〇〇〇〇さん
こんばんは、坂佐井です。



　　☆西欧の神話・歴史・宗教まとめ読み
　「ローマ帝国とキリスト教編」～第15話～　二人の皇帝



　西暦138年　ハドリアヌスが62歳で亡くなる。

　西暦161年　ピウスが75歳で亡くなる。

　
　
＝ローマ史上初となる二人の皇帝＝

　

74歳で病床についたピウス皇帝は、マルクスを枕元に呼ぶと、
　「息子よ、お前の出番がやって来た」
と言い、事切れたという・・・

　

そしてマルクスが皇位を継ぐのだが、前にも述べたとおり、ピウスを皇帝に指名したハドリアヌスが、すでにマルクスともう一人ルキウスとの共同統治を命じたとおり、共同皇帝となった。

　

マルクスは、セウェルスの庇護を受け、そこで17人もの家庭教師をつけられたという。
彼がそこで興味を示したのは、ストア主義の哲学であった。

　

ストア主義とは、紀元前4世紀末頃、キプロス島のゼノンが創始したギリシャ哲学のひとつで、禁欲・義務を重んじ、感情にとらわれず穀然として、運命を甘受することを、教えている。

　

マルクスは、ストア哲学を傾倒するあまり、12歳から18歳まで、極度の粗食と禁欲を自分に課した。
そのため健康を害することもあったが、それを「運命」として、神々に感謝したという・・・

　

そして17歳で元老院議員となり、18歳で副帝、19歳でコンスルに就任した。
つまりマルクスは、皇帝になるべくして、なった人だともいえる。

　

そしてもう一人のルキウスは、23歳のときコンスルに就任した。
だがルキウスは、女遊びばかりして、政治にはトンと興味がない。

　

だから共同統治といっても、実際はマルクスが政治の実権を握っていた。


　
＝疫病の蔓延とルキウスの死＝


　
西暦162年、トラヤヌスが支配したパルティア王国が反乱を起こし、アルメニア王国に侵攻するという事件が起きた。

　

マルクスはすぐにルキウスに討伐を命じた。
遠征したルキウスは、持ち前の明るさと陽気さで、兵士たちに好感を持って受け入れられた。

　

しかも彼には勇気も兼ね備えていたため、彼が率いた軍隊は、パルティア人の撃退に成功したのである。

　

西暦166年10月、ルキウスはローマへ凱旋した。
ところが、ルキウス軍は謎の疫病まで、持ち帰ってしまったのである。
人々は体中に脳腫ができ、激しく咳き込みながら、死んでいった・・・

　

ローマ市内だけでも20万人以上が死に、感染を恐れた人々が各地に分散し疎開したことによって、感染はイタリア全土に広がった。

　

これがローマの経済を大きく揺るがし、市民は疫病に苦しみ、また飢餓が起きたりした。

　

マルクスはその対応に忙殺され、さらにゲルマン人がドナウ川を越えてパンノニアに侵入するという事件が多発したため、マルクスは、ルキウスとともに、ゲルマニアへ遠征した。

　

そこでルキウスが体調不良を訴えたため、急遽ローマへ帰還することになったが、ルキウスの病状は思った以上に悪く（脳卒中であったとも言われている）数日後に、北イタリアのアルティヌムで死亡した。

　

疫病が発生したときも、（一般にペストだと言われている）ルキウスは宴会や競技を楽しんだりして、決して出来の良い義弟ではなかったが、マルクスは、ルキウスの死を悲しんだという・・・

　



さて、次回は、5賢帝最後のマルクスのお話しである。慈悲深い性格の良い皇帝だったが、妻の浮気は気づかない、キリスト教を弾圧する面もあった。
そんなお話しをするのでお楽しみに



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