〇〇〇〇さん
こんばんは、坂佐井です。



☆西欧の神話・歴史・宗教まとめ読み
　「ローマ帝国とキリスト教編」～第19話～　カラカラ浴場で有名な皇帝カラカラ



　西暦192年　コンモドゥス帝が暗殺される

　西暦193年　セヴェルス朝がおこる。（～235年）

　西暦193年　ペルティナクス帝が暗殺される。

　西暦193年　帝位の競売により、ユリアヌスが即位するも、66日で暗殺され
　　　　　　　る。

　西暦197年　現在のリヨン郊外で、セウェルス軍がアルビヌス軍を破る。

　西暦197年　初のアフリカ出身のセウェルスが皇帝となる。
　
　

＝初めから残虐だったカラカラ＝

　
コンモドゥスが暗殺されてから、目まぐるしく不可解な動きが始まった。



親子の間、あるいは血縁者により継がれることが多かった帝位が、なんと競売によって、落札されるという事態に陥ってしまうのだ。

　

その混乱ぶりは、上記の西暦193年の表でもわかるとおり、各皇帝の在位日数からも窺える。

　

ユリアヌス暗殺後、パンノニア総督だったセウェルス、シリア総督ニゲル、ブリタニア総督アルビヌスの３名が、皇帝の座を巡って対立した。
そして最終的に、セウェルスが皇位に就いたのである・・・

　

セウェルスには、カラカラとゲタという二人の息子がいた。因みにカラカラとは、丈の長いコートのことを指し、彼がローマに持ち込んで流行にさせたことから、付けられた名である。

　

本名は、マルクス・アウレリウス・セウェルス・アントニアヌスという。
それにしても長い名前である（笑）

　

セウェルスは、もともと兄のカラカラを後継者にするつもりでいたが、妻のユリア・ドムナは弟のゲタに皇位に就いてもらいたいと、考えていた。
そのため、ややこしくなってしまう・・・

　

西暦208年、セウェルス帝は、ブリタニア全域を支配すべく、カラカラとゲタを連れて、ドーバー海峡を渡った。

　

しかし目的を果たせないまま、西暦211年２月に、セウェルスが死亡した。

　

カラカラはブリタニアの支配なんかに興味を持っていなかったため、もともとから、コンモドゥス同様に、皇帝が死ねばローマへ戻れると考え、父セウェルスの殺害を考えていたという・・・恐ろしい男である。

　

そんなカラカラである。
西暦211年、なんなく皇帝となったカラカラだったが弟のゲタの存在が気に入らなく、殺害を考える。

　

それを実母の前で、ゲタを正当防衛という理由で、殺してしまう。

　

そのことにアレクサンドリアの市民は非難したが、逆にそれを理由に後年、市民数千人を虐殺したという・・・もう人としてダメですね！！


　
＝カラカラの大きな実績＝


　
ゲタを殺害したカラカラは、ゲタ支持者の復讐を恐れ、元老院議員や一般市民、２万人以上を殺害したという・・・なんですかこの人（怒）
しかも、ゲタの死に涙しただけでも処刑ですって・・・・

　

また、カラカラは父セウェルスの希望で、仕方なくフルウィアという女性と結婚した。
だが全く愛情を持てず、逆に憎しみばかりが募り、フルウィアの父である親衛隊長プラウティアヌスを、暗殺を企てたという理由で処刑した。

　

その娘であるフルウィアを妻にもかかわらず流刑に処した。
しかしそれでも飽き足らず、結局処刑してしまう。

　

こんなにも多くの残虐行為を実行したカラカラは、残虐な皇帝として有名である。
それなのに、表題の大きな実績ってなんなんでしょうか！？

　

たしかにカラカラは残虐な皇帝ではあったが、他の残虐皇帝が、ほとんど何もしていなかったのに対し、次の3つの仕事で、歴史に名を残している。

　

1.大浴場の建設

西暦217年に建造されたというカラカラ浴場。高温浴室、サウナ、冷水浴室はもちろん、図書館や体育館、スポーツジムまで完備していたという。浴槽はなんと一度に、1600人が入浴できたという！！

　

2.銀貨の改鋳（かいちゅう）

国家財政が危機状態となったため、銀の含有量が少ないアントニアヌス銀貨を発行して、急場を凌いだ。（因みにアントニアヌスとはカラカラの本名）

　

3.アントニアヌス勅令

ローマ帝国内の全ての自由民に、無条件でローマ市民権を与えるとしたもの。
これによって初めてローマ市民と、属州民は完全に同じ権利を得ることになった。

　
　
＝当然の報いであったカラカラの暗殺＝


　
カラカラ帝は、不安と後悔にさいなまされ（まあ自業自得なんだが）次第に精神の病にかかっていった。

　

カラカラは、自らをアレクサンドロス大王の生まれ変わりと自称していた。
そして大王をまねて、ゲルマニアや東部属州地域への遠征を繰り返した。

　

そのため、国家財政は急激に悪化し、質の悪い銀貨を次々と発行せざるえなくなってしまった。

　

まあ当然に、コンモドゥス同様に、カラカラに対して、不満は募る・・・

　

ゲルマニア戦線では勝利し、アレクサンドリアで前にも触れたように、市民の大虐殺を行い、そしてパルティアの征服に向う・・・

　

そこでエデッサのティグリス川を挟んで行われた初戦に勝利したカラカラは、カッラエ（現トルコ）へ移動したところで、親衛隊のマルティアリスに、背後から襲われ、刺し殺されてしまった。

　

マルティアリスはその場で、他の親衛隊員に殺されるが、この暗殺の黒幕はなんと、親衛隊長マクリヌスだったのだ。

　

マクリヌスはそのことを微塵にも感じさせずに、カラカラ帝の死を嘆き悲しんだという・・・

　

しかし、そんなマクリヌスに、天は我に味方しなかった・・・

　

その後カラカラの後に皇位に就くが、すぐに信頼を失って、処刑されてしまったのである・・・
そんなにうまく世の中はいかないもんですね。・・・つづく



　
さて次回の「西欧の神話・歴史・宗教まとめ読み」は、キリスト教を迫害し続けた皇帝ディオクレティアヌスを、お送りする。お楽しみに～

　




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