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配信日時
2019/12/26 22:00
【号外版】「イエス・キリスト編」~第7話 十二人の使徒
〇〇〇〇さん
こんばんは、坂佐井です。
西欧の神話・歴史・宗教まとめ読み
~第7話~
十二人の使徒
一. ピリポとバルトロマイ
ペテロたちを弟子にした翌日、イエスはガリ
ラヤの湖畔から内陸部へと向かい、その道中
でピリポという男に会った。ピリポはギリシ
ャ系の名前である。
イエスはこの男にも、
「私について来なさい」
と告げた。
ピリポの方も、イエスについて噂ぐらいは聞
いていただろうが、いきなりそんなことを言
われても困ってしまう。仲間のナタナエルを
訪ねて、
「イエスって人に会ったよ。偉い預言者らし
いぞ。弟子になれって言うんだ」
と相談した。
そのときナタナエルはイチジクの木の下に立
っていた。
「イエス?、だれだ、そいつは」
「聞いてないのか。ナザレの大工のせがれで、
奇蹟を起こしたりして…救世主かもしれん」
「ナザレからいいものが出たこと、あるか」
ナザレはひどい田舎だから、ろくなものが出
ないと、思われていたらしい。
「まあ、一緒に来て見ろよ」
ピリポがナタナエルを連れてイエスのところ
へ来ると、イエスは二人を見たとたんに、
「ナタナエルよ」
と呼び、
「あなたはまことのイスラエル人だ。悪巧み
を持たない人だね」
さながら占い師みたいにキッカリと言い切っ
た。
初対面の相手にいきなり名前を呼ばれ、その
うえ出身地から性格まで言い当てられては驚
いてしまう。
ナタナエルは自分がイスラエルの血を繋ぐ、
心の正しい者だとひそかに自負していたにち
がいない。
「えっ、どうして私のことがわかるんですか
?」
「わかるさ。それだけじゃない。ピリポに話
しかけられたとき、あなたはイチジクの木の
下にいただろ。私はそれを“見た”んだから」
「本当に!!」
とナタナエルは狼狽する。
「あのときそばに誰かいただろうか…」
とナタナエルは首を傾げる。誰も見ていなか
ったと思うのだが…。そして
「この人なら日ごろの俺の悩みに応えてくれ
るかもしれない」
と察知した。
イエスはさらに続けた。
「もっと偉大なものを、あなたたちは見るだ
ろう」
「なんですか」
「天が開け、神の御使いが行き来するのを見
るだろう。その日はもうすぐやって来る」
「本当ですか」
「私について来なさい」
イエスは深い鳶色の眼をしていたとか。じっ
と見つめられると、従わずにはいられないよ
うな不思議な力を秘めていた。
「はい、わかりました」
ピリポも同音に答え、二人そろってイエスの
弟子となった。ナタナエルはバルトロマイの
名で十二人の直弟子に加わっている。
二. マタイ
マタイは徴税人であった。民衆から直接、税
をしぼり取るのが彼の仕事だった。
ユダヤ人でありながら支配者ローマの手先と
なって税を徴収するのだから、ユダヤ人たち
のあいだで評判のいいはずがない。
非情で、卑しい仕事とみなされていた。
しかし、マタイには見所があったのだろう。
イエスはマタイを見て弟子に加えた。
誘いの文句はいつも通り、
「私について来なさい」
である。
マタイも他の弟子たちと同様に、すぐさま仕
事を捨て家族を捨てイエスに従う決意をする
「門出を祝して乾杯」
マタイはイエスを招いて盛大な宴会を催した
マタイ自身が徴税人だったから、集まって来
る連中にも同業者が多い。
ほかにも犯罪者まがいの、ろくでもない連中
が含まれている。かねてからイエスの足を引
っ張ろうとしていたユダヤ教の律法学者たち
がこれを見て、
「どうしてあなたは、あんないかがわしい奴
等と飲んだり食ったりするんですか」
と激しく非難した。
聖人であるならば、もう少し慎むべきであろ
うということである。しかしイエスはさらり
とこう答えた。
「医者を必要とするのは、健康な人ではなく
病人である。私が来たのは、正しい人を招く
のではなく、罪人を招いて、悔い改めさせる
ことである」
まことにごもっともな答えである。
これでアンデレ、ペテロ、ゼベダイの子ヤコ
ブ、ヨハネ、ピリポ、バルトロマイ、マタイ
の七人が決った。
これ以外のトマス、小ヤコブ、タダイ、シモ
ン、ユダについてはどういういきさつで、イ
エスの弟子になったか、福音書は語っていな
い。
トマスは後にも登場するが、復活したイエス
に会った貴重な弟子である。
彼には神秘的な噂があって、トマスとはアラ
ム語で「双子」という意味になる。名前では
ないというのだ。また別の表記には、「双子
のトマス」と書かれている。
彼はどうやら双子らしいのだが、誰との双子
なのかは、福音書には書かれていない。これ
はよほど有名人の双子なので、書く必要がな
かったということではないだろうか!
そう考えると、双子の誰かとは、イエスその
人しかいないだろう・・・(笑)
これは私が言っているのではなく、トマス
に関してはさまざまな伝説があるのだ。しか
も「トマスの福音書」という第5の福音書が
エジプトで発見もされている。
ここで書かれているトマスは、ペテロやヨハ
ネよりも地位が高く、イエスに匹敵するほど
の教養と見識を持ち合わせ、別格の人物とし
て、扱われている。
トマスの謎は尽きない・・・
小ヤコブは文字通り体が小さかったらしい。
シモンは熱心党という当時の政治団体に属し
ていたらしい。
タダイはこれといったエピソードがない。
そして最後にイスカリオテのユダ。
これは後にも登場するが、イエスを裏切った
という、たった一つのエピソードで後世に名
を残している。
彼はイエスを中心とする集団の中で財務を担
当していた。
大蔵大臣はどんな社会でも重要なポストであ
る。彼はほかの弟子たちとちがってガリラヤ
の出身ではなかったろう。
そうであるにもかかわらず、強い同志的結合
の中で重要な役割をまかせられていたのは、
才覚のあるエリートだったのではないだろう
か?
そんな彼がなぜ、裏切ることになるのか、そ
れはまだ先のことである。・・・つづく
さて、次回の西欧の神話・歴史・宗教まとめ
読みは、イエス・キリスト編の第8話、「キ
リストの奇蹟その1」をお送りする。
いよいよ、これは神が行ったことなのかそれ
ともマジックなのか!!さまざまなイエスの
奇蹟をお伝えする~お楽しみに
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