配信日時 2018/10/18 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (203)】平成30年西日本豪雨災害派遣(3)

こんにちは、エンリケです。

平成30年西日本豪雨災害派遣の第三話です。

さっそくどうぞ

エンリケ



▼渡邉さんへのメッセージは
http://okigunnji.com/url/169/
から。

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『ライター・渡邉陽子のコラム (203)
 ― 平成30年西日本豪雨災害派遣(3)―
         渡邉陽子
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〇〇さま

こんばんは。渡邉陽子です。9月6日に発生した北海道胆振東部地震
にかかるすべての災害派遣が10月14日に終了しました。震度7を観
測した厚真町などを中心に、入浴支援と食事支援が続いていました
が、避難者の減少により各町での対応が可能になったため、陸自第
7師団と空自第2航空団(いずれも千歳市)の活動も終了しました。
「災害派遣は自衛隊の本来任務ではあるが主たる任務ではない」と
いう事実をほとんどの国民は知りません。そういう情報が積極的に
発信されないからです。知らないからこそ生じる自衛隊への批判や
誤解も少なくありません。
防衛省・自衛隊が積極的にそれを伝えようとしないのが意図的だと
したら、それは後ろ向きな姿勢だと思いますし、意図的ではないの
ならあまりにも怠慢です。
私は常々自衛隊と国民の架け橋になりたいと思っていますが、自衛
隊信者になることなく、中立の目を持ち続けたうえで発信すること
が自身の責務だと考えています。


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○ライター・渡邉陽子とは?
 ⇒ http://okigunnji.com/url/umxi59b8/
 
○ライターとしてこんな仕事をしています
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■平成30年西日本豪雨災害派遣(3)

平成30年7月豪雨に係る災害派遣では全国の部隊が被災地に集結。
部隊ごとに指定された地域で与えられた任務に従事しました。
なかでも中国5県(鳥取・島根・岡山・広島・山口)の防衛、警備、
災害派遣を担当する第13旅団、四国4県(香川・愛媛・高知・徳
島)の防衛、警備、災害派遣を担当する第14旅団は、今回の災害
派遣で主軸となりました(自らも被災した隊員も相当数いたはずで
す)。しかもこの2つの旅団は災害時にちょうど共同転地演習を実
施しているところで、13旅団は北海道、14旅団は静岡県にいま
した(「はくおう」が北海道にいたのもこのためです)。おそらく
休む間もなく支援活動に従事したことでしょう。

そもそも災害派遣に赴く部隊はどのような流れをたどるのでしょう
か。山形県の神町駐屯地に司令部を置く第6師団を例にとって見て
みます。

第6師団は7月12日、上級部隊である東北方面隊からの命令によ
って、第6特殊武器防護隊による広域防疫隊と第6後方支援連隊に
よる入浴支援隊を編成。
広域防疫隊は7月12日に神町駐屯地を出発、15~23日まで防
疫活動を行ない、26日に帰隊しました。
入浴支援隊は7月22日に神町駐屯地を出発し、25~8月1日ま
で入浴支援活動を行ない、5日に帰隊しました。
派遣された部隊は上級部隊から与えられた任務に相応する部隊であ
り、派遣される隊員は現地での任務に応じ、階級や技能等も考慮し
選定しています。また、広域防疫隊には派遣部隊の救護員として第
6後方支援連隊衛生隊が、入浴支援隊には部隊の活動記録のため第
6通信大隊本管中隊が加わったほか、海田市駐屯地第13旅団司令
部にはLO(連絡幹部)を派遣しました。なお、派遣される隊員家
族に対しては、不安事項や相談事等に対応する部署の連絡先を通知
する、現地での活動がわかる家族通信を配布する等の支援を実施し
ました。

現地までは車両による移動で、高速道路を利用。帰路は民間フェリ
ーで名古屋港から宮城県仙台港まで海路、以降は高速道路を利用し
て帰隊しました。今回のフェリーのように民間の交通手段を利用す
る場合、民間交通会社と調整して移動枠を確保するため、基本的に
は既に予約の入っている一般利用者の予約状況を圧迫するようなこ
とはないといいます。
神町駐屯地から海田市駐屯地(広島県)までは経路近傍の駐屯地で
の燃料補給等が必要となるため、約3日を要しました。道中、広島
県安芸郡熊野町を通過時に車が土砂に埋まっている光景を目にした
隊員たちは、被害の甚大さを改めて痛感するとともに「住民のみな
さんは大変困っていることだろう。早く助けてあげたい」という思
いを強くしたそうです。

広域防疫隊と入浴支援隊の細部の活動場所および活動内容は、現地
部隊である第13旅団から示されました。
広域防疫隊は岡山県倉敷市(備中呉妹駅前の国道486号沿いと県54
交点地域、吉備真駅地域、薗小学校敷ほか)で除染車及び人力によ
る防疫活動を実施。
入浴支援隊は広島県安芸郡熊野町民体育館で入浴セットによる支援
を延べ533名に実施しました。
隊員の休息場所については、広域防疫隊活動拠点が日本原駐屯地
(岡山県)、入浴支援隊活動拠点とLOは海田市駐屯地とし、食事
は携行食、水分は隊員が装備・携行する水筒から取りました(給水
支援の水は被災者のためのものなので、隊員が使用することはあり
ません)。
入浴支援隊として派遣された隊員のひとりは「現地のみなさんは自
衛隊が支援に来たことを大変喜んでくださいました。お子さんや高
齢者の方が入浴しやすいよう、階段や浴槽の中に座れるようにした
細かな工夫がとても好評でうれしく思いました。また、野外入浴場
に設置したメッセージ帳は、支物資で足りないものや入浴時に必要
な要望事項など、われわれに直接話しづらい場合に記入していただ
くために設置したものでしたが、そこには自衛隊への感謝の言葉が
沢山書かれていました」と語りました。



(以下次号)


(わたなべ・ようこ)


□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
 
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』
http://okigunnji.com/url/101/
を刊行。
 
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