配信日時 2019/08/08 22:00

【号外版】トロイア戦争編~最終話~トロイの木馬、そして終戦へ


〇〇〇〇さん
こんばんは、坂佐井です。



西欧の神話・歴史・宗教まとめ読み



いよいよ長かったトロイア戦争も、クライマ
ックスを迎えることになる。



これまでトロイアの英雄ヘクトルの死、ギリ
シャの英雄アキレウスの死があり、多くの
武将が亡くなった。



そして、そのアキレウスを失ったギリシャ軍
では、占い師であるカルカスの言葉により
この戦に勝つためには、三つの条件が必要だ
ということを知る。



一つヘラクレスの弓が必要だった。ヘラクレ
スの弓は、十年前にレムノス島に置き去りに
されていたピロクテテスが持っていた弓で、
英雄ヘラクレスから与えられたものであった

 

すぐに、ピロクテテスをレムノス島に迎えに
いき、呼び寄せると、早速、アキレウスを倒
したパリスを、そのヘラクレスの弓で射抜い




パリスは、あっけなく射られ矢の毒で、死ん
でしまう。



もう一つは、アキレウスの子の参戦だった。



これは、アキレウスの故郷から息子ネオプト
レモスを呼び寄せた。

 

そして3つめに、トロイアの神殿にあるパラ

ィオンの神像が必要だった。

 

これが一番の困難だったが、オデュッセウス
はディオメデスの肩車に乗ってトロイア城内
に忍び込むと、偶然にも悲しみに暮れている
ヘレネに会った。

 

ヘレネは、夫パリスの死により、もはやトロ
イアにいる必要性を失っていた。
 


そう、もう彼女はトロイアの生活には飽き飽
きしていたのだ。
 


なんと、勝手な女でしょう・・・あなたのた
めに戦争になっているのに。

 

オデュッセウスは、そんなヘレネの心情をつ
いてギリシャに帰ることを説得し、パラディ
オンの神像のありかを、教えてもらう。

 
 
余談だが、だいたい戦力が拮抗した戦争とい
うのは、味方から裏切り者を出した方が、負
けるのである。



日本でも関が原の合戦という、拮抗した戦が
あったが、あれも西軍に裏切り者が多数いた
ことが、敗因である。

 

このトロイアの戦争も、ヘレネという裏切り
者によって勝負が左右されることとなるので
ある。

 

ヘレネは迷ったあげくに、オデュッセウスの
味方をすることに同意し、パラディオンの神
像を手に入れた。

 

これで3つの条件が揃った。その頃には木馬
も完成し、いよいよ計画を実行した。

 

木馬の外側に「故郷への無事なる帰還を願っ
てアテネ女神にこれを奉納する」と書記し、
木馬内に隠れた。そして海沿いに設営されて
いた陣営を焼き払い、船団はいっせいに、
トロイアの海岸を離れ、沖に消えていった。

 

「ギリシャ軍が逃げていくぞ! 俺たちの勝
ちだ、トロイア万歳!!」

 

10年にも及んだ長い戦いがこれで終わった
・・・トロイア城内は歓喜で沸き返った。



たちまち祝宴の用意が始まった。

 

そのとき、城外に置いてある巨大な木馬を見
つけた。

 

「あれは、なんだ」

 

城外に置いてある木馬・・・胴体には。アテ
ネ女神へ奉納と書いてある・・・
 


トロイア人は、すぐにこの巨大な木馬を城内
に引き込み、アテネ女神の神殿に捧げようと
した。

 

そのとき、神官ラオコーンや王女カッサンド
ラが、ギリシャ軍の謀略だと反対した。



カッサンドラは特に前にも触れたが、予知能
力を持っていたので、すぐに中に人がいるこ
とを当てていた。
 
 

しかし、彼女の予言は、的中するが、誰にも
信じてもらえないという宿命を背負っていた
ので、誰もカッサンドラの言葉に耳を傾けな
い。

 

さらに、神官ラオコーンは、沖合いから二匹
の蛇が現れ、ラオコーンと息子に絡み付き、
絞め殺してしまう。

 
 
木馬を城内に運び込んでからは、戦勝に酔い
しれるトロイア人たちの、狂喜乱舞の大騒ぎ
その騒ぎは夜まで続いた・・・

 

それまでじっと木馬の中にいたギリシャ軍は
トロイア人が眠りについたのを確認すると、
木馬から現れ、沖に向かって狼煙をあげる。



ヘレネの合図でさらに多くのギリシャ軍が現
れた。

 

木馬の中から現れたのは、オデュッセウス、
ディオメデス、メネラオス、アキレウスの息
子ネオプトレモスなどであった。

 

消え去っていた船団がトロイアの海岸めがけ
て戻ってくる。城門が内側から開けられると
どっと槍をかざしたギリシャの軍勢が踊りこ
む。

 

酔いつぶれていたトロイア人たちが、気づい
たときはもう遅かった・・・
 
 

ネオプトレモスは、父アキレウスの仇として
、トロイア王のプリアモスを惨殺した。



また、メネラオスは、トロイア王子ディポボ
スを倒して、ついに妻ヘレネを奪い返した。

 

トロイアの男たちは、次々に殺され、また女
たちは戦利品として、連れ去られていった。



そして、トロイア城には火を放たれ、紅蓮の
炎に包まれた・・・

 

トロイアの陥落である・・・


 
その中で、唯一炎の中から、逃れた武将がい
る・・・それがアイネイアスである。



彼は、自分の軍隊と家族とともに、トロイア
から脱出した・・・ただ一人妻だけが、逃げ
ることができなかったが・・・


 
戦利品を分け合ったギリシャ軍は、勝ちどき
を上げると、すぐに帰途につく。
 


総帥アガメムノンは、王女カッサンドラを、
アキレウスの子ネオプトレモスは、ヘクトル
の妻アンドロマケを、オデュッセウスは王妃
ヘカベをもらい受けた。

 

そして、メネラオスの船にはヘレネが乗って
いた・・・そう考えるとこの戦争は何だった
のだろうか!!



やっぱり、神々が人口削減したいだけのため
の戦争ということになるんでしょうねえ!!

 

実はこの帰途にも色々あって、それは、ホメ
ロスの「オデュッセイア」という作品に詠わ
れているのだが、このシリーズは、ローマ帝
国へ繋がるアイネイアスを追わなければなら
ないので、簡単に結果だけを伝えよう。

 

まず総帥アガメムノンは、無事故郷のミケナ
イに凱旋したが、王妃クリュタイムネストラ
の裏切りに遭って、殺される。

 

豪腕ディオメデスは、故郷が別の国に変わっ
ていた。



メネラオスは、途中嵐に遭い、エジプトに流
されたが、無事に帰国した。



老将ネストルも無事に帰国した。

 

そして残るはオデュッセウスだが、彼はなん
と故郷イタキに帰国するのに、実に10年の
歳月をかけて、たどり着くのである。



その数々の苦労や冒険談がホメロスの「オデ
ュッセイア」に詠われているということであ
る。・・・完


 
さて、次回はようやくローマへと舞台が移り
ます。そして、神話の時代から徐々に歴史時
代へと入っていくのです。その概要を簡単に
「ローマ帝国編」としてお伝えしていくので
皆様お楽しみに(笑)




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