〇〇〇〇さん
こんばんは、坂佐井です。



西欧の神話・歴史・宗教まとめ読み



前回、ハンニバルを滅ぼし、カルタゴを滅ぼした。その後・・



紀元前264年　第一次ポエニ戦争が始まる
紀元前218年　第二次ポエニ戦争が始まる
紀元前216年　カンネーの戦いでローマ軍が、ハンニバルに敗れる。
紀元前215年　マケドニア戦争が起こる。
紀元前202年　スキピオがザマの戦いでハンニバルを破る。
紀元前149年　第三次ポエニ戦争が始まる
紀元前146年　ギリシャ、マケドニアがローマの属領となる。
　　　　　　　ローマがカルタゴを滅ぼす



第三次ポエニ戦争に勝利したローマは、地中海の覇権を握り、さらに豊かになっていった



しかし、それは国とパトリキや、一部の富裕層に限ったことであり、農民たちの生活は、苦しくなる一方であった。


　
＝グラックス兄弟の改革＝

　

地中海を制したことで政治家や将軍、新興成金たちは、多数の奴隷を使って大規模な農業を行い、巨万の富を得ていた。

　

そして逆に、ローマ軍の中心だった農民たちは、勢力が拡大するにつれ、戦地は故郷から遠く離れ、耕し手を失った農地は、荒れるば
かりとなった。
　
　

結局農地を売却して、戦地に赴いていったが戦争が終わって、戻っても新たに農地を買うことができず、無産者となって、都市へと流れこんだ。

　

農民がこうして、無産者になって、都市へと流れてしまっては、農民の数が減ってしまいまた農民は兵士でもあったから、史上最強の
ローマ軍は、予想もしない状態に、はまってしまった。

　

これではまずいと思って、立ち上がったのがハンニバルを倒したスキピオの孫であるグラックス兄弟だった。

　

まず、兄のティベリウスが、紀元前133年に護民官に就任すると、すぐに農地改革に乗り出した。



彼は、カピトリーノ丘の平民集会でこう言った。

　

「戦闘にあけくれた兵士たちは、帰る家もなければ、耕す土地もない。農民たちを守るには、貴族たちの土地占有を制限しなければならない。それには一定の面積の土地所有を認め、それ以外は、貧しい農民に分け与えよう」

　

ティベリウスは、農地分配法を提案し、農民たちの希望の星となった。
　
　

だが、特権を失うことになる貴族たちは、まもなく暴動を起こし、ティベリウスは、選挙の日に同志300人と共に、虐殺されてしまったのである。

　

いつの時代も、金を持つ富裕層には、嫌な奴がいるもんですね・・・


　
さて、それから9年後、弟のガイウスは、兄の遺志を継ぎ、護民官となって兄の改革を推し進めようとした。

　

ラテン人にローマ市民権をあたえ、イタリア本土以外の同盟市民には、ラテン市民権を与えることにした。



そして、旧カルタゴに新殖民都市を建設して失業者たちを救済するという提案をした。

　

しかし、ガイウスは護民官選挙に敗れ、改革反対派により、ガイウス支持派3000人が殺され、ガイウスもまた、自害して果てたのである。

　

こうして、グラックス兄弟の改革は失敗し、私利私欲で動く貴族たちによりローマの軍事力は、弱体化していったのである・・・



＝マリウスの軍制改革＝


　
弱体化したローマ軍は、士気も上がらない状態だった。そんな騒乱状態のローマに周辺諸国が動いた。

　

昨日の味方は今日の敵・・・カルタゴと戦ったとき、同盟を組んでいたヌミディア王国は紀元前111年、ローマへ宣戦布告した。

　

ローマ軍はすぐさま、小国ヌミディアに派遣したが、士気が上がらず戦争は泥沼化する。



また、ケルト人やゲルマン人も、ローマへ侵攻し、それを押し留めることが出来ず、進入を許してしまう。

　

グラックス兄弟が危惧していた崩壊の危機が起きはじめていた・・・


　
この崩壊寸前の危機を救ったのが、ガイウス・マリウスであった。
　


紀元前107年にコンスルに就任したマリウスは、軍の指揮官であったメテルスを解任し、自らが指揮官となった。

　

マリウスは、農地をもたない市民を集めて、専属の兵士として、鍛えた。

　

兵士は国に仕えるのではなく、各将軍に仕えるようにシステムを変更した。
　


こうすることによって、軍内部に競争力を生まれるように期待したのだ。

　

また兵士になれば、衣食住には困らないように配慮した。
さらに、老後の保障もするというこの軍制改革は、見事ローマ軍を立て直すことに成功した。

　

そして、マリウスも、5年連続でコンスルに選ばれた。

　

この改革は、急場しのぎにはなったようで、士気が上がったローマ軍は、四方から侵攻してきた敵を、蹴散らしたのである。

　

泥沼化していたヌミディアとの戦争も勝利し国王を処刑したのである。

　
　
だが、軍部の力を必要以上に大きくしてしまったローマ帝国は、内部にまた歪みを生むことになるのである・・・つづく




「次回予告」

さて、次回第6話は、「逆襲のスパルタクスの乱」をお送りします。
奴隷たちの不満が一気に爆発し、スパルタクスを中心に、ローマに反旗を翻した。
ローマ軍対奴隷の解放への戦いが始まった・・・次回をお楽しみに～


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