でな
くなっていました。
そこで浮上したのが、“国際法の父”と言われ、「ウエストファ
リア条約」(前話で紹介)にも多大な影響を与えたオランダ人の
グロテイウスが唱えた「先占(せんせん)の原則」でした。つま
り「たとえ、その地域に事実上支配する住民がいても、国際法の
主体たり得る国家によって支配されていない限り“無主の地”で
あり、最初に実効支配した国家の所有が認められる」としたので
す。
ここで言う「国際法の主体たり得る国家」とは、当然ながら「西
洋の国々」を指します。欧州諸国は、「産業革命」により近代化
した「西洋文明至上主義」に基づき、かつての「トルデシリャス
条約」(第3話で紹介)同様、身勝手な理論を振りかざし、自ら
の行動を正当化したのでした。長い間、この理論は欧米人が国際
社会に君臨する思想となっており、今でもスポーツ界などで一部
残っているのは承知のとおりです。
▼世界の“85%”を支配した欧州諸国
このようにして、「市民革命」や「産業革命」の成果を活用して
近代化を果たした欧州諸国は、イギリスを筆頭に競いながら、す
さまじい勢いで世界の各地を植民地化しました。
その結果、アメリカが独立する前の18世紀後半、欧州諸国は、
“我が物顔”で世界の85%を支配したと言われます。辛くも独
立を維持していたのは、日本、朝鮮半島、タイ、サウジアラビア、
アフガニスタン、中国などごく少数ですが、中国はすでに一部浸
食されつつありました。
問題だったのはその植民地支配のやり方です。植民地では、有色
人種を動物や獣のように扱うなど、徹底した人種差別によって迫
害や搾取、そして吐き気をもよおすような殺戮も繰り返されまし
た。
江戸時代の“太平の眠り”の間に広がった、この欧州諸国による
“脅威”が、やがて我が国の幕末から明治にかけた大混乱を引き
起こす要因になったのです。
(以下次号)
(むなかた・ひさお)
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【著者紹介】
宗像久男(むなかた ひさお)
1951年、福島県生まれ。1974年、防衛大学校卒業後、陸
上自衛隊入隊。1978年、米国コロラド大学航空宇宙工学修士
課程卒。
陸上自衛隊の第8高射特科群長、北部方面総監部幕僚副長、第1
高射特科団長、陸上幕僚監部防衛部長、第6師団長、陸上幕僚副
長、東北方面総監等を経て2009年、陸上自衛隊を退職(陸将)。
2018年4月より至誠館大学非常勤講師。『正論』などに投稿
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