〇〇〇〇さん
こんばんは、坂佐井です。



　☆西欧の神話・歴史・宗教まとめ読み
　「ローマ帝国とキリスト教編」～第14話～　ハドリアヌス帝の晩年と歴史のないピウスの治世



　西暦121年　ハドリアヌスガブリタニアニ長城を建設する（～136年）

　西暦132年　エルサレムでのユダヤの反乱が起こる

　
　

＝ハドリアヌスの晩年＝

　

ハドリアヌス帝は、政治、経済、軍事だけでなく、法律や宗教、文学などあらゆる分野に優れていたそうだ。

　

しかし、西暦136年に鼻血が止まらないというマヌケな難病に倒れてからは、判断力に衰えを見せるようになった。（笑）
それが原因で、元老院の有力者を処刑したりもした。

　

鼻血が原因で、処刑されるなんて、嫌ですよねえ～
またさらに後継者選びでも、不可解な判断が多くなっていった・・・

　

ハドリアヌスには、フスフスという血縁者がいて、周りもフスフスが次期皇帝に指名されると思っていた。
しかしハドリアヌスが指名したのは、ルキウス・アエリウスというパトリキ出身の青年だった。

　

元老院はこの指名に懐疑的な目を向けていた。
というのも、この青年、あまり評判がよくない。大した実績もないし、女癖も悪い（笑）

　

ハドリアヌスも実績がないことは、分かっていたので、経験を積ませるためコンスルを務めさせ、さらにパンノニア州の属州にも赴任させたが、運の悪いことに、赴任先で病死してしまった。

　

元老院や側近は、アエリウスの死を喜んだという・・・
それにしてもハドリアヌスがなぜ、なんの理由もないアエリウスを、後継者にしたのか、今もって分からない、謎である・・・

　

次に指名したときは、難病も癒えていたのか、コンスルを二度務めた実績のあるアントニヌス・ピウスだった。
彼はアシア総督も経験したこともある有能なハドリアヌスの部下で、この決断には、みんなが納得した。

　

ハドリアヌスはここでも、類なる才能を見せる。
アントニヌス・ピウスを後継者にするのと同時に、その甥のマルクスとルキウスをその次の後継者に指名し、ピウスの養子にさせたのである。

　

つまり、ハドリアヌスを「正帝」とし、ピウスを「副帝」とした。
これがこの後の、次期皇帝指名の際の慣習となるのである。

　

そんなハドリアヌスにも死はやってくる。
西暦138年７月10日、62歳で亡くなった。
21年という長い治世のほとんどを旅で過ごした、珍しい皇帝であった。


　
＝平和であり続けたピウスの治世＝


　
ハドリアヌスの跡を継いで皇帝となったアントニヌス・ピウスは、個人的には一番好きだ。
何が好きかというと、人間性である（笑）
　
　

彼は50歳を越えて皇位に就いた、いわば遅咲きの皇帝であった。
また大金持ちでもあった。
しかし、しかしだ、彼はなんとその全財産を帝国に寄付してしまったのである。

　

一文無しになってしまったことを、妻に責めたてられると（当たり前か）彼は名言を吐いた。


　
「妻よ、その代わりに私たちはローマ帝国の全てを手に入れたんだ」

　

この一言が、ピウスを好きになった理由である。言ってみたいもんだ！！

　

ピウスのおかげで国庫は膨れ上がり、財政は安定したのである。
　
　

そんなピウスをまとめると、以下のような皇帝になる。

1.貧困家庭の子女を支援したり、驚くほどの高潔だった。
2.各属州を視察し続けたハドリアヌスに対し、ピウスはローマから出なかった。
3.評判の悪かった先帝ハドリアヌスの神格化を進言した以外、一度も元老院に異議を唱えなかった。

　

今までの皇帝たちのような暴政で恐れられてきたのとは、対極的な政治をしていたことに、好感が持てる。

　

諸部族との戦いも少なく、ピウスは真の意味での「パクス・ロマーナ（ローマの平和）」を実現した皇帝と言われた。
だが、それが皮肉なことに、ピウスの時代を「歴史のない時代」と呼ばれたという（笑）

　

ピウスは前皇帝のハドリアヌスの決定した通り、マルクス・アウレリウス・アントニヌスを次期皇帝に指名すると、自分の娘を嫁がせた。
そしてまた、マルクスに護民官や属州総督の地位に就け、帝王学を学ばせた。

　

ピウスが突然倒れたのは、西暦161年３月のことである。原因はチーズによる食中毒という説がある。

　

夕食を摂ったあと、ピウスは倒れ、床についた。
ピウスは病床で、すでに決められたマルクスを後継者に指名すると、静かに息を引き取った・・・享年75歳、在位は23年であった・・・つづく



さて、次回は、ローマ史上初となる二人の皇帝のお話しである。



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