配信日時 2018/08/31 20:00

【加藤大尉の軍隊式英会話】◆「ロシア軍最強兵器編(3)─第4世代主力戦車『T-14』」


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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応予備自衛官
でもあります。
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こんにちは。エンリケです。

加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が出ました。
今回はAK-47です。

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昨今のトランプ大統領の対北鮮姿勢には、
戸惑っている方も多いようです。

冒頭の「トランプツイッター」で記されている内容は、
実に興味深いです。

さっそくどうぞ。


エンリケ


追伸
ご意見ご質問はこちらから
http://okigunnji.com/url/169/


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加藤大尉の軍隊式英会話     Takashi Kato

◆「ロシア軍最強兵器編─第4世代主力戦車『T-14』」(3)

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□今週の「トランプ・ツイッター」

 北朝鮮非核化の実務が思ったように進んでいないことから、ト
ランプ大統領はポンペオ国務長官に訪朝を取りやめるよう指示し
ました。中国との貿易戦争が本格化し、北朝鮮の後ろ盾である習
近平主席の後押しが得られなくなったことも要因です。

 それにしても、今回のツイッターでトランプ氏が見せた余裕は
いったいどう解釈するべきでしょう。かつては「ロケットマン」
と揶揄し、呼び捨てにしていた相手に「キム委員長に、心からの
敬意を表する。遠からずお目にかかるのを心待ちにしている」と
言って見せたのです。

 20世紀初頭「語調は穏やかに、しかし、棍棒を携帯せよ」と主
張し、砲艦外交に先鞭を付けたセオドア・ルーズベルト大統領を
思い起こします。トランプ最高司令官はことによると、中国抜き
でも経済制裁の切り札になる北朝鮮海上封鎖のタイミングを、今
回は本気で探っているのではないか? ワイルドカード・プレジ
デントの豹変に、つい、そう勘ぐってしまうのはわたしだけでは
ないでしょう。

 今回のトランプ・ツイッター、キーワードは warmest regards 
and respects。直訳の「もっとも温かい敬意と尊敬」はくどいの
で、「心からの敬意」が自然だと思います。

...Secretary Pompeo looks forward to going to North Korea 
in the near future, most likely after our Trading relationship 
with China is resolved. In the meantime I would like to send 
my warmest regards and respect to Chairman Kim. I look 
forward to seeing him soon!

「・・・ポンペオ国務長官は近い将来の訪朝を心待ちにしている。
おそらく中国との貿易交渉が解決を見たあとになるだろう。それ
までの間、キム委員長に心からの尊敬を表する。遠からずお目に
かかるのを楽しみにしている」


 それでは本編に入りましょう。

 旧ソ連時代から、ロシアの戦車は重装甲(heavy armor)よりも
機動性(mobility)を重視してきました。敵に発見されにくくす
るため砲塔(turret)をカメ型にして車高を抑え、滑らかな湾曲
を描く傾斜装甲(angled armor)で敵弾を弾く設計だったのです。

 しかし、1991年の湾岸戦争で、イラク軍のT-72をはじめとする
ロシア製戦車は多国籍軍のM1エイブラムスとチャレンジャー戦車
に大敗。歴然とした性能の差に危機感をいだいた当時の旧ソ首脳
部は、欧米第3世代戦車に対応する既成モデルの改良と同時に、
第4世代戦車の開発を指示したのです。その結果、新型装甲戦闘
車両の一環としてT-14が登場しました。

 いちばん目立つ特徴はステルス性を考慮した無人砲塔
(unmanned turret)で、これまで当たり前だったコマンダー用
のハッチもありません。観閲行進の写真を見ると、車長は操縦士
の右後方ハッチから上半身を出しています。当然、砲塔からの目
による状況認識が不可能なので、テレビカメラや暗視装置で周囲
360度を常に監視しているようです。

 全乗員(3名)を車体前部の装甲戦闘室(armored fighting 
compartment)に配置したのは、従来のロシア製戦車よりも乗員
の生存性を高める狙いからです。この乗員用カプセルは、
厚さ900ミリの均質圧延鋼装甲に相当するとされています。砲塔内
部に貯蔵された砲弾が貫通弾で誘爆を起こした場合でも、乗員は
生き残れるわけです。

 T-14はまた、アクティブ防護システム(active protection 
system: APS)を採用しています。これは飛来する敵のミサイルや
砲弾をセンサーで探知追跡し、着弾前に散弾のような飛翔体を発
射して迎撃するものです。

 主武装として発射速度が毎分10〜12発にも達する125ミリ滑空砲
を備え、機動力も最高時速80〜90キロ。500キロの航続性能があり
ます。

 実戦による洗礼はまた受けていないものの、諸元を見る限り
T-14は日本や欧米の第3および3.5世代戦車を凌駕する性能が
ありそうです。

教材ビデオ:
https://www.youtube.com/watch?v=-24MjcONrQ0&t=5s

基本語彙(カタカナ発音表示はおおざっぱなものです)
Shield(シールド)盾 防御
Incoming(インカミング)やってくる 侵入してくる
Turret(ターレット)砲塔
Man(マン)担当する

シナリオ(カウンターを 2:40に合わせてください)

Its(T-14)high-tech shield may include sensors that can 
detect incoming rounds and automatically fire at them to 
knock them off target.
(T-14のハイテク防御システムには、飛んでくる砲弾をキャッチ
して自動的に迎撃するセンサーが含まれる可能性がある)

The crew can man the tank’s main turret by remote control 
as they sit inside an armored pod separate from the 
ammunition stored in the turret.
(乗員は車体内の装甲戦闘室から遠隔操作で砲塔を操作すること
ができる。砲塔に貯蔵された砲弾から遮断されているのだ)

The outer armor is meant to explode outwards to help 
protect the crew.
(外側の爆発反応装甲は、乗員を保護するために外向きに爆発す
る設計だ)


英語一言アドバイス: manは「男」「人類」という名詞の他にも、
動詞として「受け持つ」「担当する」「配備する」という意味が
あります。 
“man a security checkpoint/a field gun/an observation post”
は「検問所を受け持つ/野砲(の射撃)を担当する/監視所に要員
を配備する」になります。

発音サイト:
man a security checkpointの発音
https://www.howtopronounce.com/man-a-security-checkpoint/

参考サイト:
T-14戦車 
https://ja.wikipedia.org/wiki/T-14_(%E6%88%A6%E8%BB%8A)

アクティブ防護システム:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E9%98%B2%E8%AD%B7%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0

戦車(第3世代 第3・5世代戦車の項を参照)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%A6%E8%BB%8A



加藤喬(たかし)


●著者略歴
 
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。アラスカ
州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省外国語学校
日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―ある“日本
製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、『名誉除隊』
『加藤大尉の英語ブートキャンプ』『レックス 戦場をかける
犬』『チューズデーに逢うまで』『ガントリビア99─知られざ
る銃器と弾薬』(いずれも並木書房)がある。 
 
 
追記
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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
 
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『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320

オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
 
加藤さんが監訳され、大反響を巻き起こしている
『チューズデーに逢うまで─介助犬と帰還兵の深い絆』
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監訳者の加藤喬さんが全4回にわたり
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きょうの記事への感想はこちらから
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専門用語があ
ります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日本人が自衛
隊のブリーフィングに出たとしましょう。「我が部隊は1300時
に米軍と超越交代 (passage of lines) を行う」とか「我が
ほう戦車部隊は射撃後、超信地旋回 (pivot turn) を行って離
脱する」と言われても意味が判然としないでしょう。
 
 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」は
 "Repeat" ではなく "Say again" です。なぜなら前者は
砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに使う言葉だからです。
 
 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍では建物の
「階」は日常会話と同じく "floor"ですが、海軍では船にちな
んで "deck"と呼びます。 また軍隊で 「食堂」は "mess 
hall"、「トイレ」は "latrine"、「野営・キャンプする」は 
"to bivouac" と表現します。
 
 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取りあげ、
軍事用語理解の一助になることを目指しています。
 
加藤 喬
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