配信日時 2018/09/21 20:00

【加藤大尉の軍隊式英会話】◆「ロシア軍最強兵器編(6)─次世代爆撃機PAK DA」

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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応予備自衛官
でもあります。
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こんにちは。エンリケです。

加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が出ました。
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「今週の「トランプ・ツイッター」」
実に興味深いです。

さっそくどうぞ。


エンリケ


追伸
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加藤大尉の軍隊式英会話     Takashi Kato

◆「ロシア軍最強兵器編─次世代爆撃機PAK DA」(6)

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□今週の「トランプ・ツイッター」

 米国でも世界中でも相も変わらぬトランプ批判が続いているよ
うですが、失業率が減ったり株価が値上がりしたりと、米経済は
堅調。「トランプ氏は結果を出す大統領」というイメージが日に
日に強まっています。政治は人気投票ではありません。「実利を
出し、国益を増進させてナンボ」というのが、政治家のあるべき
姿ではないかと思います。

 2000年代初頭から、米国は中国を「利害を共有する信頼で
きる国」と見なし、融和戦略をとってきました。一党独裁国家に
大国にふさわし成熟を促すことで、自由経済への取り込みを図る。
そんなバラ色のビジョンでした。歴代政権の甘い期待とは裏腹に、
ブッシュ(息子)とオバマの低姿勢は中国首脳部に誤ったメッセ
ージを送りました。増長した中国は対米貿易で得た潤沢な資金で
軍備拡張を目論見、中華民族の偉大な復興を旗印に米国の覇権に
挑み始めたからです。

 これに真正面から待ったをかけたトランプ大統領。対米輸出に
依存した中国経済の脆弱さを見抜き、鉄鋼とアルミ製品への追加
関税、次いで、知的財産侵害に対する制裁関税を発動したのです。
「アメリカを食いものにして得た金で、われわれに楯突くことは
許さない」という明解なメッセージ。トランプ氏は、独裁者が理
解するのは力のみと確信しているようです。

 今回のツイッターの矛先は日本にも向いています。トランプ氏
の目には「米軍の抑止力を頼んで戦後の国防努力を怠り、つい最
近まで世界第二の経済大国だった日本」も「ただ乗り」と映って
いるだろうからです。もちろん実際には、日本が二度と再びアメ
リカの脅威にならぬよう「戦争のできない国」にし、日本人から
民族の誇りと国を想う心を剥ぎ取ったのは米国です。ならば、日
本がホンモノの抑止力を持つ国防態勢を整え、アジア・太平洋地
域におけるアメリカの軍事努力を補完・肩代わりする将来図に、
トランプ氏は反対しないでしょう。「ただ乗り」の汚名を返上す
る千載一遇のチャンスでもあります。

 今回のツイッター、キーワードは bargaining。日本語になって
いるバーゲンは「安売り」「値引き」ですが、今回の場合は「交
渉」を意味します。

Tariffs have put the U.S. in a very strong bargaining 
position, with Billions of Dollars, and Jobs, flowing into 
our Country - and yet cost increases have thus far been 
almost unnoticeable. If countries will not make fair deals
with us, they will be“Tariffed!” 

(関税はアメリカにとって非常に有利な交渉上の条件になった。
何十億ドルもの資金と仕事が我が国に流れ込んでくる。しかも関
税発動にともなうコスト上昇は、いまのところほとんど気づかれ
ない程度だ。公正な貿易を行なわない国々には「関税が待ってい
るぞ!」)


 それでは本編に入りましょう。

 兵器開発はイタチごっこ(cat-and-mouse-game)。ヒトが武器
による平和維持から脱却しないかぎり際限なく続くでしょう。相
手より優れた兵器を求めるのが人間の心理です。

 冷戦中の70年代、アメリカが超音速性能と短距離離着陸性能を
兼ね備えたB1ランサー爆撃機を開発すると、ソ連は機体形状が似
通ったTU(ツポレフ)-160ブラックジャック超音速戦略爆撃機を
登場させました。

 続く80年代は、超音速性能よりステルス性と長い航続距離が重
視された時代。米空軍の解答は水平尾翼も垂直尾翼もない全翼機
(flying wing)で、90年代にステルス戦略爆撃機B2スピリット
が運用を開始しました。

 今回採りあげたロシアの次世代爆撃機PAK DAも全翼機で、B2
同様ステルス性を優先させた設計だと思われます。性能諸元通り
なら、最大積載能力でも航続距離でもB2を凌駕するようです。
米空母攻撃に特化した対艦ミサイルを装備する計画が伝えられて
います。
 
 ちなみに、PAK DAはロシア航空宇宙軍の要請で開発されている
機体。これに対応するかのように、先日、トランプ大統領は陸軍
(Army)、空軍(Air Force)、海軍 (Navy)、海兵隊(Marine 
Corps)、沿岸警備隊(Coast Guard)に続く6つ目の兵科、アメ
リカ宇宙軍(U.S. Space Force)を編成するよう命令を下しまし
た。兵器開発(weapon development)の矛先は天空にも向けられ
ました。


教材ビデオ: 
https://www.youtube.com/watch?v=-24MjcONrQ0&t=5s

基本語彙(カタカナ発音表示はおおざっぱなものです)
Subsonic(サブソニック)亜音速の
Payload(ペイロード)最大積載量
Strategic bomber(ストラティージック ボマー)戦略爆撃機

シナリオ(カウンターを 5:35に合わせてください)

Among other things, it(PAK DA)will be capable of carrying 
KH-32 anti-ship missile specially designed to attack US 
aircraft carrier.
(とりわけ、PAK DA爆撃機はKH-32対艦ミサイルが搭載可能だ。
これは米空母攻撃に特化した設計のミサイルである)

It is expected to be a subsonic strategic bomber with a 
range of about 7500 miles and ability to carry a 30 ton 
payload.
(PAK DAは亜音速の戦略爆撃機になるものと考えられ、最大積載
量30トンで航続距離は約1万2080キロだ)

英語一言アドバイス:
subsonicを分解すると、sub(下位の、副、亜)+ sonic(音速の)
で、文字通り「音速以下の」「亜音速の」です。代わりに super
(超)とか hyper(極超)を組み合わせると、それぞれ「超音速
の」「極超音速の」になります。

発音サイト
subsonicの発音
https://www.howtopronounce.com/subsonic/
Supersonicの発音
https://www.howtopronounce.com/supersonic/
Hypersonic の発音
https://www.howtopronounce.com/hypersonic/

参考サイト
ロシア空軍ステルス戦略爆撃機

PAK DA https://ja.wikipedia.org/wiki/PAK_DA_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)

ロシアの対艦巡航ミサイル
KH-32 https://ja.wikipedia.org/wiki/Kh-22_(%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB)

B2 ステルス戦略爆撃機
https://ja.wikipedia.org/wiki/B-2_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)

B-21 ステルス戦略爆撃機
https://ja.wikipedia.org/wiki/B-21_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)

B-1可変翼超音速爆撃機
https://ja.wikipedia.org/wiki/B-1_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)

TU-160可変翼超音速爆撃機
https://ja.wikipedia.org/wiki/Tu-160_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)




加藤喬(たかし)


●著者略歴
 
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。アラスカ
州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省外国語学校
日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―ある“日本
製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、『名誉除隊』
『加藤大尉の英語ブートキャンプ』『レックス 戦場をかける
犬』『チューズデーに逢うまで』『ガントリビア99─知られざ
る銃器と弾薬』『M16ライフル』『AK−47ライフル』(いず
れも並木書房)がある。 
 
 
追記
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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
 
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『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320

オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
 
加藤さんが監訳され、大反響を巻き起こしている
『チューズデーに逢うまで─介助犬と帰還兵の深い絆』
の映画化が決まりました!!
 
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監訳者の加藤喬さんが全4回にわたり
『チューズデーに逢うまで─介助犬と帰還兵の深い絆』
の魅力をお伝えするメルマガはこちらです
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きょうの記事への感想はこちらから
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専門用語があ
ります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日本人が自衛
隊のブリーフィングに出たとしましょう。「我が部隊は1300時
に米軍と超越交代 (passage of lines) を行う」とか「我が
ほう戦車部隊は射撃後、超信地旋回 (pivot turn) を行って離
脱する」と言われても意味が判然としないでしょう。
 
 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」は
 "Repeat" ではなく "Say again" です。なぜなら前者は
砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに使う言葉だからです。
 
 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍では建物の
「階」は日常会話と同じく "floor"ですが、海軍では船にちな
んで "deck"と呼びます。 また軍隊で 「食堂」は "mess 
hall"、「トイレ」は "latrine"、「野営・キャンプする」は 
"to bivouac" と表現します。
 
 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取りあげ、
軍事用語理解の一助になることを目指しています。
 
加藤 喬
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