〇〇〇〇さん
こんばんは、坂佐井です。



アキレウスの出陣がないまま、ギリシャ軍はだんだんと鎮静化してしまった。



この様子を見ていた大神ゼウスは、戦が静まったと感じて、争いの女神エリスを呼んで、ギリシャ軍をけしかけるように命じた。

　

すると、アガメムノンが狂ったように暴れまわり、トロイア方の名のある勇士たちが、倒れていく。
しかし、アガメムノンも傷ついた

　

今度はトロイアのヘクトルが暴れだし、ギリシャ軍の兵士が数多く倒れる。

　

オデュッセウスとディオメデスが戦場に現れヘクトルも危ない目にあう。
　


そしてパリスの矢が、豪腕ディオメデスの足を刺し、オデュッセウスも、脇腹に深手を負ってしまう。

　

それにしても、ヘクトルの活躍は凄まじかった。
さらに、背後からパリスの矢が追い討ちをかけてきて、ギリシャ軍の武将を傷つけていく。

　

そして、その矢がギリシャ軍の武将であり、医者でもあるマカオンの肩をえぐる。



老将ネストルがすぐに駆けつけると、自分の陣屋に運びこんだ。

　

この光景を遠くから見ていたアキレウスは、パトロクロスに向かって

　

「いま、傷ついたのはマカオンじゃないか？　確かめて来てくれ」

　

そう言うと、パトロクロスは、ネストルの陣屋へと走る。
　


顔を出したパトロクロスを見て、ネストルがアキレウスへの不満を吐いた。
そして、パトロクロスにお願いをする。

　

「あなたがアキレウスを説得してくれないかそれが無理なら、あなたがアキレウスの武具をつけて、戦場に立ってくれ。敵はアキレウスを見違えておびえるだろうから・・・」

　

確かに、これだけのギリシャの将兵が倒れているのを見て、非情にはいられなかった。



その言葉にパトロクロスは、心を固めた。


　
大神ゼウスは、ヘクトルの最後が近づいていることを知って、大いなる力を与えていた。



そのせいで、ギリシャ軍の武将は、全く勝てる見込みがなかった。

　

ギリシャ軍の苦戦を見ていたパトロクロスは大急ぎでアキレウスのもとへ

　

「アキレウス、このままでは船が焼かれてしまうぞ。船が焼かれたら、故郷に帰れなくなってしまう」

　

それでもアキレウスは出陣しない・・・

　

「じゃあ、アキレウスの武具を貸してくれ、それからミュルミドン人の軍勢も頼む。



トロイア軍は、私をアキレウスだと思って怯むかもしれない」

　

そのパトロクロスの言葉に、初めてアキレウスはうなずくと、

　

「ただし、パトロクロス。深追いしてはならん、敵を追っ払うだけにしておけ。トロイア城のほうまで攻めて行ってはいかんぞ」

　

と、注意を与え、軍勢ともどもパトロクロスを送り出したのである。


　
この作戦は、成功した。
しばらくはパトロクロスをアキレウスだと思い、震えだす者までいた。
そのせいか、パトロクロスは敵をどんどんなぎ倒していく。

　

調子に乗ったパトロクロスは、アキレウスの忠告も忘れて、トロイア城近くへと突き進み獅子奮迅の活躍を見せるが、その前にヘクトルが立ちはだかった。

　

ヘクトルの鋭い槍が、パトロクロスの下腹部を深々と貫いた。
　


このとき、アキレウスではなく、親友のパトロクロスだったということを知った。

　

「パトロクロスよ。トロイアの城を落とし、凱旋するつもりっだたらしいがあいにくだったな・・・アキレウスも、おぬしのために何をしてくれたんだ」

　

ヘクトルは勝利の言葉を吐いた。

　

「いくらでも、威張るがよい。一つ言っておくが、おぬしの命も長くはないぞ。アキレウスが、アキレウスが、お前を倒すからな・・・」

　

息も絶えながら、言うと、パトロクロスを黒い死が包んだ。
　


ヘクトルは、パトロクロスの武具を奪い、首を切り落として、立ち去った。


　
パトロクロスの死が伝えられると、アキレウスの悲しみは凄まじく、灰をかぶり、身を転がして、髪の毛をかきむしった・・・

　

そして、戦うことを決心し、戦場の片隅まで行って、その姿を見せた。
　
　

「トロイアの犬めが、今度は本当にこのアキレウス様が出て行くぞー」

　

と大音声をあげると、その怒声のあまりの凄まじさに、声だけで、トロイア勢は怯え、我を失い、馬までもが後ずさりしたほどであった・・・

　

そして、ついに戦場にアキレウスが登場するのであった・・・つづく
　


「次回予告」

トロイア戦争編～第7話～英雄同士の対決

さて、トロイア戦争も終盤に突入し、盛り上がりも最高潮に達する。
いよいよ、ギリシャきっての英雄アキレウスと、トロイアの王子ヘクトルの一騎打ちが始まる。
どちらも強さにおいては、両国の代表ともいうべき２人が、相対。
勝者はどちらの手に・・・


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