〇〇〇〇さん
こんばんは、坂佐井です。
西欧の神話・歴史・宗教まとめ読み~第13話 裁判
イエスは大祭司カヤパのところへ連行される
夜中であったが、急遽最高法院が召集され、裁判が開かれた。
ユダヤ教の律法学者や長老たちは偽証してまでもイエスに罪を着せようとしたが、なかなか決め手が見つからない。
イエスは押し黙っていた。
最後に大祭司が尋ねた。
「お前は神の子なのか、本当に救世主なのか」
「それはあなたが言っていることです。しかし、私は言っておこう。やがてあなたたちは私が全能の神の右にすわり、天の雲に乗って来るのを見るだろう」
婉曲な言い方ではあったが、質問に対する答えとしては「その通り」だろう。
大祭司は服を引き裂いて怒り、
「神を冒涜している。諸君、この言葉を聞いてどう思うか」
「死刑だ、死刑だ」
いっせいに声が上がる。
もともとそういう結論が予測された裁判だったろう。
このとき連行されていったイエスを追ってペテロは中庭に潜り込み、家の中をうかがっていた。
周囲には野次馬たちが群がっている。
屋敷の女中が現れ、ペテロの顔を見て、
「あんた、ガリラヤの人でしょ。今の男と一緒にいたじゃない。私、見たわよ」
と言う。
イエスの仲間だと知られたら、ペテロも捕らえられるだろう。
「いい加減なことを言うなよ。あんな男、知らんよ」
と、あわてて門のほうへ退く。すると、べつな女中がペテロに眼を止め、指をさし、
「この人、ナザレのイエスの仲間よ。まちがいない」
と、周囲に告げる。
「知らん、知らん、イエスなんか」
そのうちに何人かが近寄って来て、
「たしかにあいつはイエスの仲間だよ。ガリラヤの生まれだろ?」
ペテロは、いかにも迷惑そうに、
「知らない、知らないよ、あんな男」
そのときひときわ高く、コケコッコー、と鶏が鳴いた。
「しまった」
ペテロの胸に忽然とイエスの言葉が蘇ってきた。
まさしくその通りではないか。
「あなたは今夜、鶏が鳴く前に三たび私のことを知らないと言うだろう」と、イエスは告げていたのだから…。
ペテロは家の外に逃れ、心ならずもイエスを裏切ってしまったことを、そして自分の心の弱さを嘆いて激しく泣いた。
泣いて、泣いて、泣き続けた。
ペテロの慟哭をよそに最高法院はイエスに対して、神に対する著しい冒涜、ゆえに死刑が妥当、という結論に達する。
夜が明けるのを待ってイエスの身柄はローマ総督ピラトの館に送られた。
当時のイスラエルはローマの支配下にあったから、死刑の執行など重大な決定はローマ総督の機能に属していた。
ピラトはローマの法律を踏まえてイエスを尋問しただろう。
イエスの罪状は、
一、 民衆を唆し、暴動を画策した。
二、 ローマへの納税を拒んだ。
三、 自分は王である、と公言した。
三点に要約されたが、はじめの二つは事実に反するし、ローマの法律に犯すものではない
ピラトとしては無罪の心証を得て、そのことを口に出して言ったが、イエスを追ってきた群衆は、法律学者や長老に唆されて、
「死刑だ」
「十字架に懸けろ」
と叫び続ける。
ピラトは、ガリラヤ地方の王、ヘロデスがたまたまエルサレムに来ていることを思い出しイエスの身柄をいったんヘロデス王に預けた
洗礼者ヨハネの首を斬って、サロメに与えたあのヘロデス王である。
王は、かねてからイエスがどんな男か、見たがっていた。
イエスのほうは今さらこんな王の前に頭を下げるはずがない。
洗礼者ヨハネを惨殺した王なんか、見るのもけがらわしい。
なにを聞かれても返事をしなかった。
面子を潰されたヘロデス王は、
「気に入らん。死刑がいいな」
イエスを嘲り、さんざん侮辱してピラトのもとへ返した。
ピラトは困惑する。
「この人は死刑に値する罪を犯していない。こらしめの鞭を打って釈放しよう」
と提案したが、民衆の声は相変わらず、
「死刑だ、殺せ」
と叫んでいる。
ピラトは必ずしも民衆に評判のよい総督ではなかった。
そうであればこそ、ここで民衆の心をつかまえておくほうが、得策だろう。
窮余の一策としてピラトは考えつく。
過越しの祭りのときには、囚人を一人、民衆の要望に応えて釈放するのが習慣であった。
ちょうどバラバという名の殺人犯が捕らえられていた。
ピラトは集まった群衆に尋ねる。
「どちらを釈放したら、いいんだ?バラバかイエスか」
ピラトとしては、どう見てもバラバのほうが罪状が濃いのだから、こう質問すれば当然イエスが救われると思ったのである。
しかし、たけり狂った群衆は、
「イエスを十字架にかけろ」
と、要求する。
ピラトはさらに、
「私はこの人に罪を見出せない」
と、イエスを弁護したが、群衆の要求はやはり、
「イエスを殺せ。十字架に懸けろ」
であった。
イエスは鞭で打たれ、茨の冠をかぶせられ、群衆の前に突き出される。
「見よ、この人を」
ピラトとしては、この男に罪があるかどうかよく見てくれ、くらいの気持ちだったろう。
「イエスを殺せ。十字架に懸けろ」
雲行きが悪い。
これ以上イエスをかばうと民衆の反感を買う。
暴動でも起きたらピラト自身の立場が危うくなる。
「そうか。じゃあ、お前たちの望みどおりにしてやろう」
かくてバラバは釈放され、イエスの十字架刑が決定した。
さて、次回の西欧の神話・歴史・宗教まとめ読みは、イエス・キリスト編の第14話、「ビア・ドロローサ(悲しみの道)」をお送りする。
十字架刑を背負いながらゴルゴダの丘を目指すイエスの苦悩をお楽しみに~
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