配信日時 2018/09/14 20:00

【加藤大尉の軍隊式英会話】◆「ロシア軍最強兵器編─新兵器ジルコン・ミサイル」(5)

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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応予備自衛官
でもあります。
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E-mail hirafuji@mbr.nifty.com
WEB http://wos.cool.coocan.jp
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こんにちは。エンリケです。

加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が出ました。
今回はAK-47です。

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加藤 喬 (翻訳)
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さっそくどうぞ。


エンリケ


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加藤大尉の軍隊式英会話     Takashi Kato

◆「ロシア軍最強兵器編─新兵器ジルコン・ミサイル」(5)

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□今週の「トランプ・ツイッター」

 トランプ・ツイッターをフォローし始めてから1年9か月。深
く分断され、怒りにまみれたアメリカの現状をお伝えしてきまし
た。この分裂状態をトランプ大統領の好戦的かつ特異なリーダー
シップ・スタイルのせいにする向きもあります。確かにトランプ
氏の発言はときに大衆迎合的に聞こえます。しかし、世論は気紛
れ。俗受けを狙っても人気は長続きするものではありません。

 政権2年目のトランプ支持率が安定しているところを見るにつ
け、わたしは思います。オバマ前大統領に代表される「良識的」
エリート層の「少数派擁護」に無視あるいは逆差別されてきた
「声なき大衆」の代弁者がトランプ氏なのではないか、と。
 ワイルドカード・プレジデントは、アメリカの分断や怒りを作
り出した張本人ではなく、すでに溜まっていた鬱屈を体現する千
載一遇のプレゼンターなのでしょう。

 もっとも、主流マスコミはそうは捉えていないようです。つい
先日『怖れ』と題するトランプ政権の暴露本が出版されました。
著者はピューリッツアー賞授賞者ボブ・ウッドワード氏。『大統
領の陰謀』でウォーターゲート事件の真相を曝き、ニクソン大統
領を辞任に追い込んだ伝説的ジャーナリストです。

 しかし抜粋を読む限り、本書は事件性のあるスキャンダルを扱
ったノンフィクションではなく、トランプ政権に対する非難中傷
の域を出ません。ワイルドカード・プレジデントの妥当性を貶
(おとし)めれば、アメリカの分断が解決するとでも言うのでし
ょうか? トランプ氏が米国分裂の原因ではなく症状ならば、こ
の手の個人攻撃はなんの解決にもなりません。

 本日のツイッター、キーワードは discredited。「信憑性を失
った」という意味です。

The Woodward book has already been refuted and discredited 
by General (Secretary of Defense) James Mattis and General
 (Chief of Staff) John Kelly. Their quotes were made up 
 frauds, a con on the public. Likewise other stories and 
quotes. Woodward is a Dem operative? Notice timing?

「ウッドワートの本はジェームズ・マチス将軍(国防長官)とジョ
ン・ケリー将軍(大統領首席補佐官)によってすでに否定され、信
憑性を失っている。『怖れ』に出てくる彼らのものとされる引用
は、でっち上げでありでまかせだ。その他の逸話や引用も同様。
ウッドワードは民主党の工作員?出版のタイミングを見ればわか
るだろう?」


 それでは本編に入りましょう。

 短距離地対地ミサイル (short-range surface-to-surface 
missile)にせよ大陸間弾道弾 (Inter-Continental Ballistic 
Missile: ICBM) にせよ、ロケットエンジンの燃焼を終えた弾頭
は自由弾道 (ballistic trajectory) を描いて地上に落下します。
この段階の弾頭にはコースを変更したり、迎撃ミサイルを回避し
たりする能力はありません。現在のミサイル防衛システムはこの
前提で設計され、開発・運用されています。

 仮に意図的にコースを変更できるミサイルがあったら、現存の
迎撃態勢が骨抜きになる可能性があり、攻守のバランスが崩れる
恐れが出てきます。
 
 このシナリオを現実のものにしかねないのがロシアの新兵器
ジルコン・ミサイル。ジルコンは浮揚力を胴体から発生させる
リフティング・ボディ (lifting body) を備えた極超音速巡航ミ
サイル (hypersonic cruise missile) で、マッハ5〜6で飛行し
ます。驚異的な速度を可能にしたのはスクラムジェット・エンジ
ン (scramjet engine)。飛翔体自体の前進によって空気を圧縮す
るラムジェットの一種で、燃料は水素だとされています。

 アメリカでも、空軍(Air Force)と国防高等研究計画局(Defense 
Advanced Research and Project Agency: DARPA)が類似の極超音
速実験飛翔体を開発中ですが、実用化にはほど遠いようです。ロ
シアはこの分野でアメリカに4世代ほど先んじているとする説も
あります。

基本語彙 (カタカナ発音表示はおおざっぱなものです)
Track(トラック)追跡する 探知する
Hypersonic(ハイパーソニック)極超音速の
Intercept(インターセプト)迎撃する
Nuke(ニューク)核攻撃する

教材ビデオ:
https://www.youtube.com/watch?v=-24MjcONrQ0&t=5s

シナリオ (カウンターを 4:46に合わせてください)

This (Zircon) missile is capable of speeds up to Mach 6 
which are very hard to track and destroy. 
(ジルコン・ミサイルはマッハ6まで加速することができる。この
速度では、探知、迎撃は難しい)

Hypersonic missiles can be used to intercept nuclear 
warheads.  They can carry nukes themselves. 
(極超音速ミサイルは核弾頭の迎撃に使えると同時に、核爆弾の運
搬手段にもなる)

The Russians are getting ready to equip its ships, bombers 
and submarines with Zircon. 
(ロシアはジルコン・ミサイルを艦艇や爆撃機、および潜水艦に搭
載する準備を進めている)

英語一言アドバイス:
nukeはnuclearを縮めた口語表現だと思われます。「核爆弾」
「核兵器」などのほか、動詞として「核攻撃する」「核攻撃で破
壊する」という意味合いで使われます。面白いのは、電子レンジ
で調理することもnukeと言います。いまふうの日本語なら「チン
する」でしょうか。

発音サイト
nukeの発音
https://www.howtopronounce.com/nuke/

参考サイト

極超音速ミサイル「ジルコン」 
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/06/post-7750.php

https://en.wikipedia.org/wiki/3M22_Zircon

極超音速機(定義)  
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A5%B5%E8%B6%85%E9%9F%B3%E9%80%9F%E6%A9%9F

X-51(アメリカの極超音速無人試験機)
https://ja.wikipedia.org/wiki/X-51_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)

HTV-2 (アメリカの極超音速試験飛翔体)
https://ja.wikipedia.org/wiki/Falcon_HTV2

スクラムジェット・エンジン 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3




加藤喬(たかし)


●著者略歴
 
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。アラスカ
州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省外国語学校
日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―ある“日本
製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、『名誉除隊』
『加藤大尉の英語ブートキャンプ』『レックス 戦場をかける
犬』『チューズデーに逢うまで』『ガントリビア99─知られざ
る銃器と弾薬』(いずれも並木書房)がある。 
 
 
追記
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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
 
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『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320

オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
 
加藤さんが監訳され、大反響を巻き起こしている
『チューズデーに逢うまで─介助犬と帰還兵の深い絆』
の映画化が決まりました!!
 
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監訳者の加藤喬さんが全4回にわたり
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の魅力をお伝えするメルマガはこちらです
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きょうの記事への感想はこちらから
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専門用語があ
ります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日本人が自衛
隊のブリーフィングに出たとしましょう。「我が部隊は1300時
に米軍と超越交代 (passage of lines) を行う」とか「我が
ほう戦車部隊は射撃後、超信地旋回 (pivot turn) を行って離
脱する」と言われても意味が判然としないでしょう。
 
 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」は
 "Repeat" ではなく "Say again" です。なぜなら前者は
砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに使う言葉だからです。
 
 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍では建物の
「階」は日常会話と同じく "floor"ですが、海軍では船にちな
んで "deck"と呼びます。 また軍隊で 「食堂」は "mess 
hall"、「トイレ」は "latrine"、「野営・キャンプする」は 
"to bivouac" と表現します。
 
 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取りあげ、
軍事用語理解の一助になることを目指しています。
 
加藤 喬
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