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配信日時
2018/07/26 22:00
【号外版】第17話 古事記最大の英雄、ヤマトタケル 前編
〇〇〇〇さん
こんばんは、坂佐井です。
古事記は素敵なファンタジー
古事記がどんな書物なのか、分からなくとも
ヤマトタケルの名前なら、知っているという
人は多いのではないだろうか!
しかし、ヤマトタケルが古事記に登場する
ことを知らないとか、どんな人なのか
知る人は少ないと思う。
ヤマトタケルは、古事記の中で最も有名で、
英雄として描かれている。
並みいる敵を次々と打ち倒し、お国の
ために父である天皇のために戦い、そして
悲劇的な最期を遂げる・・・
古事記は天皇を中心として、物語が進むが、
この時代は景行天皇ではなく、もっぱら
ヤマトタケルである。
彼の栄光と悲劇の物語・・・さっそく本題に
入ろう。
景行天皇にはたくさんの子がいたが、
その中で、3人の御子を皇子と定めた。
ワカタラシヒコとオホウス、それと後の
ヤマトタケルになるヲウスである。
それ以外の兄弟たちは、役割を与えて地方に
送ってしまいました。
ある時、景行天皇は、オホウスにオトヒメ
という美しい姉妹を連れてくるように
命じた。
ところがオホウスは姉妹を自分の妻にして、
父には別の姉妹を送って欺いた。
すぐに天皇は偽者と見破ったものの
(当たり前だ)知らぬふりをしていた。
だが、オホウスは気まずいのか、この一件
以来、父親の前に顔を出さなくなってしまう
そこで天皇は、弟のヲウス(ヤマトタケル)
に顔を出さないオホウスに、朝夕の食事に
顔を出すようにねんごろに教え論すよう、
命じた。
天皇がヲウスに命じてから5日たっても
やっぱり現われない。
「ヲウス、お前はまだ論さないのか」
となじれば、
「いえ、論しました」
「どう、論したのだ?」
「夜明けに兄が厠に入る時に、捕えて
掴み潰し、手足を引きちぎって、
打ち捨てました」
とこともなげに言った。
ヲウスは、父に言われたとおり、兄を
ねんごろに教え論したのだが、その教え
論し方は、手足をもぎとって丁寧にも薦に
包んで投げ捨てるというやり方だった。
これを聞いた天皇は、ヲウスの気性の荒さを
恐れてヲウスに西征を命じて、密かに
自分から遠ざけるのであった。
西征を命じられたヤマトタケルがまず
向かったのが、熊襲地方だった。
現在の熊本から鹿児島県あたりであろうか!
すでに敵は情報が入っていたのか、軍勢が
三重に囲んで守り固めていた。
町では新築の祝いをするため、食物を集めて
支度に忙しかった。
ヲウスは、なにげなく付近に行って、祝宴の
ときを待った。
髪を少女のように結い直し、叔母から借りた
衣装で女装し、すっかり少女に化けて
しまった。
これを聞く限り、ヤマトタケルはきれいな
顔立ちだったのではないでしょうかね(笑)
給仕の女たちに、うまく混じって、
クマソタケル兄弟に近づいた。
「かわいい娘だな、こっちへ来い」
ヤマトタケルは、うまいこと気に入られた。
それにしても、よっぽどかわいいんだろうね、
この変装は(笑)
宴も真っ盛り、頃合もよしとなったところで
ヤマトタケルは懐中から剣を抜き出して、
まず兄の方から、ブスリと胸を刺した。
驚いた弟は逃げ出したが、階段のところまで
追って行って、背中を掴んで、尻からブスリ
と貫いた・・・
「待ってくれ・・・死ぬ前に聞きたい、
お前は誰だ・・」
「私はオオタラシヒコオシロワケ天皇の
御子で、ヤマトオグナと申す。
お前達兄弟が服従しないので、征伐しに
来たのだ!!」
ヤマトタケルはきっぱりと答えた。
オオタラシヒコオシロワケは、景行天皇の
名前である。
クマソタケルは、死ぬのは仕方がないが、
冥土の土産に殺される理由を聞きたかった
のだろう・・・
「なるほど、よくわかった・・・西のかたで
は私達兄弟ほど強い者はいません。
しかしヤマトの国なら、強い者がいても
なんの不思議もありません・・・あなたに
御名を献上いたします。これからはヤマトの
勇者、ヤマトタケルと賞賛いたしましょう
・・・」
そう言い終えると、クマソタケル弟は、息を
引き取った。
実はこのときから、ヤマトタケルになった
わけである。
それにしても、強いとか弱いとかという問題
ではないような気がするが・・・ただ単に
謀られただけでしょう。
使命を果たしたヤマトタケルは、さらに
山の神、河の神、海峡の神まで平定し、
そして出雲にやってきた。
実は、今まで出雲には、祟られることも多く
いかにヤマト朝廷といえども、祟りには
勝てず、さんざん苦しめられてきた経緯が
あった、
しかし、ヤマトタケルは、出雲の国の
イズモタケルに対し、調子よく接して親しい
仲になりながら、いちいの木で密かに偽の刀
を作り、刀を取換えようと言い、取り換えて
しまった。
その上で、一勝負つけようと提案し、
イズモタケルが賛成したところで、
剣を抜いたが、偽の刀では人は殺せません。
ヤマトタケルはやすやすと、取り換えた刀で
相手を殺してしまう。
これも、ヤマトタケルが強いというよりも、
計算高いだけのような気もする。
因みに、ヤマトタケルのタケルとは、
猛(たけ)き者、勇者のことであり、ヤマト
で強ければ、ヤマトタケルであり、出雲で
強ければ、イズモタケルとなる。
とにもかくにも、出雲も平定して、天皇に
報告した。
天皇はヤマトタケルが戻ると、すぐさま
今度は、東征の命令を下した。
吉備の臣の先祖にあたる
ミスキトモミミタケヒコを供として与え、
柊の長い矛を授けてくれたが、
ヤマトタケルは、釈然としない。
叔母のヤマトヒメに、釈然としない思いを
伝えた。
「父上は、なぜ西征を果たした私に、
すぐさま東征を命じたのだろう。
いろいろ考え合わせると、私に早く死んで
もらいたいと思ってるんだ」
この推測は、恐らく当たっているだろう。
前にも触れたが、ヤマトタケルが兄を
ねんごろにしてしまったときから、天皇は
ヤマトタケルという息子を恐れていた。
いくら、ヤマトタケルが天皇の命令を
果たしても、最初に与えたインパクトは、
拭いきれない・・・まさにヤマトタケル
の悲劇はそこにあったといえるだろう。
涙ながらに訴えるヤマトタケルに、
ヤマトヒメは、スサノオがヤマタノオロチを
退治したとき、尻尾から現われた、三種の
神器の一つでもある草薙の剣という名刀と、
袋を渡した。
なぜここで、草薙の剣が登場するのか?
いまいち分からないが、ヤマトタケルに
草薙の剣は、まさにピッタリではある(笑)
そして、ヤマトタケルは、二度と帰ることの
できない、最後の戦いの旅が始まったので
ある・・・つづく
=次回予告=
「第18話 古事記最大の英雄、
ヤマトタケル 後編」
さて、次回はいよいよ、ヤマトタケルの恋や
有名な戦いのエピソードなど、魅力満載の
話しがてんこ盛りです。
そして悲劇的末路が・・・お楽しみに~
~マメ知識~ヤマトタケルは実在したか!!
古事記最大の英雄などと謳っておきながら、
実は存在が疑わしいと言わなければならない
のが、残念である。
実はヤマトタケルという人物は、実際には
いなかった。というのが定説である。
実在したとしても、それは複数のエピソード
をヤマトタケルという形にまとめて集約
したものと思える。
しかも時代も5世紀頃というのが、定説の
ようだ。
そう考えると、遠征のコースが
むちゃくちゃなのも頷ける。
他にもヤマトタケルと聖徳太子が同一人物説
や、吉備の一族説などもある。
いずれにしても、ヤマトが建国されたのは、
強大な王国がヤマトにやってきて、他を
圧倒したというものではなく、各地の勢力が
いっせいにヤマトに集まり、それまで何も
なかった「まきむく」に王家を打ち立てて
しまったというのが、本当のところのよう
です。
「まきむく」とは三世紀後半にヤマト盆地の
東南の三輪山の政治と宗教の人工都市が
あったことが、発掘で分かっている。
そこで分かったことは、ヤマトは各地の
首長や豪族の力が頼りであり、中央集権国家
というよりも、合議を重視する国家だったの
である。
つまりヤマトの王家は首長層らの手で、
共立されていた可能性が高いのであって、
実権すらあったか分からない。
そういうと、今の天皇にも
当てはまらないだろうか!!
そんなヤマトだからこそ、地方豪族が
服従しないわけで、それを征伐しにいった
のが、ヤマトタケルなのであるが、
残念ながら、実在はしていないだろう。
ヤマトタケルの活躍は、神話ではあると
思うのだが、理由は必ずある。
一番は記紀編纂の関わった人たちにとって
ヤマトは強かったというイメージを
植え付けたかったのではないだろうか!!
そして共立して建国されたのであれば、
そこには様々な思惑を持って集まった
豪族たちがいたのだから、そこには
汚い争いも、多かったとも思える。
そんな色々あった事柄を、一人の英雄を
誕生させることによって、きれいな物語に
してしまったのではないだろうか!
本当にあったことなのか!それも大事な
ことではあるけれどヤマトタケルという
英雄物語が、現代に語り継がれている
ことの方が、よっぽど大事なことなのか
もしれない。
来週もお楽しみに~
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